
ドローン2等2種 申請不要でも必要
このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。
確かに2等2種機では夜間&目視外やDID &夜間のような同時運航が申請不要となりました。ただコレには通常の申請資料と同等の資料を別途作成し具備する新しい義務が生じます。dipsで出来上がる資料10本と同じものです。廉価な2種機の登場を待つ一方で今から運航計画書の作成力を養っておくのは重要です。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) November 21, 2024
今回は、この投稿で触れた、新しいルールのポイントと、特に「申請不要になったけど、代わりに必要になること」について、ドローンを始めたばかりの方にも分かりやすくお話ししたいと思います。
このページで分かること
「特定飛行」とは
まず、ドローンを飛ばすときに「許可や承認が必要になる場合」について簡単におさらいすると、法律では、安全のために特に注意が必要な飛行を「特定飛行」と呼んでいます。
要注意!「特定飛行」の例
例えば、以下のような場所や方法でドローンを飛ばすときは、「特定飛行」として国の許可や承認が必要になります。
- 空港の周りや、高い建物の上空(150m以上)
- たくさんの人が住んでいる場所(DID地区)の上空
- 夜間に飛ばす
- ドローンを目で見て確認できない場所を飛ばす(目視外飛行)
- 人や建物、車などから30メートルより近くを飛ばす
- イベント会場の上空
これらの飛行は、事故が起きるリスクが高いため、事前に安全対策の計画を立てて、国のチェックを受ける必要があるんです。
新しいルール「2等2種機」
最近のドローンの新しいルールの中で、特に注目されているのが、特定の「資格」と「機体」を組み合わせた場合に、一部の特定飛行の申請が不要になるという点です。
「国家資格」と「機体認証」
新しいルールで重要になるのが、以下の二つです。
- 無人航空機操縦者技能証明(国家資格)
ドローンを安全に操縦するための国の資格です。「一等」と「二等」があります。 - 型式認証
機体自体が、国の定める安全基準に適合していることを証明する制度です。「第一種」と「第二種」があります。
そして、今回の投稿で触れた「2等2種機」というのは「二等無人航空機操縦者技能証明(2等資格)」を持っている人が、国の「第二種型式認証(2種機)」を受けたドローンを飛ばす場合のことを指します。
「2等2種機」で何が変わったか
この「2等2種機」の組み合わせの場合、これまで許可が必要だった特定飛行の一部(例えば、夜間飛行や目視外飛行、DID地区での飛行など)を、個別の許可申請なしで行えるようになりました。
これは、2等資格を持った操縦者は一定の安全知識と技能があり、2種機は機体自体が高い安全基準を満たしていると国が認めているためです。
「この組み合わせなら、ある程度のリスクのある飛行でも、申請手続きを省略しても大丈夫だろう」という考え方です。
特に、「夜間」と「目視外」を同時に行う飛行や、「DID地区」で「夜間」に飛ばす飛行など、これまで許可を取るのが難しかったり、包括申請ではカバーできなかったりした飛行が、申請不要になったというのは大きな変化です。
申請不要でも「見えない義務」
「これで自由に飛ばせる!」と思った方は、お待ちください。
ここが今回の投稿で一番お伝えしたかった大切なポイントです。
確かに申請は不要になりましたが、その代わりに「通常の許可申請で提出する資料と同じレベルのものを、自分で準備して保管しておく」という新しい義務が生まれました。
「dipsの資料10本」とは
この「通常の許可申請で提出する資料」とは、ドローンの飛行許可申請で使うオンラインシステム「DIPS(ドローン情報基盤システム)」で申請する際に作成される、およそ10種類の資料に相当するものです。
具体的には、以下のようなものが含まれます。
① 無人航空機を飛行させる場所を記載した書類(飛行経路図): どこを飛ぶか地図に示したもの。
② 無人航空機を飛行させる者に関する事項: 誰が飛ばすか、どんな資格や経験があるか。
③ 無人航空機に関する事項: どんなドローンを飛ばすか、整備状況はどうか。
④ 飛行させる目的: なぜドローンを飛ばすのか。
⑤ 飛行の日時: いつ飛ばすのか。
⑥ 飛行させようとする空域: どんな場所(DID地区か、夜間かなど)で飛ばすのか。
⑦ 特定飛行の方法: 目視外か、人や物件から30m未満かなど。
⑧ 安全確保体制: 事故を起こさないためにどんな対策をするか(補助員をどう配置するか、連絡体制は、など)。
⑨ 飛行マニュアル: 安全に飛行するための具体的な手順やルール。
⑩ リスク評価結果: どんな危険が考えられ、それに対してどう対策するか。
これらの資料を、実際に飛行を行う前に自分で作成し、もし何かあったときに国や関係者から求められたらすぐに提出できるよう、きちんと保管しておく必要があるのです。
申請は不要でも、安全に飛行するための計画と準備は、これまで通り、いや、これまで以上にしっかり行う必要があるということです。
なぜ資料が必要なのか?
なぜ、申請が不要になったのに、わざわざこんな資料を作らないといけないのでしょうか?
それは、「安全の責任は、飛行させる側にある」という考え方に基づいているからです。
申請が不要になったのは、あなたの資格と機体の組み合わせなら、国がいちいちチェックしなくても、自分で安全にやれるだろう、と信頼されたからです。
だからこそ、自分で「どうすれば安全に飛ばせるか」を真剣に考え、計画を立て、それを資料として形にしておくことが求められるのです。
もし万が一事故が起きてしまった場合にも、「私たちはこれだけの安全対策を考えて、この計画で飛行していました」と説明するための、重要な証拠にもなります。
運航計画書作成力を養っておく
現在、この「2等2種機」の組み合わせで使える、比較的安価なドローン(第二種型式認証機)の登場が期待されています。
もし今後、皆さんがそのような機体を手にして、申請不要で様々な飛行ができるようになった時に、すぐに安全に飛ばせるように、今のうちから準備しておくと良いことがあります。
それが、「運航計画書などの資料を作成する力」を養っておくことです。
自分で安全な飛行ルートを考えたり、どんなリスクがあるか予測したり、それに対する対策を具体的に考えたりする練習をしておきましょう。
これは、ドローンを安全に飛ばすための基本的なスキルであり、将来プロとして活躍したいと思った時にも必ず役に立ちます。
申請不要=準備不要ではない
「2等資格」と「第二種型式認証機」の組み合わせで、一部の特定飛行の申請が不要になったというのは、ドローン活用の可能性を広げる素晴らしい変化です。
しかし、それは「準備が不要になった」ということではありません。
むしろ、自分で安全を計画し、その根拠となる資料をしっかりと作成・保管するという「見えない義務」が重要になりました。
行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。
全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。
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