ドローン 目視外飛行 補助者なしの条件:矢野事務所

ドローン 目視外飛行 補助者なしの条件

 

このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。

ドローン目視外飛行

ドローンを使った業務や趣味の幅が広がるにつれて、操縦者がドローンを直接目で見て操縦することが難しい「目視外飛行」を行う機会も出てきます。

目視外飛行は、その性質上、障害物への衝突や第三者への危害といったリスクが高くなるため、航空法上の特定飛行に該当し、原則として国土交通大臣の許可・承認が必要です。

通常、目視外飛行の安全を確保するためには、操縦者とは別に、ドローンや周囲の状況を監視し、操縦者に情報提供や指示を行う「補助者」を配置することが求められます。

しかし、この補助者の配置については、国土交通省の航空局から特定の条件下での見解が示されています。

今回は、この目視外飛行における補助者の役割、代替措置に関する航空局の見解、そして安全な運用に向けた注意点について詳しく解説いたします。

目視外飛行解説

定義とリスク

目視外飛行とは、文字通り、操縦者が自分の目でドローンを直接視認することなく行う飛行を指します。

例えば、モニター映像やFPVゴーグルを見ながらの飛行、あるいはGPSなどを用いた自動航行で、ドローンが視界の外を飛行する場合などがこれにあたります。

目視外飛行は、広範囲の撮影や、危険な場所の点検など、ドローンの活用範囲を大きく広げる一方で、リスクも伴います。

ドローンの正確な位置や姿勢、飛行経路上の予期せぬ障害物、そして第三者の出現といった、安全な飛行に必要な情報を操縦者がリアルタイムで把握しにくいため、状況判断の遅れや緊急回避操作の困難さが生じやすくなります。

レベル分類

ドローンの飛行形態は、リスクの高さや運用方法に応じてレベル分けがされています。

目視外飛行は、主にレベル3とレベル4に関連します。

  • レベル3飛行
    無人地帯(第三者が存在しない又は存在しない可能性が高い場所)での目視外飛行です。適切な安全対策を講じることで、補助者なしで行うことも可能とされます。
  • レベル4飛行
    有人地帯(第三者が存在する土地・建物)での立入管理措置無しで行う目視外飛行です。
    レベル4飛行はカテゴリーIII飛行に該当し、機体認証や技能証明などの厳格な安全要件を満たした上で、許可・承認を得て行われます。

今回解説する補助者なしの目視外飛行に関する論点は、特にレベル3飛行など、補助者の配置が論点となるケースです。

補助者の役割

安全確保

目視外飛行における補助者は、安全確保のために非常に重要な役割を担います。

補助者は、操縦者がモニター等を見ている間に、ドローンの周囲や飛行経路上の状況を直接目で監視し、障害物の接近、第三者の立ち入り、他の航空機、鳥類などの出現といった情報を操縦者にリアルタイムで伝達します。

また、飛行エリアへの第三者の侵入を防ぐための声かけや、必要に応じてドローンから第三者を安全な場所に誘導するといった役割も担います。

補助者は、操縦者が目視外のリスクを補完し、安全な飛行判断を可能にする「安全の要」と言えます。

不要な場合

原則として、目視外飛行には補助者の配置が求められますが、特定の条件下では、補助者を配置せずに目視外飛行を行うことが認められる場合があります。

これは、補助者が行う安全確保のための役割や機能を、代替措置によって担保できると判断されるケースです。

代替措置とは

航空局見解

国土交通省の航空局から示されている見解として、目視外飛行において補助者を配置しない場合でも、飛行エリアの周囲に看板を設置するといった「代替措置」を講じることで、補助者がいる場合と同等、あるいはそれに近い安全レベルを確保できると見なされる可能性がある、という考え方が示されています。

