
ドローンショーでの補助者の役割と監視
このページはX(エックス)の投稿を深堀り解説したブログ記事です。
【Dショー】の補助者の数は1人当たり何機体が監視出来るか…という側面からも検討されます。規定がある訳ではありませんが飛行計画書にも機体数/人を記し安全体制を確認しています。更に当日は祭りの警備員も動員しショーの間だけ観客側に近い禁止区画に配置されたりします。万が一の対応体制です。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) June 29, 2025
夜空を彩るドローンショーは、観客を魅了する光の芸術です。
その華やかな演出の裏側には、極めて綿密な安全管理体制が不可欠となります。
多数のドローンを同時に飛ばすドローンショーでは、万が一の事態にも対応できる周到な準備が求められるのです。
ドローンショーの飛行許可を申請する際、航空局からは非常に詳細な安全体制の提示が求められます。
そこには、補助者の配置から緊急時の具体的な対応まで、厳格な基準が盛り込まれています。
今回は、ドローンショーにおける安全運航の「肝」となる、具体的な安全体制の構築と、それに伴う補助者の重要な役割について、航空局の要求事項も踏まえながら解説します。
このページで分かること
ドローンショー安全計画
ドローンショーの安全は、単一の対策で成り立つものではありません。
飛行高度、立入禁止区画、監視体制、そして緊急時の対応まで、あらゆる側面から計画的に安全を確保する必要があります。
厳格な区画設定
ドローンショーでは、最高飛行高度が厳しく設定されます。
例えば、最高高度が100mであれば、飛行範囲の外周からその最高飛行高度と同距離(100m)を半径とする範囲を立入禁止区画として設定することが求められます。
これは、万が一ドローンが飛行範囲外に逸脱したり、墜落したりした場合に、第三者への危害を最小限に抑えるための重要な措置です。
さらに、立入禁止区画内に一般の方が立ち入る可能性がある場合、ショーの飛行中は関係者以外の車両を通行止めにするといった具体的な対策も必要です。
これらの物理的な区画設定は、安全確保の第一歩です。
多層的な監視体制
設定された立入禁止区画への第三者の侵入を防ぐため、ショー当日は補助者と警備員の連携による常時監視が不可欠です。
例えば、補助者〇名と警備員〇名といった具体的な人員配置を計画書に明記し、区画への接近を確認した場合は、即座に注意喚起を行い、立ち入りを阻止する体制を構築します。
このような多層的な監視体制は、人間の目と人員による物理的な障壁を組み合わせることで、安全性を飛躍的に高めます。
2.補助者の役割と監視基準
ドローンショーにおける補助者は、単なる監視役にとどまらず、安全運航を支える重要な役割を担います。
その能力と配置は、航空局が審査する上で特に重視するポイントです。
1人約〇〇機の目視監視
ドローンショーの申請において、「補助者一人当たり約機の〇〇機の目視が可能」という具体的な数値が安全体制の補足事項として示されることがあります。
これは、明確な規定ではないものの、航空局が妥当と判断する目安の一つです。
補助者は、ショー中に飛行する多数のドローンの挙動を常に監視します。
計画された飛行経路からの逸脱、不自然な動き、異音の発生など、操縦者がディスプレイ上では気づきにくい細かな異常を肉眼で早期に発見する役割です。
約〇〇機という監視可能数は、補助者の訓練状況や監視体制、使用するドローンの特性によって変動する可能性はありますが、計画書を作成する上での重要な参考基準となります。
周囲状況の変化監視
補助者の役割はドローン本体の監視だけではありません。
飛行状況に加え、周囲の気象状況の変化(突風、雷雨の兆候など)や、予期せぬ第三者の侵入、不審な物体の接近なども常に監視します。
これらの情報を操縦者にリアルタイムで伝達し、安全な運航判断をサポートします。
補助者が広範囲かつ多角的に監視することで、操縦者はドローンの操作に集中でき、全体の安全性が向上します。
補助者の理解度
注意喚起などの監視業務を行う補助者は、当該飛行に用いるドローンの特性や、飛行マニュアルの記載内容を理解した上で業務を実施することが求められます。
これにより、補助者からの情報が正確で、状況に応じた適切な判断につながります。
3.夜間目視外飛行の準備
ドローンショーは夜間に行われ、多数のドローンを目視外で飛行させるケースがほとんどです。
この高度な飛行には、事前の徹底した準備が不可欠です。
事前確認と試験飛行
- 日中の経路確認
日中に、飛行させようとする経路とその周辺の障害物件、そしてドローンにおける電波の到達状態などを事前に確認し、適切な飛行経路を確定します。夜間では発見が困難な障害物や、電波状況の不安定な場所を事前に把握することは極めて重要です。 - 昼間の試験飛行
事前確認を踏まえ、昼間時に夜間飛行時と同様の飛行経路で試験飛行を実施します。これにより、実際の飛行経路におけるドローンの挙動やシステムの作動状況、周辺環境への影響などを事前に評価し、潜在的なリスクを洗い出します。
機体システム監視
ドローンに装備された各種システムが正常に作動することも、夜間目視外飛行では必須です。
- 位置・異常把握
