ドローンDIDイベント空撮、許可の壁:矢野事務所

ドローンDIDイベント空撮、許可の壁

 

このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。

ドローンで日本の伝統行事を空撮することは、その活気あふれる様子をより一層魅力的に引き出すことができます。

しかし、特に人口集中地区(DID)に位置する場所で行われる移動する祭事の空撮は、航空法上の厳しい規制という「見えない壁」に直面します。

先日、DID地区の神社からの神輿の練り歩きを沿道上空から撮りたい、というご相談がありました。

この計画は、その特性上、困難な課題が山積していました。

なぜなら、飛行経路下は「第三者ばかり」となるため、航空法上の「催し場所上空申請が必須」となります。

しかし、移動する神輿の経路全体にわたって「立入禁止設定は至難」を極めるからです。

「催し上空」の厳しい現実

神輿の練り歩きのような、不特定多数の人が集まり、移動する行事は「催し」に該当します。

航空法では、このような「催し場所上空」でのドローン飛行を厳しく規制しており、国土交通大臣の個別許可・承認が必須となります。

特に、飛行場所がDID地区(人口集中地区)である場合、その規制はより一層厳しくなります。

多数の建物や人が密集する環境でのドローン飛行は、万が一の事故の際に甚大な被害をもたらす可能性が高いため、最大限の安全確保が求められるからです。

「経路下は第三者ばかり」という状況は、ドローン飛行のリスクを最大化させ、許可取得のハードルを極めて高くします。

立入管理の至難さ

「催し場所上空」での飛行許可を得るためには、飛行範囲の外周全方位に、ドローンの飛行高度に応じた広い「立入管理区画」を設ける義務があります。

これは、ドローンが万が一落下した場合でも、第三者への危害を防止するための重要な安全措置です。

しかし、神輿の練り歩きのような移動する催しの場合、この立入管理区画の設定は「至難」を極めます。

経路全体にわたって常時、広範囲の立ち入りを制限することは現実的ではありません。

また、沿道に詰めかける不特定多数の観客に対して、物理的な区画設定や補助者による厳密な管理を行うことは、事実上不可能に近いと言えます。

「無理筋」への挑戦と解決策

このような「無理筋」とも思える状況に対し、相談者の熱意に応えるべく、現実的な解決策を模索してみました。

今回の事例で考えられる有効なアプローチは、「設定可能なポイントを三箇所程度探しホバリング撮影」というものです。

これは、神輿の経路全体を追いかけるのではなく、安全確保が可能な限定的な場所で、特定のシーンを狙って短時間・低高度でホバリング撮影を行うという現実的な提案です。

各ポイントでは、徹底した立入管理と安全確保体制を構築します。

そして、その安全確保のためにも重要なのが、「神社から民家への協力要請は可能」という点です。

神輿の練り歩きは地域の伝統行事であり、主催者である神社が地域社会と密接な関係を築いています。

この背景を活かし、神社を通じて沿道の住民や店舗にドローン飛行への理解と協力を仰ぐことで、一時的な立ち入り制限や安全確保への協力を得られる可能性があります。

地域の協力が鍵

ドローンが地域の伝統行事に貢献するためには、単に技術的な解決策だけでなく、地域住民や関係者(神社、役場など)からの深い理解と協力が不可欠です。

地域の伝統や文化への敬意を示し、安全対策について丁寧な説明を行い、事前に合意形成を図ることが、信頼を築く鍵となります。

地域の協力体制が整えば、厳しい規制の中でも、安全かつ円滑なドローン飛行を実現できる可能性が高まります。

まとめ

DID地区での移動する催し物(例:神輿練り歩き)の空撮は、「催し場所上空」という厳しい規制と、「立入禁止設定は至難」という現実の壁に直面する高難度案件です。

しかし、全経路を追うのではなく、安全確保が可能な限定的ポイントでの撮影、そして主催者を通じた地域住民への協力要請といった工夫により、その「無理筋」な挑戦にも活路を見出すことができます。

地域行事とドローンの融合には、法令遵守に加え、地域との深い連携、そして安全確保への妥協なき姿勢が不可欠です。

ドローンが伝統文化の魅力を引き出し、地域の活性化に貢献するためにも、常に安全を最優先し、地域社会との共存を目指していきましょう。

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