ドローン練習10hの壁、登録が最初の義務:矢野事務所

ドローン練習10hの壁、登録が最初の義務

 

このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。


ドローンを安全に、そして適法に飛行させるためには、操縦技術の習得はもちろんのこと、国土交通大臣への飛行許可申請が必要となる場面が多くあります。

その許可申請の条件の一つに、「10時間以上の飛行経験」という壁が存在します。

この「10時間の壁」を乗り越えるため、どこで練習すればよいのか、というご相談をよくいただきます。

練習場所の確保は、ドローン初心者にとって最初の、そして大きな課題です。

もし専用の屋内施設や、係留、ネットなどで囲われた安全な場所が利用できない場合でも、法令を遵守して飛行経験を積む方法はあります。

しかし、そのどんな状況下でも、そこが屋外であれば機体登録がなければ1cm浮かせただけでも航空法違反となる、という最も基本的な義務を忘れてはなりません。

飛行経験10hの壁

ドローンを特定の空域や方法で飛行させるための許可・承認を申請する際、操縦者は通常、10時間以上の飛行経験を求められます。

この飛行経験は、単なる時間稼ぎではなく、様々な環境下での操縦技術や、異常時対応の判断力を身につけるためのものです。

安全確保の観点から、国が操縦者の技量を確認するための重要な基準となっています。

練習場所の選択肢

飛行経験を積むための練習場所としては、いくつかの選択肢が考えられます。

  • 屋内施設
    天候に左右されず、閉鎖された空間で安心して練習できます。衝突のリスクも低いですが、利用費用がかかる場合があります。
  • 係留飛行
    ドローンを紐などで係留し、一定の範囲内で飛行させる方法です。これにより、意図しない場所への逸脱を防ぎつつ、基本的な操縦感覚を養うことができます。
  • ネットで囲われた場所
    ドローン専用の練習場や、ゴルフ練習場の一部など、ネットで囲われた場所であれば、万が一の墜落時にも外部への影響を抑えられます。
  • ドローン練習場(専用施設)
    安全管理が徹底された専用の練習場を利用すれば、安心して練習に集中できます。インストラクターの指導を受けられる場合も多く、効率的に技能向上を目指せます。

特定飛行にならない方法

上記の施設が利用できない場合でも、法令を遵守して練習する方法があります。

それは、航空法上の「特定飛行」に該当しない場所と方法で飛行させることです。

特定飛行に該当しない場合、国土交通大臣の許可・承認は不要です。

特定飛行に該当しない主な条件は以下の通りです。

  • 飛行する空域が禁止空域ではないこと: 空港周辺や150m以上の高さの空域ではないこと。
  • DID地区(人口集中地区)以外であること。
  • 目視内で飛行させること。
  • 人または物件から30m以上の距離を確保すること。
  • 危険物輸送や物件投下を行わないこと。

これらの条件を全て満たす場所を見つけるのは、特に都市部では難しい場合がありますが、例えば私有地で所有者の許可を得て、上記の条件を全て満たした上で飛行させるなどの方法が考えられます。

「機体登録」が最優先の義務

しかし、どんな方法で飛行経験を積むにしても、最も重要な、そして最優先で果たさなければならない義務があります。

それが「機体登録」です。

100g以上のドローンは、その飛行方法や場所に関わらず、全て機体登録が義務付けられています

これは、特定飛行に該当しない、公園や広場でのごく短い時間、地上からわずか1cm浮かせるだけの飛行であっても、機体登録がなければ航空法違反となります。(屋内は特定飛行に該当しない為、大丈夫です)

登録を完了すると、登録記号が付与され、これを機体に表示する義務があります。

この登録義務に違反した場合、航空法に基づき1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

飛行経験を積むこと以前に、まず自身のドローンが登録されているか、登録記号が正しく表示されているかを確認し、未登録であれば速やかに手続きを完了させることが、安全で適法なドローン運用、そして経験を積むための第一歩となります。

安全に経験を積むために

10時間の飛行経験は、ドローンを安全に運用するための基礎を築く上で不可欠です。この経験を積むためには、以下の点を心がけましょう。

  • 法令遵守の徹底: 飛行場所がどこであっても、航空法だけでなく、その地域の条例や土地管理者のルールを必ず確認し、遵守します。
  • 段階的な練習: まずは基本的な操作から始め、徐々に複雑な操作や環境での飛行に挑戦しましょう。
  • 十分な安全確保: 常に周囲の安全を確認し、人や物件へのリスクを最小限に抑えます。
  • 講習会やスクールの活用: 専門的な知識や技術を体系的に学ぶことで、効率的かつ安全に経験を積むことができます。

まとめ

ドローンでの飛行許可申請に必要な10時間以上の飛行経験を積むためには、適切な練習場所の確保と、法令遵守が不可欠です。

特に、特定飛行に該当しない場所や方法で練習する場合でも、100g以上のドローンの機体登録は、飛行を開始する以前に必ず完了させておくべき最優先の義務です。

機体登録を済ませ、法令を遵守し、安全意識を高く保つこと。

これが、ドローン操縦の経験を積み、スキルアップを目指す皆様にとって、最も重要で堅実な道となるでしょう。

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