地理院地図の活用術:ドローン空域確認の重要性:矢野事務所

地理院地図の活用術:ドローン空域確認の重要性

 

このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。

ドローン空域確認の肝

ドローンを安全に飛行させるためには、飛行させる空域に関する正確な情報を把握することが不可欠です。

航空法により、ドローンの飛行が制限される空域が定められており、これらの空域で飛行させる場合は、国土交通大臣の許可や承認が必要となります。

空域情報を確認するためのツールはいくつかありますが、その中でも「地理院地図」は、多くのドローン操縦者に活用されています。

しかし、この地図ツールを過信せず、表示される情報以外にも確認すべき点があることを理解しておくことが、安全かつ適法なドローン運用には非常に重要です。

地理院地図の利点と限界

地理院地図は、国土地理院が提供する地図サービスで、ドローンの飛行に関わる空域情報も表示されるため、飛行計画を立てる上で非常に有用なツールです。

特に、「無人航空機等の飛行に関する表示」機能を利用することで、飛行禁止空域や制限空域を視覚的に確認できます。

地理院地図の主な利点は以下の通りです。

  • 視覚的な情報
    地図上に色分けされて空域が表示されるため、直感的に飛行制限のあるエリアを把握できます。
  • 空域管理機関の表示
    ポップアップ機能により、特定の空域における管轄機関(空港事務所、管制機関など)が表示されます。これにより、どこに連絡を取ればよいか、最初の調整先を特定する手助けになります。
  • 無料利用
    誰でも無料で利用でき、手軽に空域情報を確認できます。

 

しかし、地理院地図も万能ではありません。限界や注意すべき点も存在します。

  • 情報更新のタイムラグ
    空域情報が更新されるまでにタイムラグが生じる可能性があります。常に最新の情報であるとは限りません。
  • 表示されない情報
    航空路、航空交通管制圏の高さ制限の詳細、自衛隊や米軍の飛行訓練空域など、地理院地図上では詳細に表示されない、あるいは表示されない空域情報も存在します。
  • 個別の状況への対応
    飛行させるドローンの性能や飛行高度、飛行方法によっては、地理院地図に表示される空域情報だけでは判断できない、より詳細な調整が必要となるケースがあります。

空域管理機関との調整

地理院地図で表示される空域管理機関は、飛行の許可や承認を得るための最初の窓口となることが多いです。

空港周辺であれば空港事務所、航空交通管制圏内であれば管制機関が該当します。

しかし、私の過去の経験からも、地理院地図に表示される機関以外への調整が必要となるケースがあるため、注意が必要です。

以前、同じ離着陸地点からドローンを飛行させる計画を立てていた別の撮影チームが、わずかに高度が低かったために、地理院地図に表示されていた管理センターだけでなく、神戸管制との調整も追加で指示され、急遽対応に追われる事態が発生しました。

これは、わずかな飛行高度や飛行経路の違いが、管轄する空域管理機関の範囲を広げたり、追加の調整を必要とさせたりする可能性を示唆しています。

調整時の念押しと事前準備

空域管理機関との調整は、ドローン飛行の許可・承認を得る上で非常に重要なプロセスです。

単に連絡を取るだけでなく、細部にわたる確認と、不明点の解消を徹底することが求められます。

調整時の確認事項

空域管理機関に連絡する際は、以下の点を具体的に確認し、必要に応じて念押しするようにしてください。

  • 飛行計画の明確化
    飛行日時、場所、高度、飛行経路、使用機体、飛行目的などを正確に伝えます。
  • 必要な許可・承認
    航空法に基づく許可・承認の要不要、および必要な手続きについて確認します。
  • 追加で調整すべき機関
    「他に調整が必要な機関はありませんか?」と必ず確認することをお勧めします。特に、複数の空域が隣接している場合や、飛行高度が空域の境界に接近する場合は、この確認が重要です。
  • 特記事項や制限
    当該空域で飛行する上での特別な制限や注意点、例えば、特定の時間帯の飛行制限、特定の場所への接近禁止などがないか確認します。
  • 連絡先と担当者名
    今後のやり取りのために、担当部署名、氏名、連絡先を控えておきましょう。

事前準備の重要性

調整をスムーズに進めるためには、事前の準備が鍵となります。

  • 詳細な飛行計画書の作成
    飛行経路図、緊急時連絡先、安全体制などを盛り込んだ詳細な計画書を作成し、すぐに提示できるように準備しておきましょう。
  • 関係法令の確認
    航空法だけでなく、電波法、民法、小型無人機等飛行禁止法、各地方自治体の条例など、関連する法令を事前に確認しておくことが重要です。
  • 最新情報の入手
    航空情報(NOTAM)や、国土交通省のウェブサイトで公開されている最新の航空法関連情報、空域情報などを常に確認する方法を知っておきましょう。

常に安全を最優先に

ドローンを安全かつ適法に運用するためには、空域情報の正確な把握と、関係機関との丁寧な調整が不可欠です。

地理院地図は非常に便利なツールですが、表示される情報に加えて、常に詳細な確認と、万が一の事態に備えた計画を立てることが求められます。

ドローンを取り巻く環境は日々変化しており、法規制もそれに応じて改正されることがあります。

常に最新の情報を入手し、自身の飛行スキル向上と同時に、法規制に関する知識もアップデートしていくことが、ドローン操縦者としての責任です。

安全意識を高く持ち、常に余裕を持った計画でドローン飛行を楽しんでください。

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