ドローンショー許可申請、大規模演出への挑戦:矢野事務所

ドローンショー許可申請、大規模演出への挑戦

 

このページはX(エックス)の投稿を深堀り解説したブログ記事です。

ドローンショーは、夜空を彩る新たなエンターテイメントとして、その人気と注目度を急速に高めています。

幻想的な光の演出や、メッセージを空中に描く表現力は、従来のイベントでは不可能だった感動を生み出します。

弊所も、この夏8月に予定されている、訓練と本番を合わせて計3本のドローンショーの許可申請を進めているところです。

ドローンショーは、地域活性化やイベントの目玉として、主催者側から「進取の催事」として歓迎される傾向にあります。

しかし、その華やかさの裏側には、200機を超えるドローンを安全に飛行させるための、綿密な計画と厳格な安全確保体制、そして多大な労力が存在します。

特に、演舞の型が様々に変わるドローンショーでは、本番さながらの「訓練飛行」が不可欠であり、その安全対策は労大き仕事となります。

ドローンショーの複雑性と魅力

ドローンショーは、数百機、時には千機を超えるドローンが、コンピュータ制御によって一糸乱れぬ動きで夜空を舞い、光の絵や文字を表現するものです。

その魅力は、花火とは異なる表現の自由度、メッセージ性、そして環境への配慮にあります。

しかし、その実現には、航空法上の厳しい規制をクリアする必要があります。ドローンショーの飛行は、以下の複数の特定飛行に該当することがほとんどです。

  • 催し場所上空での飛行
    多数の観客が集合する場所の上空で行われるため、最も厳格な審査対象となります。
  • 夜間飛行
    夜空を彩る性質上、日没後から日の出までの夜間に行われます。
  • 多数の無人航空機の飛行
    多数のドローンを同時に飛行させるため、その群制御システムや運航管理体制が特に厳しく審査されます。
  • 目視外飛行
    地上から全ての機体を同時に目視で監視し続けることは困難なため、多くの場合、目視外飛行に該当します。

これらの条件が複合するため、ドローンショーの許可申請は非常に複雑となり、そのための準備には多大な時間と労力を要します。

訓練飛行の不可欠性

ドローンショーの成功には、本番さながらの「訓練飛行」が欠かせません。

演舞の型が様々に変わるショーでは、それぞれのパターンや機体間の連携を完璧にするためのリハーサルが必要です。

しかし、この訓練飛行も、本番と同様に航空法上の規制を受けます。

今回の事例では、訓練飛行そのものが「催し上空」には該当しない場合であっても「夜間+目視外飛行」という複合条件下の飛行となるため、個別申請が必須となります。

訓練飛行とはいえ、夜間の目視外飛行は、視認性の低下や障害物の把握困難、緊急時対応の難しさといったリスクを伴うため、極めて厳格な安全対策が求められます。

特に、200機を超えるドローンを扱う場合、その「配置・撤収だけでも相当の訓練コスト」がかかります。

これは、単に機体を飛ばす技術だけでなく、大規模な機体群を安全に管理・運用するためのロジスティクスと人員管理の能力が求められることを示唆しています。

安全体制構築の労力

ドローンショーの許可を取得し、安全に実行するためには、極めて高度で具体的な安全確保体制を構築し、それを申請書類で明確に示す必要があります。

  • 立入管理区画
    飛行範囲の外周全方位に、飛行高度に応じた広い立入禁止区画を設定し、第三者が侵入しないよう厳重に管理します。これは観客やスタッフの安全確保のために最優先される措置です。
  • 機体・システムの信頼性
    多数の機体を同時に、精密に制御できるシステム(群制御システム)の安全性、そして機体個々の信頼性が問われます。機体の整備状況や、自動制御機能の信頼性も重要ですし、万が一の機体トラブル時の個別対応策も必要です。
  • 運航管理体制
    多数の機体を安全に管理するため、統括操縦者、各機の操縦者、安全監視を行う補助者など、複数人による明確な役割分担と連携体制を構築します。リアルタイムでの飛行状況モニタリングや、緊急時対応計画も不可欠です。特に夜間・目視外においては、補助者の配置や役割が極めて重要になります。
  • 緊急時対応
    万が一の機体トラブルや気象急変、第三者の侵入など、あらゆる緊急事態を想定し、それぞれに対する具体的な手順と連絡体制を策定します。
  • 関係機関との連携
    発注元はもちろんのこと、管轄の警察署、消防署、地方航空局、イベント主催者などとの綿密な連携と調整が、ショーの円滑かつ安全な実施には欠かせません。

これらの安全体制を構築し、マニュアルに落とし込み、訓練を通じて習熟することは、まさに「労大き仕事」となるのです。

ドローンショーへの期待と責任

ドローンショーは、地域活性化やイベントの目玉として、その可能性を広げています。

役場からの歓迎は、ドローン技術が社会に貢献する新たな道を切り拓いている証拠と言えるでしょう。

しかし、その発展は、個々のドローンショーが安全に行われるかどうかにかかっています。

200機を超えるドローンを夜空に舞わせることは、高度な技術と同時に、極めて重い責任を伴います。

今回の許可申請のプロセスを通じて構築される綿密な安全計画と、訓練で培われるチームの連携こそが、感動的なショーを成功させるだけでなく、ドローンショー全体の社会受容性を高めるための基盤となります。

ドローンショーが日本のエンターテイメントとして、そして地域貢献のツールとして定着していくためには、常に安全を最優先し、法令を遵守し、そして何よりも人命と財産を守るという強い意識を持って臨む、プロフェッショナルな運航事業者の存在が不可欠です。

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