ドローンの補助者とは何をする人?役割は?:矢野事務所

ドローンの補助者とは何をする人?

 

このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。

なぜ「補助者」が必要なのか?

まず、「補助者」がなぜ必要とされる場面があるのか、その役割から見ていきましょう。

補助者は、ドローンの操縦者とは別に、飛行の安全を確保するために配置される地上要員です。

補助者の重要な役割

補助者の主な役割は、多岐にわたります。

飛行状況・周囲の監視

操縦者がモニターを見ている間、補助者はドローンを目視したり、周囲の空域(他の航空機や鳥など)や地上(予期せぬ人や車両の接近など)を監視し、危険がないか常に確認します。

第三者への声かけ・制止

飛行エリアやその周囲に第三者が接近した場合、声かけをして安全な場所へ誘導したり、立ち入りを制止したりします。

操縦者への情報伝達

周囲の状況や危険情報を、操縦者にリアルタイムで正確に伝えます。

立入管理措置の補完

後述する立入管理区画内で、人が立ち入らないように見守る役割も担います。

 

このように、補助者は操縦者の「目」や「声」となり、ヒューマンエラーや予期せぬ事態への対応能力を高め、地上の安全を確保するために不可欠な存在なのです。

どんな飛行で補助者が必要?

補助者の配置は、特に「立入管理措置」が求められるような飛行や、高い安全対策が必要とされる特定の飛行方法(例:目視外飛行、夜間飛行など、飛行マニュアルや許可条件による)で義務付けられることが多いです。

「立入管理措置」とは、柵やロープで囲ったり、看板を設置したり、警備員を配置したりして、ドローンの飛行エリアや落下想定エリアに第三者が入らないようにする措置です。

補助者は、このような立入管理措置がきちんと機能しているかを監視したり、物理的な措置だけでは防ぎきれない立ち入りを防いだりする上で、重要な役割を果たします。

第三者が絶対に入れない山奥は例外? 

さて、ここからがXの投稿でも触れた、ちょっと面白い(そして厳しい)例外の話です。

通常、立入管理措置が必要な飛行では補助者の配置が義務付けられますが、「第三者が確実に⼊れない山岳地内その他の場所」については、補助者の配置が不要となる場合があります。

「立入管理措置が講じられているものとみなす」場所

これは、「第三者が物理的に立ち入ることが絶対に不可能である場所」であれば、わざわざ人が補助者として張り付いていなくても、「立入管理措置が講じられているものとみなす」という考え方に基づいています。

例えば、四方が切り立った崖に囲まれた場所や、人が歩いてアクセスできる道が一切なく、ヘリコプターや特別な登山技術でもない限り立ち入ることが不可能な場所などが想定されます。

このような場所では、そもそも第三者が飛行エリアに入ってくるリスクがゼロだから、補助者による監視や声かけも必要ない、という理屈です。

「物理的にゼロ」の厳しい証明

しかし、この「第三者が確実に⼊れない」という基準、これが非常に厳しいハードルとなります。

求められるのは、「物理的にゼロ」、つまりどんな手段を使っても、第三者が予期せず立ち入る可能性が全くないことの証明です。

「まあ、この山奥なら普通は誰も来ないだろう」とか、「人が来る可能性は低いだろう」といった可能性が低いだけでは全く認められません。

獣道すらなく、登山道も廃道化しておらず、ドローンチーム以外が立ち入る経路が物理的に存在しないことなどを、地図や写真、地形データなどを用いて、説得力をもって示す必要があります。

少しでも人が立ち入れる可能性があるなら、たとえそれが極めて困難な場所であっても、「物理的にゼロ」とはみなされず、原則通り補助者やその他の立入管理措置が求められることになるのです。

私の経験上も、この「物理的にゼロ」の証明は非常に難しく、お客様が「こんな山奥なら大丈夫だろう」と思われても、詳細な地形図などを確認するとわずかでも立ち入り可能な箇所が見つかる、というケースは少なくありません。

まとめ:安全確保は常に最優先

ドローン飛行における「補助者の配置」や「立入管理措置」は、地上の第三者の安全を守るための重要なルールです。

特に人が立ち入る可能性のある場所では、これらの安全対策が不可欠となります。

今回ご紹介した「第三者が確実に⼊れない山岳地内等」の例外規定は存在しますが、その適用基準は「物理的に立ち入りがゼロ」という極めて厳しいものであり、安易に「山奥だから大丈夫だろう」と判断することはできません。

適切な証拠をもって、その物理的な不可能さを示す必要があります。

ドローンの安全な運用のためには、ルールを正確に理解し、計画している飛行場所や方法にどんな安全対策(補助者、立入管理措置など)が必要なのかを正しく判断することが何よりも重要です。

もし、ご自身の飛行計画が複雑な場合や、例外規定の適用について判断に迷う場合は、私たちドローン専門の行政書士にぜひご相談ください。

安全かつ適法なドローン飛行のために、専門家としてサポートさせていただきます。

申請事例&ブログ一覧はこちら

行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。

全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。

 

【免責事項】
○当サイトのコンテンツや情報において可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、 誤情報が入り込んだり古くなったりすることもあり必ずしもその内容の正確性および完全性を保証するものではございません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害について、一切責任を負うものではございませんのであらかじめご了承ください。
○当サイトから移動された先のホームページは、当サイトが管理、運営するものではございません。移動先サイトで提供される情報の真偽、サービス等につきましても一切の責任も負いませんのでご了承ください。なお、予告なしに内容が変更または廃止される場合がございます。