ドローン運航の判断設計・体制構築

第三者と物件は「管理できるか」で決まる|矢野事務所

ドローン飛行で最も多い誤解のひとつが、「第三者」と「物件」の判断です。

「人がいなければ大丈夫」ではありません。

また、車両や建物を単に「物件」として処理すればよいわけでもありません。

実務では、同じ人でも、どこにいるか、何に乗っているか、飛行に関与しているかによって扱いが変わります。

物件についても、建物、車両、電線、道路、鉄道施設、港湾施設など、接近時の影響は大きく異なります。

つまり重要なのは、分類だけではありません。

その人や物件との関係を、現場で管理できるかです。

この判断を誤ると、許可があっても現場で止まります。

この場所で事故にならずに運航できるかは、条件によって変わります。

飛行条件を確認する

第三者上空が厳しく制限される理由

ドローンが落下した場合、最も大きなリスクは人への接触です。

そのため、第三者上空の飛行は厳しく制限されています。

問題は、その「第三者」が常に単純に判断できるわけではないことです。

人がいるかどうか。

屋内か屋外か。

車両に乗っているか。

飛行に関与しているか。

退避指示に従える状態か。

安全管理に組み込まれているか。

これらの事情によって、実務上の評価は変わります。

第三者とは誰か

第三者とは、ドローン飛行に直接又は間接に関与していない人を指します。

代表的には、次のような人は飛行に関与する者として整理されます。

  • 操縦者
  • 補助者
  • 安全管理要員
  • 飛行目的を共有し、指示に従う関係者

一方で、通行人、近隣住民、車両の運転者、施設利用者、見物人などは、原則として第三者として扱う必要があります。

ただし、肩書だけで判断してはいけません。

関係者と呼んでいても、飛行内容を理解していない場合。

退避指示に従えない場合。

安全管理に組み込まれていない場合。

このような場合は、第三者として扱うべき場面があります。

第三者と関係者の整理は、第三者と関係者の整理で止まる理由:矢野事務所でも整理しています。

同じ人でも扱いが変わるケース

家の中にいる人

建物内部にいる人は、屋外にいる人と同じようには評価されません。

建物が物理的な遮蔽になるため、落下時の直接接触リスクは低くなります。

ただし、建物そのものは物件として問題になります。

また、窓、ベランダ、庭、屋上、出入口付近などは、生活空間への影響やプライバシーの問題が生じます。

したがって、「家の中だから完全に無関係」とは整理できません。

庭にいる人

庭にいる人は、屋外にいる以上、落下時の直接リスクがあります。

この場合は、第三者として扱うのが基本です。

特に住宅地では、庭やベランダは生活空間そのものです。

単に航空法上の距離だけでなく、生活侵入感、撮影不安、騒音、威圧感まで含めて判断する必要があります。

走行中の車両

走行中の車両は、実務で最も誤解されやすい対象です。

車両自体は物件ですが、中に人が乗っている場合は、その人を第三者として考える必要があります。

特に道路上では、車両が次々に流入します。

そのため、単に「道路上に人はいない」と整理しても足りません。

車両流入を止められるか。

一時的な横断で収まるか。

接近時に誰が中止判断するか。

ここが決まっていなければ、運航は成立しません。

道路は管理不能になりやすい

道路付近のドローン飛行では、第三者管理が崩れやすくなります。

理由は単純です。

道路は、人と車両が継続的に流入する場所だからです。

歩行者が通る。

自転車が通る。

車両が接近する。

駐車車両から人が出てくる。

建物や施設から人が道路へ出てくる。

このような状態では、飛行開始時に安全距離を確保していても、飛行中に条件が崩れます。

したがって、道路付近では「第三者がいないか」ではなく、第三者の流入を管理できるかを見なければなりません。

物件リスクも軽視できない

ドローン実務では、人だけでなく物件との関係も重要です。

物件には、次のようなものがあります。

  • 建物
  • 車両
  • 電柱
  • 電線
  • 信号機
  • 街灯
  • 看板
  • フェンス
  • 船舶
  • 鉄道施設

これらに接近する場合、30m規制、所有者・管理者との関係、損傷時の責任が問題になります。

特に電線、道路、車両、鉄道、港湾施設などは、物件であると同時に社会インフラです。

