ドローン運航の判断設計・体制構築

アスリート映画のドローン飛行申請をした

 

ドローンによる空撮は、映像表現の可能性を大きく広げ、特にアスリートの記録映画のような作品では、その躍動感や壮大なスケールをこれまでにない視点で捉えることができます。

しかし、スタジアムという特殊な環境でのドローン飛行は、航空法上の規制だけで判断できるものではありません。

同じスタジアムであっても、条件次第で結論は変わります。

今回の案件は、そうした「条件次第で成立可否が変わる」典型的な事例でした。

先日、私自身が担当した案件として、アスリートの記録映画に向けたスタジアム内外の飛行申請がありました。

場所はとあるスタジアムです。

国道に隣接し、また施設の性格上、「第三者対策中心の個別申請」が求められる、極めてデリケートな飛行計画でした。

綿密な準備と安全対策により、一年間に亘る許可を得ることができましたが、この経験から「第三者対策は手厚過ぎる事はない」ということを改めて認識しました。

この場所で事故にならずに運航できるかは、条件によって変わります。

飛行条件を確認する

飛行計画の概要

今回申請を進めたのは、スタジアムの外観およびスタジアム内ピッチを空撮するという、映画撮影を目的としたドローン飛行です。

  • 飛行場所:○○県○○市○○ ◎◎スタジアム
  • 飛行日:令和7年◎月◎日~〇月〇日のいずれか1日
  • 時刻:11:00~18:00
  • 飛行態様:高度150m未満の目視外飛行
  • 使用機体:DJI Mavic 4 Pro
  • 飛行範囲:スタジアム内及びスタジアム周辺
  • 飛行高度:対地150m未満
  • 飛行時間:1回約15分程度、必要に応じて3~4回程度飛行
  • 最大同時飛行機数:1機

スタジアム内外の特性

スタジアムは、スポーツイベントが開催される際には多数の観客が集まる場所ですが、今回の飛行は競技会が開催されていない状態で行う前提でした。

ただし、観客がいないからといって安全性の課題が消えるわけではありません。

スタジアム周辺には国道が隣接しており、日常的に車両や歩行者の往来がある環境です。

このような環境では、単に「空域上問題がない」だけでは飛行は成立しません。

第三者対策の徹底

この飛行計画の核心は、徹底した第三者対策にありました。

  1. スタジアム内部の管理
    • スタジアム内には第三者の立ち入りを禁止し、映画の被写体及び関係者のみの状態を確保しました。
    • 第三者の侵入があった場合には、直ちに飛行を停止できる前提で体制を組みました。
  2. スタジアム周辺の管理
    • 補助者を配置し、飛行エリア内であること、飛行中であることを周知しました。
    • 補助者は飛行経路が見渡せる位置で第三者の立ち入りを監視し、立入制限や注意喚起を行う体制としました。
    • 飛行経路下に第三者の進入を認めた場合、またその他飛行に支障があると判断した場合は、直ちに飛行を中止するよう操縦者に助言する体制を明確にしました。
  3. 道路横断時の安全対策
    • スタジアム東側の国道上空は、横断時以外は飛行しない前提で整理しました。
    • 道路上空の横断は、補助者による直接目視確認により、車両または歩行者等の第三者が存在しないことを確認した上で、速やかに行うものとしました。
    • 万が一、車両または歩行者が飛行範囲に接近または進入した場合には、直ちに飛行を中止する整理としました。

安全運航の具体策

さらに、運航上のリスクに対しても具体的な対策を講じています。

  • 強風時の対応
    • スタジアム東側の国道及び最高高度149mという点を踏まえ、強風時の対応を厳格化しました。
    • 風速と速度の和が7m/sを超えた場合は直ちに飛行を中止する整理としました。
    • この見落としに備え、送信機に強風警告が表示される機種を選定しました。
  • 機体運用
    • 使用機体はDJI Mavic 4 Proとし、最大同時飛行機数は1機に限定しました。
    • 高度150m未満の目視外飛行に対応した性能と、信頼性の高い機体であることを前提に整理しました。

この案件が示していること

このような飛行は、一般的な包括申請では成立しません。

飛行場所、第三者管理、道路上空の扱い、補助者体制など、個別条件ごとに運用設計を行わない限り、同様の許可を取得することは困難です。

同じスタジアムであっても、条件が変われば結論は変わります。

つまり、スタジアムだから飛ばせない、逆にスタジアムでも許可を取れば飛ばせる、という単純な話ではありません。問題は、第三者対策を中心とした運航設計が成立するかどうかです。

まとめ

スタジアムでのアスリート記録映画に向けたドローン飛行申請は、国道隣接かつ施設内外に人の動きがある環境で、第三者対策をどう成立させるかが最大の焦点となりました。

今回の個別申請では、スタジアム内部の管理、周辺道路横断時の安全確認、補助者配置などを細かく設計し、一年間に亘る許可を取得できました。

このような案件は、個別条件を前提とした運航設計が必要になります。

このような案件は、一般的な許可申請では判断できません。

飛行場所・第三者管理・道路上空の扱いなど、個別条件ごとに運用設計が必要になります。

同じ場所でも、条件次第で結論は変わります。

許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません

ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。

  • 第三者管理は維持できますか?
  • 監視体制は機能しますか?
  • 中止判断は定義されていますか?
  • 関係者への説明は通りますか?

これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。

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