ドローン運航の判断設計・体制構築

地理院地図で差戻し回避|矢野事務所

ドローンの飛行許可・承認申請では、飛行経路図は単なる添付資料ではありません。

どこで、どう飛ばし、何を管理するのかを説明する資料です。

ところが、この地図でGoogleマップ系の画像を使っていると、版権や利用条件の問題で差し替えを求められることがあります。

実務で重要なのは、見やすい地図を作ることだけではありません。差戻しされにくく、説明資料としてそのまま使える地図を最初から選ぶことです。

結論から言えば、申請用の地図は地理院地図を標準にした方が安全です。

結論|申請用地図は「見やすさ」より「差し替えられないこと」

申請で使う地図は、単に場所が分かればよいわけではありません。

  • 権利関係に無理がないか
  • 行政機関へ提出する資料として問題ないか
  • 飛行範囲や安全区画を正確に描けるか

この3点を満たす必要があります。

その意味で、使い慣れているからという理由だけでGoogleマップ系を使うのは危険です。

申請で使う地図は「何となく便利」ではなく「差戻しされにくいもの」を選ぶべきです。

実務判断

飛行経路図は、場所を示す資料ではなく「安全管理を説明する資料」です。

  • 飛行範囲
  • 離着陸地点
  • 第三者との離隔
  • 立入管理区画

これらを正確に示せない地図は、申請資料として弱いです。見やすさより先に、提出に耐えることが必要です。

なぜGoogleマップ系で止まることがあるのか

GoogleマップやGoogle Earthは見慣れていて便利です。実際、これまで申請資料に使われてきた例も少なくありません。

ただし、公的申請に添付する資料として見ると、版権や利用条件の扱いが問題になることがあります。

実務では、航空局から地図の差し替えを求められたという話や、河川事務所の一時使用届でGoogle系地図を避けるよう求められたという話があります。

ここで重要なのは、明文化された一律禁止かどうかではありません。

実際に差し替え指示が起きるなら、最初から避けた方が早いということです。

地理院地図が強い理由

申請用地図として地理院地図が強いのは、単に国の地図だからではありません。

1.公的資料との相性が良い

国土地理院の地図である以上、公的申請の添付資料としての説明がしやすいです。審査側にも違和感が少なく、資料として素直です。

2.権利関係で揉めにくい

出典表示など一定のルールを守れば使いやすく、申請資料として扱いやすいです。ここが実務では非常に大きいです。

3.作図と計測がしやすい

飛行範囲、飛行経路、立入管理区画、離着陸地点、補助者配置などを図示しやすく、距離計測もやりやすいです。

4.30mや区画設計と相性が良い

人・物件との離隔や、第三者管理の説明では、距離と範囲を具体的に示す必要があります。ここで地理院地図は非常に使いやすいです。

30m規制の考え方は、ドローン30m規制の考え方でも整理していますが、距離を正確に扱う資料はその前提になります。

申請で本当に見られているのは「地図の種類」だけではない

ここも重要です。

地図が地理院地図であればそれで通る、という単純な話ではありません。

実務で見られるのは、その地図で飛行の安全性を説明できているかです。

  • どこを飛ぶのか
  • どこに第三者がいるのか
  • どこを管理区画とするのか
  • どこから離着陸するのか
  • 補助者はどこに立つのか

この説明が弱いと、地図の種類以前に資料として弱くなります。

立入管理区画の考え方は、立入管理区画の設計と判断基準でも整理していますが、区画は図で落とせなければ説明になりません。

地理院地図で最低限やるべきこと

申請用地図として使うなら、少なくとも次の要素は押さえるべきです。

  • 飛行場所を正確に表示する
  • 飛行範囲を図示する
  • 離着陸地点を示す
  • 必要な距離を計測する
  • 第三者管理や立入管理の範囲を示す
  • 必要に応じて補助者や監視位置を示す

つまり、地図は背景ではなく、運航設計そのものを見せる資料です。

差戻しを避けるなら「地図作成」を後回しにしない

申請では、文章を先に作って地図を後から付ける流れになりがちです。

しかし実務では逆です。

地図を描くと、運航設計の甘さが見えるからです。

  • 30mが取れていない
  • 離着陸地点が無理
  • 立入管理区画が曖昧
  • 飛行経路が第三者動線と重なる

こうした問題は、地図に落とした瞬間に見えてきます。

つまり、地理院地図を使う意味は、差戻し回避だけではありません。成立しない飛行を早い段階で見抜くことにもあります。

まとめ

ドローン申請で使う地図は、単なる位置図ではありません。

許可と運航成立を支える説明資料です。

  • Googleマップ系は差し替えを求められるリスクがある
  • 地理院地図は申請資料として相性がよい
  • 重要なのは、地図で安全管理を説明できること
  • 地図作成は、運航設計の甘さを見抜く工程でもある

申請をスムーズに進めたいなら、地図は最初から地理院地図で作る方が安全です。

◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆

法人案件では「飛ばせるか」だけでは進まないことがあります

ドローン運航は、許可が取れるかだけでなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。

  • 第三者管理は維持できますか?
  • 監視体制は機能しますか?
  • 中止判断は定義されていますか?
  • 発注者・関係者への説明は通りますか?

これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まる方向に傾きます。

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