
道路上空ドローン飛行は警察調整で変わる|矢野事務所
道路上空をドローンで飛行する場合、「道路の上だから必ず道路使用許可が必要」と単純には整理できません。
一方で、「上空を通過するだけだから何もしなくてよい」とも言えません。
重要なのは、道路をどのように使うのか、交通へどのような影響があるのか、第三者や車両の状態をどう維持するのかです。
今回の事例では、屋上から離陸し、隣接道路上空でUターンし、建物内へ入るという飛行計画について、警察署へ事前相談を行いました。
前例がない事案として警備課内で検討され、結果として、
◎申請・届出は不要
◎ただし補助者配置と協力依頼による安全確保を前提にして実施可能
という整理になりました。
このページで分かること
道路上空は一律禁止ではない
道路上空のドローン飛行では、まず誤解を避ける必要があります。
道路の上を飛ぶからといって、常に道路使用許可が必要になるわけではありません。
また、道路上空を通過する飛行が、直ちに一律禁止になるわけでもありません。
問題になるのは、道路を使用しているかどうかです。
たとえば、道路上で離陸や着陸を行う場合。
道路上に操縦者、補助者、機材を置く場合。
交通を停止させる場合。
車両や歩行者の排除を前提にする場合。
このような場合は、道路使用許可や警察調整の必要性が強くなります。
一方で、道路を占有せず、短時間で上空を横断するだけの場合でも、現場条件によって判断は変わります。
つまり、道路上空飛行は「許可がいるか、いらないか」だけでなく、交通影響と安全確保の設計で見る必要があります。
99g機体でも現地調整は消えない
今回の事例では、使用機体は99gのFPVマイクロドローンでした。
そのため、航空法上の無人航空機としての許可・承認の枠組みとは切り分けて整理する必要がありました。
しかし、100g未満だから何も考えなくてよいわけではありません。
航空法上の無人航空機に該当しない場合でも、道路、警察、施設管理、第三者安全、近隣対応の問題は残ります。
ここを飛ばして「対象外だから大丈夫」と進めると、現場で説明できない運航になります。
つまり、機体重量の問題と、現地で運航が成立するかは別問題です。
99g機体であっても、道路上空を使うなら、交通影響と第三者状態をどう管理するかを整理する必要があります。
前例なし案件は条件で整理する
今回の相談では、警察側でも前例がない事案として扱われました。
前例がないから直ちに不可ということではありません。
重要なのは、飛行内容、道路への影響、安全措置、補助者配置、車両対応を条件として整理することです。
警察側の整理は、次のようなものでした。
- ドローン飛行については、申請・届出不要
- 駐車制限について、許可書等を根拠に強制することはできない
- 道路に補助者を配置し、周囲の安全管理を行う
- 車両移動は強制ではなく、協力要請として対応する
- 通報や苦情があった場合は、警察官が現地で事情を確認する可能性がある
この整理の価値は、申請不要という結論だけではありません。
強制排除はできないという制約を踏まえたうえで、補助者配置と協力依頼により安全ラインを作った点にあります。
道路使用許可と道路上空飛行を混同しない
道路上空案件では、道路使用許可と道路上空飛行を混同しやすくなります。
道路使用許可は、道路を本来の交通以外の目的で使用する場合に問題になります。
したがって、路上で離着陸する、機材を置く、交通を止める、通行を規制するような場合は、道路使用の問題が強く出ます。
一方で、道路の上空を短時間通過するだけの場合でも、道路上の車両や歩行者に影響を与える可能性があるなら、警察相談が必要になる場面があります。
ここで見るべきなのは、形式的な許可名ではありません。
実際に道路交通へどのような影響を与えるのかです。
補助者配置は条件付き成立の中心になる
今回の事例で重要だったのは、補助者配置です。
補助者は、単に道路脇に立つだけではありません。
車両や歩行者の接近を確認し、必要に応じて操縦者へ伝え、飛行を継続できる状態かどうかを判断するための機能を担います。
また、駐車車両や周辺車両についても、強制的に排除することはできません。
そのため、車両移動が必要な場合は、協力依頼として対応する整理になります。
この制約を前提に、飛行の可否や中止条件を決める必要があります。
補助者を置いたという事実ではなく、補助者が何を見て、誰に伝え、どの状態で飛行を止めるのかが重要です。
第三者状態をどう維持するか
道路上空では、車両、歩行者、自転車、近隣住民、施設利用者など、第三者の動きが予測しにくくなります。
そのため、第三者状態をどう維持するかが運航成立性を左右します。
道路上空を飛行する瞬間に車両が近づいた場合。
歩行者が立ち止まった場合。
補助者の確認範囲を超えた場合。
協力依頼に応じてもらえない場合。
こうした場面では、飛行を継続するのではなく、中止や延期を判断する必要があります。
第三者と関係者の整理については、第三者と関係者の整理で止まる理由|矢野事務所でも整理しています。
包括申請では説明できない現地条件
道路上空案件では、包括申請や一般的な許可の有無だけでは判断できないことがあります。
今回のように、屋上から離陸し、隣接道路上空でUターンし、建物内へ入るという飛行は、現地条件に強く依存します。
道路幅。
交通量。
駐車車両の有無。
歩行者動線。
補助者の配置可能性。
通報時の説明。
これらは、個別現場ごとに変わります。
そのため、結論だけを他案件に横展開するのは危険です。
包括申請と現地条件の違いは、包括申請でも成立しない飛行とは|矢野事務所で整理している内容と同じです。
事前相談は文書化して残す
警察への事前相談で重要なのは、相談したこと自体ではありません。
どの前提で、どの飛行内容を説明し、どの条件で実施可能と整理されたのかを残すことです。
相談先。
相談日時。
説明した飛行内容。
警察側の整理。
補助者配置。
車両移動の扱い。
通報時の対応。
これらを残しておくことで、現地で事情確認があった場合にも説明しやすくなります。
事前相談は、口頭で済ませるものではなく、運航の説明資料として整理すべきです。
この考え方は、ドローン運航は『文書化』で成立する|矢野事務所に直結します。
道路上空飛行は運航管理の問題
道路上空ドローン飛行は、操縦できるかどうかだけでは判断できません。
警察相談、道路への影響、補助者機能、第三者状態、協力依頼、中止条件まで含めて設計する必要があります。
特に前例の少ない案件では、行政側に説明できる前提と条件を整えることが重要です。
許可書があるかどうかよりも、その飛行をどの条件で成立させるのかが問われます。
この点は、ドローンは操縦でなく運航管理|矢野事務所という考え方そのものです。
まとめ
道路上空ドローン飛行は、「必ず道路使用許可が必要」「上空通過なら何もしなくてよい」という二択では整理できません。
道路をどのように使うのか、交通へどのような影響があるのか、第三者状態をどう維持するのかによって判断は変わります。
今回のように、申請・届出不要と整理された場合でも、無条件に自由な飛行ではありません。
補助者配置、協力依頼、強制排除不可、通報時対応といった条件を前提に、運航として成立させる必要があります。
矢野事務所では、道路上空ドローン飛行を、許可要否だけでなく、警察調整、第三者管理、文書化、説明責任まで含めた運航成立の問題として整理します。
◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆
法人案件では「飛ばせるか」だけでは進まないことがあります
ドローン運航は、許可が取れるかだけでなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 発注者・関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まる方向に傾きます。
※飛行許可申請のみのご相談にも対応しています
