
外国人のドローン空撮 日本で実現するには
このページはX(エックス)の投稿を深堀り解説したブログ記事です。
【インバウンド】客が空撮飛行するにはどうしたら良いか…との相談がツアーコンダクターの方から来ました。自国で日本観光を宣伝する為の事業空撮とのこと。風光明媚な日本列島の映像価値は我々の想像を超えるようです。インバウンドサポートビジネスもありでしょうか。外国人にも飛行許可は出ます。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) January 11, 2025
「お客様が日本でドローンを飛ばしたいと言っているけれど、どうしたらいいの?」
ツアーコンダクターの皆様、外国人観光客でも日本でドローンを飛行させることは可能です。
しかし、日本の法律を理解し、適切な手続きを踏むことが必須となります。
今回は、ツアーコンダクターの皆様がお客様からの質問にスムーズに答えられるよう、外国人観光客のドローン空撮に関する日本のルールと、その対応策を分かりやすく解説していきます。
このページで分かること
1.なぜ許可が必要か?日本の航空法と外国人への適用
まず、大前提として知っておいていただきたいのは、日本でドローンを飛行させる場合、日本の「航空法」が適用されるということです。
これは、日本人であろうと外国人であろうと変わりません。
航空法は、空の安全と地上の人々の安全を守るために定められています。
例えば、空港の近くでドローンが飛んでしまうと、飛行機と衝突する危険があります。
また、人が多く集まる場所でドローンが落下すれば、大事故につながりかねません。
そのため、日本でドローンを飛ばす際には、事前に国土交通大臣の許可・承認が必要なケースが多くあります。
お客様が「自分の国では自由に飛ばせたのに」と思われるかもしれませんが、それは国によってルールが異なるためです。日本のルールを理解してもらい、安全第一で楽しんでもらうことが大切です。
2.飛行前の必須手続き:機体登録を忘れずに
日本でドローンを飛ばす上で、飛行許可申請の前に必ず済ませておくべき手続きがもう一つあります。それが機体登録です。
全てのドローンが対象
2022年6月以降、100g以上のドローンは、趣味・業務を問わず国土交通省への機体登録が義務化されています。登録されていないドローンは日本国内で飛行させられません。外国人のお客様のドローンも例外ではありません。
なぜ機体登録が必要か?
機体登録は、所有者情報を明確にし、万が一事故が起きた際の原因究明や、安全対策の徹底を図るために導入されました。登録すると、ドローンには登録記号が表示され、これが識別情報となります。
機体登録の具体的な流れ
- DIPS(ドローン情報基盤システム)にアクセス
国土交通省のオンラインシステム「DIPS」を利用して申請します。 - 所有者情報の登録
お客様の氏名、住所(日本での滞在先など)、連絡先などを入力します。 - 機体情報の登録
使用するドローンの製造者、型番、製造番号などを入力します。 - 手数料の支払い
登録には手数料がかかります。オンライン申請の場合はクレジットカードなどで支払います。 - 登録記号の発行と表示
登録が完了すると、登録記号が発行されます。お客様は、この登録記号をドローン本体の見やすい場所に表示する必要があります(シールを貼るなど)。
機体登録は、飛行許可申請とは別の手続きです。許可申請をスムーズに進めるためにも、来日前に、あるいは来日後できるだけ早くこの機体登録を済ませておくよう、お客様に案内することが非常に重要です。
3.飛行許可の基本を知る:誰が申請し、どんな方法がある?
機体登録が済んだら、いよいよ飛行許可の申請です。
誰が申請するのか
基本的にはドローンを操縦する本人が申請を行います。
つまり、お客様自身が国土交通省に申請書を提出する必要があります。
もちろん、行政書士などの専門家が、お客様に代わって申請をサポートすることは可能です。
包括申請と個別申請の使い分け
申請方法には、大きく分けて二つのタイプがあります。
- 包括申請
「〇月〇日から〇月〇日までの期間、日本全国の特定条件下でドローンを飛ばしたい」といったように、ある程度の期間や広範囲で反復して飛行させる場合に有効です。例えば、日本の複数の観光地を巡りながら、事業目的で空撮を行いたいお客様に最適です。一度許可を取得すれば、その期間内は個別の飛行ごとに申請する必要がなく、手続きの手間を省けます。 - 個別申請
「〇月〇日の〇時~〇時に、〇〇(特定の場所)でドローンを飛ばしたい」というように、特定の場所と日時に限定して飛行させる場合に利用します。例えば、ある一つの場所で短時間の空撮を予定しているお客様に適しています。包括申請よりも審査期間が短い場合がありますが、飛行するたびに申請が必要です。
お客様の旅程や空撮の目的に合わせて、どちらの申請方法が適切かを見極めることが重要です。
4.必要書類と準備のポイント:お客様への依頼と翻訳
許可申請には、いくつかの書類が必要となります。
ツアーコンダクターの皆様がお客様にスムーズに協力を仰ぐためのポイントをご紹介します。
共通で必要なもの
これは日本人と同じですが、以下の情報が求められます。
- ドローンの機体情報
使用するドローンの型番や性能、安全機能に関する資料です。メーカーのウェブサイトからダウンロードできる仕様書などが役立ちます。 - 操縦者の情報
お客様のドローン操縦経験や飛行実績を証明する書類です。これまでの飛行時間や、もしあれば海外で取得したドローンのライセンス、講習修了証などが該当します。 - 飛行マニュアル
ドローンを安全に飛行させるための手順や確認事項をまとめたものです。
