
ドローン包括申請、更新と変更の注意点
このページはX(エックス)の投稿を深堀り解説したブログ記事です。
包括申請の「更新」は一年前に取得した内容が一切変わらず単にもう一年延長する際に使っています。機体や操縦者等のどれか一つでも変わった場合は「新規」の申請を行い、機体や操縦者やマニュアル等を変える際は「変更」申請を使っています。「変更」では元の許可の期間は変えられないので要注意です。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) January 16, 2024
多くの事業者にとって、航空法に基づく「包括申請」は、全国での年間飛行を可能にする重要な許可制度です。
しかし、この包括申請は最長で1年という有効期間が定められており、その継続的な運用には、「更新」「新規」「変更」という3種類の申請を適切に使い分ける知識が不可欠です。
これらの申請の使い分けを誤ると思わぬトラブルに発展したり、最悪の場合、無許可飛行と見なされるリスクもあります。
今回は、この包括申請における複雑な申請の種類と、それぞれの注意点について詳しく解説します。
このページで分かること
包括申請の有効期間
ドローンの飛行許可・承認における包括申請は、最長で1年間有効です。
この有効期間が満了する前に、継続してドローンを飛行させるためには、改めて国土交通省へ申請を行う必要があります。
ここで、その申請内容や状況に応じて、「更新」「新規」「変更」という異なる手続きが必要となるのです。
「更新」申請の条件
「更新」申請は、包括申請の有効期間を延長する最もシンプルな手続きです。
- 条件
包括申請によって取得した「一年前に取得した内容が一切変わらず単にもう一年延長する際」に使います。つまり、飛行させるドローンの機体、操縦者、飛行マニュアル、飛行形態(許可されている種類)など、申請内容に一点たりとも変更がない場合にのみ、「更新」として申請できます。 - メリット
申請手続きが比較的簡素で、DIPS(ドローン情報基盤システム)上でスムーズに進められることが多いです。 - 注意点
わずかな変更でもあれば更新申請はできません。その場合は、後述する「新規」または「変更」の申請が必要となります。
「新規」申請が必要なケース
「新規」申請は、その名の通り、包括申請を初めて行う場合や、既存の許可内容から大幅な変更がある場合、あるいは許可が失効してしまった場合に必要となります。
- 条件
「機体や操縦者等のどれか一つでも変わった場合は『新規』の申請を行い」と、Xの投稿で述べているのは、特に許可を一度取得した後に全く異なるドローンを追加したり、全く新しい操縦者を登録したりする場合など、許可内容の根幹に関わる大きな変更があったケースを指します。 - 具体例
- チームに新たな操縦者が加わり、その操縦者の情報を包括申請に追加したい場合。
- 新たな種類のドローン(例:これまでとは異なるカテゴリーの機体)を導入し、包括申請の対象に加えたい場合。
- 包括申請の有効期間が切れてしまい、更新手続きを忘れてしまった場合。
- 意図
新しい要素が加わることで、ドローン運用の全体の安全性が再評価される必要があるため、新規申請という形で詳細な審査が行われます。
「変更」申請の使いどころ
「変更」申請は、包括申請の有効期間中に、許可内容の一部を変更したい場合に用いる手続きです。
- 条件
「機体や操縦者やマニュアル等を変える際は『変更』申請を使っています」。これは、既存の許可内容の範囲内で、特定の情報を修正・追加したい場合に適用されます。 - 具体例
- 包括申請に登録済みのドローンに、一部改造を加えた場合(改造後の機体情報変更)。
- 包括申請に登録済みの操縦者の住所や氏名などの情報が変更になった場合。
- 安全性の向上を目的として、飛行マニュアルの内容を一部修正した場合。
- 包括申請で許可されている飛行形態の種類に、新たに追加したい飛行形態ができた場合(例:これまで目視内飛行のみだったが、夜間飛行も可能にしたい場合など)。
- 重要な注意点
「変更」申請では、元の許可の期間は変えられません。 「要注意です」。変更申請は既存の許可の有効期間を延長するものではないため、期間満了前に別途「更新」申請を行うか、必要であれば「新規」申請を行う必要があります。この点を誤解すると、思わぬ無許可飛行につながるリスクがあります。
適切な選択がトラブル回避の鍵
包括申請の「更新」「新規」「変更」という3種類の申請を適切に使い分けることは、ドローン事業を継続的に行う上で極めて重要です。誤った申請を行ってしまうと、以下のようなトラブルに繋がる可能性があります。
- 申請の差し戻し
申請内容と申請種別が合致しない場合、審査側から差し戻しを受け、手続きが遅延します。 - 無許可飛行のリスク
有効な許可がない状態で飛行してしまい、航空法違反となる可能性があります。 - 業務の中断
許可の遅延や失効により、予定していた飛行業務が中断せざるを得なくなります。
常に最新の登録・許可状況を把握し、有効期限の管理を徹底するとともに、変更点があった場合は、どの申請が必要かを正確に判断することが、コンプライアンスと安全運航を保証する鍵となります。
まとめ
ドローンの包括申請は、最長1年という有効期間内で、その内容に応じて「更新」「新規」「変更」という3種類の申請を適切に使い分ける必要があります。
「更新」は内容変更なしの延長、「新規」は大幅な変更や許可失効時、「変更」は一部内容修正に使われます。
特に、「変更」申請では元の許可期間は変わらないという点に注意が必要です。
諸申請を正確に使い分けることは、ドローン事業の継続的なコンプライアンスと安全運航を保証する鍵となります。
常に最新のルールを把握し、適切な手続きを行うことで、安心してドローンを事業に活用していきましょう。
行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。
全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。
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