これは、補助者が行う「周囲への危険周知」や「立入防止」といった役割の一部を、看板の設置やその他の方法で代替することで、安全性を担保しようとするものです。

具体的な方法

補助者の代替措置として考えられる具体的な方法としては、以下のようなものがあります。

  • 飛行範囲の周囲に「ドローン飛行中 危険!立ち入り禁止」といった内容を明確に記載した看板や貼り紙を複数設置し、広く周知を行う。
  • 飛行エリアの境界や、第三者が侵入しやすい場所に、立ち入り禁止を明示するコーンやバーなどを設置する。
  • 第三者の侵入を防ぐための物理的な柵やネットの設置
  • 飛行エリア周辺に警備員を配置し、第三者の立入管理を行う(ただし、警備員の配置は厳密には補助者とは異なる位置づけとなる場合があります)。

これらの措置を単独、または組み合わせて講じることで、補助者がいない状況下での第三者の侵入リスクを低減することを目指します。

なぜ要注意?

しかし、航空局の見解では、このような代替措置について「現実的には第三者完全排除は不十分となるので要注意を…」という重要な注意喚起も併せて行われています。

これは、看板の設置やコーンによる区画だけでは、第三者がそれらを認識しない、あるいは意図的に無視して飛行範囲に立ち入ってしまう可能性を完全に排除することが現実的に困難であるためです。

例えば、看板を見落としてしまう、看板の意味を理解しない、あるいは意図的に立ち入るといったケースが考えられます。

補助者がいれば、このような状況に気づき、直接声かけや誘導を行うことができますが、代替措置だけでは、第三者の予期せぬ行動にリアルタイムで対応することが困難です。

特に、飛行範囲が広く、死角が多い場所では、代替措置だけでは第三者の完全排除は極めて難しいのが現実です。

許可申請へ

申請の考慮点

目視外飛行の許可申請において、補助者を配置せずに飛行を行いたい場合は、補助者の代わりにどのような代替措置を講じるのか、そしてその措置が飛行エリアのリスクに対してどの程度有効であるのかを具体的に示して申請する必要があります。

申請においては、代替措置の内容だけでなく、その措置がどのように機能し、第三者の侵入リスクをどの程度低減できるのかを、具体的な根拠とともに説明する必要があります。

また、代替措置だけでは対応できない残存リスク(例:看板を無視して侵入する第三者、予期せぬ場所からの侵入など)に対し、どのように対応するのか(例:監視カメラの活用、異常発生時の自動回避機能、緊急着陸場所の設定など)といった他の安全対策と組み合わせた総合的な安全管理体制を示すことが許可取得の鍵となります。

代替措置を講じたからといって、必ずしも補助者なしの飛行許可が得られるわけではなく、飛行場所の状況や飛行計画に応じた厳格な審査が行われます。

安全な運用

目視外飛行の許可が得られ、補助者なしでの飛行が認められた場合でも、代替措置に過信することなく、安全な運用を徹底することが不可欠です。

飛行前に飛行エリアの状況、第三者の立ち入り可能性を十分に確認し、リスクの高い場所での飛行は可能な限り避けるべきです。

飛行中は、ドローンのカメラ映像やセンサー情報、GNSS情報などを最大限に活用し、常にドローンの位置と周囲の状況把握に努める必要があります。

可能であれば、地上に第三者の監視員を配置したり、遠隔で飛行状況を監視できるシステムを活用したりすることも、安全性を高める上で有効です。

万が一、飛行中に予期せぬ第三者の立ち入りや機体の異常が発生した場合は、直ちに飛行を中止し、安全な場所に退避させることが最優先です。

結びに

ドローンの目視外飛行における補助者や代替措置に関する航空局の見解は、特定の条件下での運用を考える上で重要な指針となります。

補助者は目視外飛行の安全を確保するための基本ですが、看板等の代替措置によってその役割を代替できる可能性も示されています。

しかし、代替措置だけでは現実的なリスク(第三者の予期せぬ侵入など)に完全に対応することは難しいため、常に注意が必要です。

目視外飛行の許可申請を行う際には、単にルール上の代替措置を形式的に満たすだけでなく、飛行場所の固有のリスクを真摯に評価し、補助者の有無にかかわらず、最も効果的な安全対策を組み合わせた、実効性のある安全管理体制を構築することが不可欠です。

安全な目視外飛行のためには、事前の綿密な計画と準備、そして飛行中の徹底した安全管理が不可欠です。

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