外国人固有の書類と翻訳
外国人のお客様の場合、これらに加えて以下の書類や対応が必要になります。
- パスポートの写し
お客様の身元確認のため必要です。 - 日本での連絡先
日本滞在中に確実に連絡が取れる電話番号(日本のSIMカードをお持ちの場合など)や、宿泊先の情報(ホテル名と住所)が必要です。緊急時に連絡が取れることが重要視されます。 - 日本語への翻訳
提出する書類は原則として日本語である必要があります。お客様が用意する書類(例:操縦経歴書、海外のライセンス)が外国語の場合、**その日本語訳を添付しなければなりません。**これはGoogle翻訳のような自動翻訳ではなく、専門の翻訳者による正確な翻訳が求められることが多いです。
お客様には、これらの書類準備に時間がかかることを事前に伝え、余裕を持って準備してもらうよう促しましょう。
5.飛行場所と方法の制限:法律で禁止されている場所と特別な許可
航空法でドローンの飛行が原則禁止されている空域や飛行方法があります。
ツアーの企画段階で、お客様が「ここで飛ばしたい」とおっしゃる場所が、これらの制限に該当しないか確認が必要です。
法律で禁止されている場所
- 空港等の周辺空域
飛行機が離着陸する空港やヘリポートの周辺は、ドローン飛行が厳しく制限されます。 - 人口集中地区(DID地区)の上空
人口が密集しているエリアは、ドローンが落下した場合のリスクが高いため、原則として飛行できません。都市部や住宅街などが該当します。 - 国の重要な施設や外国公館、防衛施設等の周辺空域
これらの施設とその周辺は、安全保障上の理由から飛行が禁止されています。
これらの空域で飛行させるには、非常に厳しい審査と特別な許可が必要となり、許可が下りないケースも少なくありません。
特別な許可が必要なケース
また、飛行許可・承認を得ていても、以下のような飛行方法や場所は原則として禁止されており、別途特別な許可が必要となります。
- 夜間飛行
日没後から日の出までの飛行。 - 目視外飛行
ドローンを目視できない範囲での飛行(モニターを見ながらの飛行も含む)。 - 人や物件から30m未満の距離での飛行
第三者や建物、車両などとの距離が近すぎる飛行。 - イベント上空での飛行
お祭りやスポーツイベントなど、人が多数集まる場所の上空での飛行。 - 危険物の輸送や物件投下
ドローンで物を運んだり、落としたりする行為。
これらの制限をクリアするための安全対策や追加書類が必要になりますので、お客様の要望がこれらに該当しないか、事前に確認しておくことが大切です。
6.ツアーコンダクターの役割:お客様への事前案内と現地での注意喚起
ツアーコンダクターの皆様は、お客様が日本で安全に楽しくドローンを飛ばすための重要な橋渡し役です。
お客様への事前案内
- 日本のドローン規制の存在
お客様が来日する前に、「日本にはドローンに関する厳しい法律があり、許可が必要です」ということを明確に伝えましょう。 - 申請には時間がかかること
許可申請には通常、最低でも10営業日以上かかります。書類の不備などがあればさらに遅れるため、余裕を持ったスケジュールで準備を始めるよう促してください。 - 必要な書類のリスト
上記「必要書類」の項目を参考に、お客様に用意してほしい書類を具体的にリストアップして伝えましょう。 - プライバシーや肖像権、文化財への配慮
日本の文化やマナーとして、他人のプライバシーを侵害しないこと、撮影禁止の場所があることなどを伝えておくと安心です。
現地での注意喚起
- 飛行前の最終確認
許可を得た場所と日時、そして飛行方法が正しいか、お客様と一緒に最終確認を行いましょう。 - 天候の変化
日本の天候は変わりやすいです。特に山間部や海岸部では、急な突風や霧が発生することもあります。悪天候時は無理に飛行させないよう、お客様にアドバイスしてください。 - 周囲への配慮
騒音や、他の観光客の邪魔にならないよう、周囲への配慮を促しましょう。
7.専門家と連携するメリット:行政書士のサポート内容とツアー企画
「自分で全てのお客様のドローン許可申請をサポートするのは大変だ…」そう感じた時は、私たち行政書士のような専門家を頼ってください。
行政書士のサポート内容
- 法律相談
お客様のドローン飛行計画が日本の法律に適合するかどうかを事前にアドバイスします。 - 申請書類の作成支援
お客様から提供された情報に基づき、日本語での正確な申請書類作成をサポートします。 - 国土交通省への申請代行
お客様に代わって、国土交通省への申請手続きを全て代行します。 - 地域ごとの条例調査
航空法以外の、都道府県や市町村独自の条例(公園内でのドローン禁止など)についても調査し、情報提供します。
安心してツアーを企画するために
専門家と連携することで、ツアーコンダクターの皆様は、お客様からのドローンに関する質問に自信を持って答えられるようになります。
また、複雑な法的手続きに時間を取られることなく、本来のツアー企画やお客様のサポートに集中できるようになります。
外国人観光客のドローン空撮は、日本の魅力を世界に発信する素晴らしい機会です。
適切な知識とサポート体制を整え、お客様に安全で思い出に残る空撮体験を提供できるよう、ぜひ私たち行政書士をご活用ください。
行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。 全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。 【免責事項】
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