接触や落下が起きれば、単なる物損では済まない場合があります。

30m規制は距離だけではない

人又は物件との距離が30m未満になる場合、航空法上の承認論点が発生します。

しかし、実務では30mという数字だけでは足りません。

飛行開始時に30mを確保していても、飛行中に人や車両が近づけば、その状態は崩れます。

つまり重要なのは、30mを一瞬確保することではありません。

第三者や物件との安全距離を、飛行中に維持できるかです。

30m規制の考え方は、30m規制は「距離」ではなく状態維持|矢野事務所でも整理しています。

補助者は「配置」ではなく機能で見る

第三者や物件リスクを管理するには、補助者の役割が重要になります。

ただし、補助者を置けばよいわけではありません。

補助者が何を見るのか。

どの範囲を監視するのか。

第三者が接近したら誰に伝えるのか。

どの時点で飛行を止めるのか。

ここまで決めて初めて、補助者は機能します。

単なる人数配置では、第三者管理は成立しません。

なぜこの区別で現場が止まるのか

問題は「第三者か物件か」という分類だけではありません。

本当に重要なのは、その分類を前提に、現場で運航が成立するかです。

  • 第三者との距離を維持できるか
  • 第三者の進入を管理できるか
  • 車両の流入を止められるか
  • 物件への接近を管理できるか
  • 補助者が異常を発見できるか
  • 危険時に中止判断できるか

これらが成立しない場合、許可があっても現場で止まります。

許可の有無と、現場で成立するかは別問題です。

現場で止まる典型パターン

  • 第三者の定義を誤認している
  • 車両を単なる物件として扱っている
  • 道路の流入管理を考えていない
  • 庭やベランダの人を見落としている
  • 補助者の監視範囲が曖昧
  • 第三者接近時の中止条件がない
  • 物件管理者との調整がない

この状態では、現場で判断が止まります。

特に道路、住宅地、駐車場、施設敷地、イベント周辺では注意が必要です。

第三者・物件リスクは中止判断とセット

第三者や物件のリスクは、事前確認だけでは終わりません。

飛行中に状況が変わった場合、誰が止めるのかを決めておく必要があります。

歩行者が入ったら止める。

車両が接近したら止める。

補助者が見失ったら止める。

距離が維持できなくなったら止める。

これが決まっていなければ、第三者管理は成立しません。

中止判断の考え方は、ドローンは「中止判断」で決まる|矢野事務所でも整理しています。

第三者・物件管理は運航管理の一部

第三者や物件との関係は、操縦だけで解決できる問題ではありません。

誰が見るのか。

誰が止めるのか。

誰が再開を判断するのか。

誰が後から説明するのか。

ここまで整理して初めて、第三者・物件管理は実務上意味を持ちます。

この考え方は、ドローンは操縦でなく運航管理|矢野事務所ともつながります。

この案件、現場で成立しますか?

第三者や物件の扱いは、条件によって変わります。

許可の要否だけでなく、現場で第三者の立入や物件接近を管理できるかまで整理が必要です。

成立するか相談する

まとめ

第三者の判断は「定義」だけでは終わりません。

同じ人でも、家の中、庭、車両、道路、施設内など、状況によって扱いは変わります。

物件についても、建物、車両、電線、道路、鉄道、港湾施設など、接近時のリスクは異なります。

最終的に問われるのは、分類ではありません。

その条件で、第三者の立入や物件接近を管理しながら運航が成立するかです。

許可があることと、現場で止まらないことは別問題です。

◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆

許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません

ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。

  • 第三者管理は維持できますか?
  • 監視体制は機能しますか?
  • 中止判断は定義されていますか?
  • 関係者への説明は通りますか?

これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。

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