地上でドローンに装備されたシステムを通じて、ドローンの位置及び異常の有無を常時モニターし、その記録を保管できることが求められます(不具合発生時に不時着した場合を含む)。 - 危機回避機能
電波断絶などの不具合発生時に、自動帰還機能や電波が復帰するまで空中で位置を維持する機能などのフェールセーフ機能が正常に作動することを確認します。これらの機能は、緊急時にドローンが暴走することなく、安全な状態を維持するために不可欠です。 - 遠隔操作能力
モニターを見ながら遠隔操作により、意図した飛行経路を維持しながらドローンを飛行させ、飛行経路周辺においてドローンを安全に着陸させることができる能力が求められます。
4.万が一の事態への備え
ドローンショーでは、万全の安全対策を講じても、万が一の事態は起こり得ます。
その際に対応できる体制を事前に構築しておくことが非常に重要です。
即座の飛行中止
最も重要なのは、万が一飛行立入禁止区画に第三者が接近した場合は、直ちに操縦者に連絡し、飛行を中止するという明確な手順です。
これは、人命の安全を最優先とする鉄則であり、連絡系統の確立と、即座に飛行を中断できる技術的な準備が求められます。
プログラムによる安全対策
ドローンの制御プログラムやファームウェアによる安全対策も重要です。
例えば、飛行範囲の外側5mにジオフェンスを設定し、これを超えた機体は強制的にその場で着陸または離発着場所に帰還するようにファームウェアを設定するといった措置です。
このジオフェンス機能は、物理的な立入禁止区画を補完する電子的な安全柵として機能します。
万が一、操縦の誤りやシステムエラーでドローンが設定された飛行範囲を超えそうになった場合でも、自動的に危険を回避する最後の砦となります。
機体間の距離を1m以上の間隔を保ち飛行するようプログラム設定することも、空中での衝突リスクを低減するための重要な対策です。
不時着時の回収体制
特に水上を飛行する場合、ドローンが水上に不時着し、沈没した際の具体的な対応が求められます。
直前の飛行ルートを追い不時着・沈没位置を特定し、本飛行にかかわる管理者・関係者と協力し、速やかに当該ドローンの回収を行う体制が必要です。
もしドローンの回収が困難な場合は、当該海域を所轄する土木事務所などの協力も得て、回収に努めることが明記されます。これは、環境汚染や第三者への影響を最小限に抑えるための重要な措置です。
補助者配置と記録
飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないよう、注意喚起を行う補助者の配置を、可能な限り均等な間隔で行うことが求められます。
飛行当日の補助者配置場所については、当該飛行記録もしくは別紙にて電子データ又は書面により保管・管理し、万が一の際の検証に備えます。
夜間離発着の照明
夜間時、離発着場所においては、車のヘッドライトや撮影用照明機材などを用いて、ドローンが安全に離発着できるように十分な明るさを確保する措置を講じます。
これにより、操縦者は離発着時の機体状況を正確に把握し、安全な操作を行うことができます。
5.ドローンショー成功のために
ドローンショーの企画・運営は、高度な技術と綿密な安全管理体制が求められる専門性の高い分野です。
緻密な飛行計画書
今回解説したような具体的な安全対策を網羅し、緻密に記述した飛行計画書を作成することが、航空局の許可を得る上で不可欠です。
この計画書は、ショーの安全性を担保する公的な文書であり、その内容がショーの成否を分けると言っても過言ではありません。
曖昧な記述や不足がある場合、審査が滞るだけでなく、最悪の場合、許可が下りない可能性もあります。
夜間飛行を行う体制及び目視外飛行を行う体制に合わせて、これらの基準に準拠した詳細な計画が必要です。
専門家への相談
ドローンショーのような多機体同時飛行は、通常のドローン飛行申請とは異なる、より専門的な知識と経験が必要です。
法規制の解釈から、飛行計画書の作成、安全体制の具体的な構築に至るまで、多くのハードルが存在します。
行政書士は、最新の法規制動向を把握し、飛行計画書の作成支援、安全管理体制の構築アドバイスなど、多岐にわたるサポートを提供します。
安全で感動的なドローンショーを成功させるためにも、計画段階から専門家を交え、確実な準備を進めることを推奨します。
行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。 全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。 【免責事項】
○当サイトのコンテンツや情報において可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、 誤情報が入り込んだり古くなったりすることもあり必ずしもその内容の正確性および完全性を保証するものではございません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害について、一切責任を負うものではございませんのであらかじめご了承ください。
○当サイトから移動された先のホームページは、当サイトが管理、運営するものではございません。移動先サイトで提供される情報の真偽、サービス等につきましても一切の責任も負いませんのでご了承ください。なお、予告なしに内容が変更または廃止される場合がございます。