ドローン衝突の悪夢、コンコルド墜落の教訓:矢野事務所

ドローン衝突の悪夢、コンコルド墜落の教訓

 

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超音速旅客機、コンコルドは、素朴に美しい機体でした。

あの白鳥のような優雅な機体が、なぜ真っ赤な炎に包まれて墜落したのか。

今日はその話ですが、これは、25年も前の遠いパリの空で起きた、過去の事故の紹介話ではありません。

ドローンにも有り得る、すぐ足元にある現実の話です。

小さな金属片から始まった悲劇

2000年7月25日。

シャルル・ド・ゴール空港を離陸滑走中のコンコルドが、突如火を噴き、コントロールを失い墜落。

乗員乗客109名と、地上の4名の命が失われました。

事故後の調査で明らかになった原因は、信じられないほど些細なものでした。

直前に離陸した別の航空機が落としていった、長さわずか40cmほどの金属片。

コンコルドは、時速300km以上でこの金属片を踏みつけます。

その衝撃でタイヤが破裂。

そして、弾け飛んだ強靭なタイヤの破片が、まるでミサイルのように主翼下面を直撃し、燃料タンクを破壊したのです。

漏れ出た燃料に、車輪の格納部で発生した電気火花が引火し、あの悲劇的な火災に至りました。

実際の映像

「負の連鎖」という言葉ほど、航空事故の本質を的確に表すものはないと、私は思います。

たった一つの小さな、ありふれた不具合が、ドミノ倒しのように連鎖して、決して起きてはならない破局へと突き進む。

航空の世界に携わる人間は皆、この恐ろしさを骨の髄まで知っています。

悪夢のシナリオ

想像してみます。

滑走路上の小さな金属片を、空中に浮かぶ一機のドローンに置き換えてみました。

リチウムイオンバッテリーを内蔵した、硬質なプラスチックとカーボンの塊。

それが、着陸態勢に入った航空機の、繊細なブレードが高速回転するエンジンに吸い込まれたらどうなるか?

あるいは、コンコルドの悲劇のように、燃料を満載した主翼の、わずかな隙間や弱くなっている部分に、高速で突き刺さったとしたら、そこで何が起こるか。

どんな「負の連鎖」が始まるか。

それを考えると、背筋が凍る思いがします。

「衝突の可能性がある」などという、生ぬるい言葉で語れる話ではないと思っています。

これは、悪夢という言葉すらはばかれる、現実に起こりうるシナリオだと思うのです。

電話の向こうにある「緊張」

私は行政書士として、高高度飛行や空港周辺での飛行といった、特に神経を使う申請に携わっています。

その過程で、国土交通省航空局や各空港事務所といった「関係機関」の担当者と、何度も調整を重ねます。

彼らとの電話やメールのやり取りは、常に静かで、淡々としています。

しかし、その静寂の向こうには、凄まじいほどの「緊張感」と「使命感」が満ちていることを、私は知っています。

彼らは、決して単に法律を盾にして私たちの計画に「ノー」と言っているのではありません。

彼らの頭の中には、常にコンコルドの悲劇のような「最悪のシナリオ」が、具体的な映像として焼き付いているのです。

その悪夢を、この日本の空で絶対に現実のものにしないという、国民の命に対する絶対的な責任。

その声にならない声が、短い言葉の行間から、痛いほど伝わってきます。

我々が本当に負うべき責任

ドローンの飛行許可を得る、、、という行為は、単に法律の条件をクリアする事務作業ではありません。

それは、コンコルドの教訓をはじめ、航空史上の数多の悲劇から人類が学んだ「安全の哲学」を受け継ぎ、その「負の連鎖」の最初の引き金を、絶対に引かない・引かせないと誓う重い宣誓なのだと、私は考えています。

私たちは、空を自由に飛び回る、夢のような道具を手にしました。

しかし、その一瞬の気の緩みや過信が、取り返しのつかない悲劇の第一発見者になってしまう可能性も、同居しています。

その途方もない責任の重さを、この胸に深く深く刻んで。 今日も空と向き合っていきたいと思うのです。

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