
ドローンイベント上空飛行の許可ルール
このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。
イベント主催者の中には会場上空を自由に飛ばせると誤解されている方が多くいらっしゃいます。飛行させたい範囲の端(外周)から飛行高度と同じ距離分を立入禁止区画にしなくてはならないので来場者の上空では飛行が出来ません。この立入禁止区画を明確に示す事が許可申請の重要ポイントです。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) October 8, 2023
ドローンを使ってイベントを空撮する。その映像は、祭りの熱気やスポーツの迫力、コンサートの感動を、これまでにない視点から捉え、多くの人々に届けます。
しかし、多くの人が集まる場所の上空でのドローン飛行には、Xでも投稿したように、航空法で定められた非常に厳格なルールが存在します。
これが、「催し場所上空飛行」に関する規制です。
このブログ記事では、国土交通省の「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」という公式文書を基に、この「催し場所上空飛行」の許可ルールについて深く掘り下げ、その本質と注意点を分かりやすく解説します。
多くの人が「催し上空」について抱きがちな誤解を解消し、安全かつ適法なドローン運用の一助となれば幸いです。
このページで分かること
「催し場所上空」とは何か
航空法では、「多数の者の集合する場所での催しが行われている場所の上空」における無人航空機の飛行を原則として禁止しています
これは、万が一ドローンが墜落した場合に、地上の不特定多数の人々に危害が及ぶことを防ぐためです。
「多数の者の集合する催し」の判断基準は、単に集まっている人数や密度だけでなく、その催しが特定の場所や日時で開催されるものかどうか、また主催者の意図なども総合的に考慮して判断されます
具体的に「催し」に該当する例としては、以下のようなものが挙げられます
- 祭礼、縁日、展示会
- プロスポーツの試合、スポーツ大会、運動会
- 屋外で開催されるコンサート等のイベント
- ドローンショー(ただし、第三者の立入管理措置が行われている事前練習や企業向けの配信用撮影等を除く)
- 花火大会、盆踊り大会
- マラソン、街頭パレード、選挙等における屋外演説会、デモ(示威行為)
一方で、「催し」に該当しない例としては、ドローンの飛行に直接的または間接的に関与している者のみが参加する催し場所上空の飛行や、混雑による人混みや信号待ちといった自然発生的なものなどが挙げられます
ただし、これらの場合でも、特定の時間や場所に数十人が集合しているときは、「多数の者の集合する催し」に該当する可能性があるため、注意が必要です
なぜ規制が厳しいのか
「催し場所上空」でのドローン飛行が厳しく規制される最大の理由は、人への危害を防止することにあります
多くの人が集まる場所でドローンが落下すれば、その被害は甚大になる可能性が高いからです。
ここでいう「上空」とは、ドローンが「第三者」の直上を飛行する場合だけでなく、飛行させる無人航空機の落下距離(飛行範囲の外周から製造者等が保証した落下距離)を踏まえ、当該無人航空機が落下する可能性のある領域に第三者が存在する場合も、「第三者上空」にあるものとみなされます
つまり、ドローンの真下でなくても、落下すれば人がいる場所に到達する可能性があるなら、それは「催し場所上空」のリスク管理の対象となるのです。
許可申請と安全措置
「催し場所上空」でのドローン飛行は、原則として国土交通大臣の個別許可・承認が必須です
この許可を得るためには極めて高度な安全確保措置を講じ、それを飛行計画書やマニュアルで詳細に提示する必要があります。
特に重要なのが「立入管理措置」です
これは、ドローンの飛行経路下において、操縦者や補助者以外の第三者の立入りを管理するための措置です
具体的な措置には、以下のようなものがあります
- 補助者の配置
飛行エリア内に補助者を配置し、監視や口頭での警告を行います。 - 立入りを制限する区画の設定
飛行させる無人航空機の落下分散範囲を考慮し、その区画の範囲を明示するために看板やコーン等を設置するなど、関係者以外の立入りを制限します。
なお、技能証明を有する者が機体認証を受けた機体を飛行させる場合であって、カメラを活用して補助者を配置せずに目視外飛行を行う場合においては、機体カメラにより進行方向の飛行経路の直下及びその周辺への第三者の立ち入りが無いことを確認することで、立入管理措置が行われているものとみなされる特例もあります
緊急時の義務と注意点
「催し場所上空」での飛行計画を立てる上で特に注意すべきは、飛行許可・承認の有無にかかわらず、緊急時に負う義務です。
もし、飛行予定経路下において想定していなかった「多数の者の集合する催し」が開催されることが明らかになり、飛行場所に第三者の立ち入りやそのおそれがあることを確認した場合は、直ちに当該無人航空機の飛行を停止し、飛行経路の変更、または航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがない場所への着陸など、必要な措置を講じなければなりません
これは、ドローンを操縦する者にとっての最終的な安全確保義務であり、常に人命を最優先する判断が求められます。
まとめ
ドローンによる「催し場所上空飛行」は、その華やかさの裏で、航空法上の厳格な規制と安全確保が求められる、非常に専門的な領域です。
多数の者が集まる場所での飛行は、物理的な距離だけでなく、その催しの影響範囲や飛行目的によって「催し上空」と判断される可能性があるため、安易な自己判断は危険です。
許可申請の要点を正確に理解し、綿密な飛行計画、そして何よりも人命を最優先する安全対策(特に立入管理措置)を徹底することが不可欠です。
ドローンが社会に広く受け入れられ、安全に空を飛び交うためには、私たちドローンユーザー一人ひとりが、法令の正しい解釈を学び、高い安全意識を持って行動することが鍵となるでしょう。
行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。
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