
ドローンショー許可申請、復興の空へ
このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。
【ミニサイズのドローンショー】を許可申請しました。まだ復興途上にある東北の小さな田舎町の夏祭りで…役場が発注元です。提案したのは100機そこらの小さなショーで起業し東北中を行脚している若い運航事業者です。紙申請の面倒さも忘れて一肌脱ぎたくなる気持ちです。彼の生まれ故郷だそうです。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) June 1, 2025
近年、ドローンショーの魅力は全国各地に広がり、大規模なイベントだけでなく、地域を盛り上げるための新たなコンテンツとしても注目されています。
特に、その背景に地域への熱い思いが込められた事例に立ち会うと、行政書士としても心が揺さぶられます。
今回、復興途上にある東北の小さな田舎町の夏祭りで企画された「ミニサイズのドローンショー」の許可申請を担当しました。
役場(第三セクター)が発注元となり、提案したのは100機そこらのショーで起業し、東北中を行脚している若い運航事業者です。
彼の生まれ故郷でショーを行うという熱意に、「紙申請の面倒さも忘れて一肌脱ぎたくなる気持ち」になりました。
このページで分かること
ドローンショーの魅力
ドローンショーは、従来の打ち上げ花火に代わる、あるいはそれを補完する新たなエンターテイメントとして、その可能性を広げています。
- メッセージ表現
ドローンが描く光の絵や文字によって、イベントのテーマやメッセージをより明確に伝えることができます。 - 環境への配慮
打ち上げ花火に比べて、騒音や煙が少なく、環境への影響が小さいという利点があります。 - 地域活性化
小規模な町でも実施可能で、観光客誘致や地域の賑わい創出に貢献します。今回の事例のように「100機そこらの小さなショー」でも、観客に感動と希望を与えることができます。
許可申請の要点
ドローンショーは、その特性上、航空法上の複数の特定飛行に該当することがほとんどであり、国土交通大臣への個別許可・承認が必須となります。
- 催し場所上空での飛行
不特定多数の観客が集合する場所の上空での飛行は、最も厳格な審査対象です。 - 夜間飛行
夜空を彩る性質上、日没後から日の出までの夜間飛行となります。 - 多数の無人航空機の飛行
複数のドローンを同時に飛行させるため、その群制御システムや運航管理体制が審査されます。 - 目視外飛行
地上から全ての機体を同時に目視で監視し続けることは困難なため、多くの場合、目視外飛行に該当します。
これらの条件が複合するため、許可申請は非常に複雑となり、そのための準備には多大な時間と労力を要します。
「紙申請の面倒さ」というは、そういいことです。
安全体制の構築
ドローンショーの許可を取得するためには、極めて高度で具体的な安全確保体制を構築し、それを申請書類で明確に示すことが不可欠です。
- 立入管理区画
飛行範囲の外周全方位に、ドローンの飛行高度に応じた広い立入禁止区画を設定し、第三者が侵入しないよう厳重に管理します。これは観客やスタッフの安全確保のために最優先される措置です。 - 機体・システムの信頼性
多数のドローンを同時に、精密に制御できる群制御システムの安全性、そして使用する機体個々の信頼性が問われます。機体の整備状況や、自動制御機能の信頼性も重要です。 - 運航管理体制
多数の機体を安全に管理するため、統括操縦者、各機の操縦者、安全監視を行う補助者など、複数人による明確な役割分担と連携体制を構築します。リアルタイムでの飛行状況監視や、緊急時対応計画も不可欠です。 - 緊急時対応
万が一の機体トラブルや気象急変、第三者の侵入など、あらゆる緊急事態を想定し、それぞれに対する具体的な手順と連絡体制を策定します。 - 関係機関との連携
発注元である役場はもちろんのこと、管轄の警察署、消防署、地方航空局、そしてイベント主催者などとの綿密な連携と調整が、ショーの円滑かつ安全な実施には欠かせません。
地域貢献と行政連携
今回の事例で特筆すべきは、「役場が発注元」である点、そして「彼の生まれ故郷」という事業者自身の地域への思いです。
地方自治体がドローンショーを地域活性化のツールとして積極的に活用していることは、ドローン産業の新たな可能性を示しています。
復興途上にある地域でのショーは、単なるエンターテイメント以上の意味を持ちます。
それは、地域に希望と活気をもたらし、人々の心を繋ぐ役割を果たすでしょう。
このような公共性の高い目的でのドローン活用は、許可審査の際に、より丁寧な協議を促す場合がありますが、安全基準が緩和されるわけではありません。
むしろ、その社会的意義に見合うだけの、より高いレベルでの安全確保が求められます。
まとめ
東北の小さな町の夏祭りでの「ミニサイズのドローンショー」の事例は、ドローンショーが持つ大きな魅力と、その実現には厳格な許可申請と高度な安全確保体制が不可欠であることを明確に示しています。
多岐にわたる特定飛行の条件をクリアし、安全なショーを成功させるためには、緻密な飛行計画、信頼できる機体とシステム、そして何よりも訓練された運航チームによる万全の安全確保体制が不可欠です。
地域貢献とドローン技術の融合が、社会に新たな価値を生み出す可能性を秘めているからこそ、私たちは安全かつ適法なドローンショーの普及に向けて、一層努力を重ねていかなければならないといと思っています。
行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。
全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。
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