ドローン物件投下・危険物を許可申請した:矢野事務所

ドローン物件投下・危険物を許可申請した

 

このページはX(エックス)の投稿を深堀り解説したブログ記事です。

ドローンを活用した業務の幅が広がるにつれて、物件投下危険物輸送といった特殊な飛行方法のニーズも高まっています。

しかし、これらの飛行は通常のドローン飛行以上に厳格な国土交通大臣の許可が必要となります。

今回は、許可申請の難所とそのクリア方法について、具体的なポイントを解説します。

物件投下・危険物輸送とは

一般的なドローン飛行の許可とは異なり、物件投下や危険物輸送は「特定飛行」に分類され、特別な安全対策と詳細な説明が求められます。

これは、万が一の落下や事故が、甚大な被害につながるリスクがあるためです。

危険物輸送の対象範囲

「危険物」と聞くと、爆発物や燃料を想像する方も多いでしょう。

しかし、ドローン運用の文脈では、その定義はより広範です。国際連合が定める国連番号(UN番号)が付与される物質は、基本的に危険物として扱われます。

例えば、ドローンの動力源として使われるリチウムポリマーバッテリー(リポバッテリー)もその一つです。

過充電や衝撃により発火・爆発の危険性があるため、輸送時には厳重な管理が求められます。

たとえリポバッテリー自体を直接投下するのではなく、何らかのケースに収納して投下する場合でも、そのケース内に危険物(リポバッテリー)が含まれているため、危険物輸送の許可基準に準じた安全対策と説明が必要になります。

物件投下申請の最大の壁

物件投下の許可申請で最も重視されるのは「不用意に物資が落下しないこと」をいかに証明するかです。

ここが、申請における最大の難所と言えるでしょう。

具体的には、以下の点について明確かつ具体的に説明することが求められます。

  • 投下装置の設計と構造
    どのような仕組みで物資をしっかりと保持し、安全に投下できるのか。
  • 誤作動防止機能
    意図しない投下を防ぐための対策(例:複数の操作ステップ、物理的なロック機構、電気的保護回路など)が講じられているか。
  • 確実な操作方法
    投下作業の一連の操作手順を明確にし、操縦者が誤りなく操作できることを示すこと。
  • 緊急時の対応
    万が一、投下中に異常が発生した場合の対処方法や、投下を中止できる機能の有無。

許可申請を円滑に進める秘訣

審査官が「これなら安全に実施できる」と判断できるように、具体的で説得力のある情報提供が許可取得の鍵となります。

機体改造の申請と詳細説明

外部に投下装置を取り付けることは、機体の改造とみなされます。

この改造が機体本来の安全性や飛行性能に悪影響を与えないことを、論理的に説明する必要があります。

  • 装置の取り付け方法
    投下装置が機体にどのように固定され、飛行中の振動や負荷に耐えられるか。
  • 重量と重心の変化
    投下装置と投下物を搭載した場合の機体全体の重量と重心位置の変化、それらが飛行安定性に与える影響について、計算やシミュレーションを用いて説明します。
  • 強度計算
    改造部分や、投下物による負荷がかかる機体構造部分の強度が、十分であることを示します。

投下機能の視覚的な説明

申請書での文字による説明に加え、視覚的な資料の活用は審査官の理解を格段に深めます。

  • 投下装置の拡大画像
    装置の全体像だけでなく、物資の保持機構やリリース機構など、肝となる部分の拡大画像を添付しましょう。構造が明確に伝わるように、様々な角度からの写真を用意することが有効です。
  • 操作インターフェースの画像
    投下操作を行う送信機やアプリの画面(投下ON/OFFボタン、ステータス表示など)のスクリーンショットを提示し、操作がシンプルで分かりやすいことを示します。
  • 操作手順のフロー図
    投下準備から実際に投下するまでの一連の流れをフロー図で示すことで、誤操作のリスクが低いことをアピールできます。
  • 動作デモンストレーション動画(任意)
    可能な場合、投下装置が実際に動作している様子や、不用意に物資が落下しない仕組みを短時間の動画で示すことも、非常に効果的です。

これらの資料は、特に「不用意に物資が落下しない」ための安全機構について、言葉だけでは伝わりにくい確実性を審査官に伝える強力なツールとなります。

国連番号の明確な提示

投下する物資内にリポバッテリーが装着されている場合、その国連番号(例:UN3480)を申請書に明記することは不可欠です。

国連番号は、その危険物がどのような性質を持ち、国際的にどのような安全基準の下で管理されるべきかを示す識別子です。

これを明示することで、申請者は当該危険物に対する適切な知識を持ち、それに応じた安全対策を講じていることを、審査官に説得力を持って伝えることができます。

国連番号(UN番号)

まとめ:安全への徹底的な配慮こそ許可への道

ドローンによる物件投下や危険物輸送の許可申請は、通常の許可申請とは一線を画す専門性と厳密さが求められます。

特に「不用意な落下を防ぐ対策」と「危険物に対する適切な安全管理」は、審査の最重要ポイントです。

機体改造の詳細な説明、投下機能の具体的な手順、そして投下装置や操作画面の拡大画像などの視覚資料を最大限に活用することで、審査官は申請内容を深く理解し、申請者の安全への徹底した配慮を評価することができます。

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