ゴルフ場のドローンと高度150m制限:矢野事務所

ゴルフ場のドローンと高度150m制限

 

このページはX(エックス)の投稿を深堀り解説したブログ記事です。

ゴルフ場でも、ドローンの飛行には航空法が厳格に適用され、特に地表または水面から150m以上の高度での飛行には、原則として国土交通大臣の許可が義務付けられています。

「ゴルフ場は平坦な場所が多い」という認識は一般的ですが、実際にはゴルフ場内でもこの150mの高度制限は容易に超過する可能性があります。

本稿では、その理由と、制限を超える飛行における個別申請の必要性、そして包括申請では対応が難しい場合があること、さらには特例の適用可能性について解説します。

150m以上の地形的要因

ゴルフ場と聞くと広大な平地を想像しがちですが、日本のゴルフ場には多種多様な地形が存在します。

高低差の大きい地形

丘陵地帯や山間部に造成されたゴルフ場では、ティーグラウンドが高所に設けられたり、グリーンに向かって緩やかな下り斜面が続くホールが存在します。

ドローンを離陸させた後、わずかな移動であっても、その真下の地表との高低差が拡大し、結果として150mの高度制限を容易に超過する可能性があります。

谷越えや池越えのホール

景観に優れた谷越えのホールや大規模な池越えのホールでは、ドローンが谷や池の上空を飛行する際、その真下の地表または水面からの距離が著しく長くなります。

これにより、目視以上の高度に達し、150mの制限を超える可能性があるため、特に注意が必要です。

崖や急斜面に隣接する場所

コースの一部が崖や急斜面に隣接している場合、そこの箇所から離れてドローンを飛行させると、地表からの距離が一気に増大し、結果として高高度飛行となる要因となります。

このように、ゴルフ場の多様な地形は、ドローンの飛行において地表からの高度が予想以上に高くなる要因となり得ます。

包括申請か個別申請か

日本の航空法は、ドローンの飛行に関して詳細な規定を設けています。

地表または水面から150m以上の高さの空域を飛行させる場合、原則として国土交通大臣への許可申請が必須となります。

ここでいう高度とは、ドローンの直下の地表からの高さを指します。

ドローンの飛行許可申請には、大きく分けて「包括申請」と「個別申請」の二種類があります。

  • 包括申請
    特定の禁止条件(例えば、DID地区、目視外、人・物件から30m以内の距離など)に許可を貰えばその範囲であれば、一定期間(最長1年間)にわたり、全国で飛行できる許可を取得するものです。多くの基本的な飛行はこの包括申請でカバーできます。
  • 個別申請
    包括申請ではカバーできない特定の飛行(例:DID地区での飛夜間飛行、夜間の目視外飛行、空港周辺、催し上空、そして150m以上の高度での飛行など)を行う場合に、その都度、飛行場所や日時、目的などを具体的に示して申請するものです。

包括申請の限界

ゴルフ場における150m以上の高度での飛行は、通常、包括申請の対象外となり、個別申請が必要です。

特に、地形が複雑で常に地表からの高度が変動するゴルフ場では、包括申請の条件(例えば、常に150m未満の高度で飛行指せることや、人や物件から30m以上の距離を確保する、といった前提)をクリアし続けることが難しく、結果的に包括申請では対応しきれないケースが多く発生します。

従って、ゴルフ場での飛行を計画する際は、最初から高高度飛行での個別申請を検討することが賢明です。

許可なく150m以上で飛行させた場合、航空法違反となり、罰則の対象となる可能性があります。

飛行前に確認すべき重要事項

ゴルフ場でドローンを安全かつ合法的に飛行させるには、以下の点を事前に必ず確認する必要があります。

ゴルフ場からの許可取得

最も重要なのは、事前にゴルフ場に対しドローンの飛行が可能であるか否かを確認することです。

多くのゴルフ場では、安全上の理由やプライバシー保護の観点から、ドローンの飛行を原則禁止している場合があります。

無許可での飛行は厳に慎むべきです。

飛行場所の地形把握

ゴルフ場の図面や現地での確認を通じて、地形の高低差を正確に把握することが重要です。

特に、ドローンを飛行させる箇所の周囲に高低差のある場所がないか、谷や池の深さがどの程度であるかを確認してください。

航空法の理解と許可申請

150m以上の高度で飛行する可能性がある場合は、必ず国土交通省へ個別申請を行ってください。

ゴルフ場の地形的特性から包括申請では対応が難しい場合が多いことを認識し、特例の適用可能性についても慎重に判断し、不明な点があれば専門の行政書士への相談をお勧めします。

申請には期間を要するため、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが肝要です。

周囲の状況確認ドローンを飛行させる際は、周囲に人がいないか、建物や送電線などの障害物がないかを十分に確認してください。

結論

ゴルフ場におけるドローン飛行は、魅力的な映像記録を可能にする一方で、航空法による厳格な規制が存在します。

特に地表からの高度150mという制限は、ゴルフ場の多様な地形を考慮すると、容易に超過する可能性があります。

この場合、包括申請では対応が難しいケースが多く、個別申請が不可欠となります。

無許可での飛行は法律違反に該当し、重大なトラブルに発展する危険性も孕んでいます。

ドローンを飛行させる前には、必ずゴルフ場の許可を取得し、飛行経路の地形を綿密に確認し、150m以上の飛行となる場合は個別申請を検討するなど、事前の周到な準備と航空法への深い理解を徹底してください。

行政書士矢野法務事務所は「高難度の申請を専門とする事務所」です。

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