DIDイベント空撮はなぜ難しい|矢野事務所

DIDイベント空撮はなぜ難しい|矢野事務所

DID内の神社から出る神輿の練り歩きを、ドローンで沿道上空から撮影したい。

このような相談を受けることがあります。

地域の伝統行事を空撮できれば、映像としては非常に魅力があります。

しかし、実務上はかなり難しい案件です。

理由は、DID、催し上空、第三者上空、移動する人の列、沿道の観客、立入禁止区画の確保という論点が重なるからです。

つまり、「神輿を追って撮りたい」という撮影希望からではなく、「どこなら安全に成立するか」から逆算する必要があります。

DIDでの飛行については、まずドローンDIDとは?許可確認|矢野事務所で基本整理を確認しておく必要があります。

DIDイベント空撮が難しい理由

DID内で行われる神輿の練り歩きは、通常の空撮とはまったく違います。

神社、沿道、民家、店舗、観客、参加者、車両、歩行者が入り混じります。

飛行経路下には、ほぼ常に第三者が存在します。

この時点で、単なるDID飛行ではなく、催し上空の問題として扱う必要が出てきます。

イベント上空の飛行については、イベント上空はここで止まる|矢野事務所でも整理しています。

重要なのは、イベントであること自体ではありません。

不特定多数の人が集まり、その動きが読みにくく、経路下から第三者を排除しにくいことです。

経路下が第三者ばかりになる

神輿の練り歩きでは、参加者が移動します。

沿道には観客が集まります。

民家や店舗から人が出入りします。

つまり、飛行経路下を完全に空けることが非常に難しくなります。

この状態で神輿を追うように飛行すれば、第三者上空飛行になりやすくなります。

「少し上から撮るだけ」と考えると危険です。

航空法上は、経路下に誰がいるのか、立入管理ができるのか、第三者上空を避けられるのかが問われます。

DIDイベント空撮では、撮影したい構図よりも先に、経路下の第三者管理を確認しなければなりません。

移動する催しは立入禁止区画が作りにくい

催し上空の飛行では、立入禁止区画の設定が重要になります。

しかし、神輿の練り歩きのように移動する催しでは、この区画設定が非常に難しくなります。

固定会場であれば、一定範囲を区切り、補助者を配置し、出入口を管理する余地があります。

しかし、神輿は道路や沿道を移動します。

その経路全体で、広い立入禁止区画を維持することは現実的ではありません。

観客や住民の動きもあります。

地域行事としての性格上、人の流れを完全に止めることも簡単ではありません。

このため、全経路を追いかける飛行計画は、かなり無理筋になります。

全経路追尾ではなく撮影ポイントを限定する

今回のような相談では、全経路をドローンで追う発想をいったん外す必要があります。

現実的には、設定可能な撮影ポイントを三箇所程度探す方法が考えられます。

そのポイントで、短時間、低高度、定点または限定的なホバリング撮影を行う考え方です。

この方法であれば、全経路を管理する必要はありません。

撮影地点ごとに、立入禁止区画、補助者配置、民家や店舗への協力要請を設計できます。

つまり、撮影対象を追うのではなく、安全に撮れる場所を先に決めるという発想です。

DIDイベント空撮では、この発想転換が非常に重要です。

神社から民家への協力要請が鍵になる

神輿の練り歩きは、地域行事です。

神社、氏子、自治会、沿道住民、店舗、参加者の関係性があります。

この関係性を使えるかどうかで、飛行計画の現実性が変わります。

たとえば、撮影ポイント付近の民家や店舗に対し、神社側から事前に協力要請をしてもらう。

撮影時間だけ外へ出ないようお願いする。

窓やベランダ、敷地内からの出入りを一時的に控えてもらう。

補助者が声かけをできるよう、事前に周知しておく。

こうした協力が得られれば、限定された地点での撮影可能性は高まります。

逆に、地域協力が得られないまま、沿道上空から撮りたいというだけでは、運航成立はかなり難しくなります。

DIDイベント空撮は判断設計が必要

DIDイベント空撮は、単なる許可申請ではありません。

どこなら立入禁止区画を作れるのか。

どこなら第三者上空を避けられるのか。

どこなら神社や民家の協力が得られるのか。

どの地点なら補助者を配置できるのか。

どの時点で撮影を中止するのか。

これらを先に整理しなければなりません。

判断設計が必要な案件の考え方については、判断設計が必要なドローン案件とは|矢野事務所でも整理しています。

DIDイベント空撮は、熱意だけでは成立しません。

ただし、全てが不可能というわけでもありません。

追尾をやめ、撮影地点を限定し、地域協力を得て、立入管理を具体化できれば、可能性を検討できます。

無理筋でも検討する価値がある理由

今回の相談は、正直に言えば無理筋に近い案件です。

経路下は第三者ばかりです。

移動する催しです。

DID内です。

立入禁止区画の確保も簡単ではありません。

それでも、相談者の熱意に応えたいと思える案件でした。

その場合に大切なのは、無理を通すことではありません。

無理な部分を切り分け、成立する可能性のある形へ変えることです。

全経路追尾が難しいなら、撮影ポイントを限定する。

沿道全体の立入管理が難しいなら、管理可能な場所だけに絞る。

主催者の協力が必要なら、神社から住民へ協力要請してもらう。

このように、無理筋をそのまま申請するのではなく、成立可能な形へ組み替えることが重要です。

矢野事務所での実務上の整理

矢野事務所では、DIDイベント空撮について、最初から「できます」とは答えません。

まず、経路下に第三者がいるかを確認します。

次に、催し上空に該当するかを確認します。

そのうえで、立入禁止区画を作れる地点があるかを探します。

さらに、神社、民家、店舗、自治会などの協力が得られるかを確認します。

最後に、全体を追うのではなく、撮影可能なポイントへ落とし込みます。

DIDイベント空撮では、希望する映像をそのまま実現するのではなく、成立する撮影方法へ再設計することが必要です。

まとめ

DID内の神社から神輿の練り歩きをドローン空撮する案件は、非常に難しい案件です。

経路下には第三者が多く、催し上空申請が必要になり、立入禁止区画の設定も困難です。

全経路を追尾する発想では、運航成立はかなり難しくなります。

現実的には、撮影可能なポイントを限定し、神社や沿道住民の協力を得ながら、短時間・限定範囲で撮影する設計が必要です。

DIDイベント空撮は、「撮りたい」から始めるのではなく、「どこなら安全に成立するか」から考える必要があります。

◆ドローン運航は「事後説明」を前提に設計する◆

法人案件では「飛ばせるか」だけでは進まないことがあります

ドローン運航は、許可が取れるかだけでなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。

  • 第三者管理は維持できますか?
  • 監視体制は機能しますか?
  • 中止判断は定義されていますか?
  • 発注者・関係者への説明は通りますか?

これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まる方向に傾きます。

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