ドローン判断の迷い解消!包括か個別申請か:矢野事務所

ドローン判断の迷い解消!包括か個別申請か

 

このページはX(エックス)の投稿を深堀り解説したブログ記事です。

「このフライト、包括許可で本当に大丈夫か?」「何か見落としはないか?」

ドローンを操縦する方にとっては、このような迷いを抱いた経験は少なくないと思います。

国土交通省のウェブサイトや02マニュアル(標準飛行マニュアル)と一言一句照らし合わせても、計画する飛行が規制の内か外か、判断に困ることがあります。

特に包括申請で飛行できる範囲は広いものの、例外や細かな条件が存在するため、その判断は経験者でも頭を悩ませるものです。

しかし、納得解が得られないままの見切り発車は、最も大きな危険を招きます。

今回は、ドローン飛行の判断に迷った時、どのように考え、安全かつ確実に飛行許可を得るのか解説します。

なぜ飛行判断に迷う?

ドローン飛行に関するルールは複雑で、常に最新の情報を把握しなければなりません。

この複雑さこそが、判断の迷いを生む大きな要因です。

複雑な規制と例外

航空法をはじめ、小型無人機等飛行禁止法、各地方公共団体の条例、施設の管理者による規制など、ドローンを取り巻く法律やルールは多岐にわたります。

包括許可を取得していても、特定の空域や飛行方法、あるいは地域のルールによっては、飛行が制限されるため、常に細心の注意が必要です。

例えば、包括許可で認められている飛行方法でも、「イベント上空」や「空港周辺」など、特定の空域では個別申請が必要になります。

また、人口集中地区での夜間目視外飛行など、複数の特定飛行を組み合わせる場合には、包括申請の対象外となり、個別申請が必要となるケースもあります。

こうした例外の多さが、判断を難しくしています。

安易な判断の危険

経験を積むと、「このくらいなら問題ないだろう」という安易な判断をしてしまいがちです。

しかし、曖昧な知識や思い込みは、重大な事故や法規違反につながるリスクを高めます。

特に、以下のようなケースは安易な判断が許されません。

  • 風速5m/s以上での飛行
     標準飛行マニュアルでは原則として禁止されていますが、風が弱いと感じても、実際には規定(製造者規定も含め)を超えている場合があります。
  • 第三者の上空や至近距離での飛行
    包括許可では、人や物件から30m未満でも飛行は可能ですが、第三者や交通量多い道路などは独自の安全対策が必要です。
  • 私有地の上空通過
    航空法では問題なくても、民法上の土地所有者の権利(上空の利用権)に抵触する可能性があります。

これらのルールを軽視した結果、罰則の対象となるだけでなく社会からの信頼を失うことにもなりかねません。

2.判断の第一歩:公式情報精読

迷いを解消する最も確実な方法は、国土交通省の公式情報を一言一句丁寧に読み解くことです。

国交省HPの活用

国土交通省のウェブサイトには、ドローンに関する最新の法令、申請手続き、Q&Aなどが公開されています。

特に、以下の情報は必ず確認しましょう。

  • 無人航空機飛行審査要領
    ドローン飛行許可・承認の具体的な審査基準が詳細に記載されています。読みにくいですが頑張って読破します。
  • 無人航空機飛行ルール
    航空法で定められた飛行禁止空域や特定飛行について、図解なども交えながら分かりやすく解説されています。

これらの情報は随時更新されるため、飛行計画を立てるたびに、最新版を確認する習慣をつけましょう。

02マニュアル精読

ドローンの飛行許可申請において「無人航空機を飛行させる者の運用に関する一般的な基準」、通称「02マニュアル」は、安全運航の基本となる最も重要な指針です。

包括許可で飛行を行う場合、原則としてこの02マニュアルに沿った運用が求められます。

  • 詳細な飛行手順
    飛行前確認、離着陸時の注意点、緊急時の対応など、具体的な運用手順が定められています。
  • 禁止事項の確認
    「5m/s以上の風速での飛行禁止」「夜間の目視外飛行は行わない」など、包括許可でも制約される条件が明記されています。

もし、計画している飛行がこの02マニュアルの内容と少しでも異なる場合は、包括許可の範囲外である可能性を疑い、個別申請や独自マニュアルでの申請を検討しなければなりません。

3.包括外の見極めと対応

包括申請では対応できないケースを正確に見極めることが、安全運航と法令遵守の鍵となります。

包括外となるケース

前述の通り、空港周辺やイベント上空などは包括申請の対象外です。

また、以下のようなケースも包括許可では飛行できません。

  • 特定飛行の組み合わせ
     例えば、人口集中地区での夜間飛行かつ目視外飛行など、特定の飛行方法を同時に行う場合は、包括許可の範囲を超える場合があります。
  • 業務目的以外
    包括申請は基本的に業務目的の飛行に限定されます。趣味での飛行は、個別申請が必要です。
  • 機体認証・技能証明なし
     特定のカテゴリーの飛行においては、機体認証や操縦者技能証明が必須となり、包括許可の適用外となる場合があります。

これらのケースに該当する場合は、たとえ包括許可を持っていても、別途「個別申請」を行わなければなりません。

独自マニュアルの必要性

02マニュアルでは対応できない、特殊な飛行計画がある場合は、「独自マニュアル」を作成して申請します。

独自マニュアルとは、標準マニュアルで定められた基準から逸脱する飛行方法(例:夜間の目視外飛行など)を行う際に、その飛行が安全に行われることを個別に証明するための詳細な手順書です。

リスク評価、安全対策、緊急時の手順などを具体的に記述し、その安全性を国土交通省に認めてもらう必要があります。

これは専門的な知識と経験が求められるため、行政書士などの専門家への相談を推奨します。

4.「見切り発車」の危険性

「多分大丈夫だろう」という見切り発車は、最悪の場合、取り返しのつかない事態を招きます。

事故・罰則のリスク

無許可飛行や許可条件違反は、航空法により50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

また、人身事故や物損事故を起こしてしまえば、罰則だけでなく巨額の損害賠償責任を負うことになります。

ドローンは落下物一つでも凶器になり得ます。

社会からの信頼失墜

事故や違反が報道されれば、事業者としての信用は失墜し、業務の受注停止や、今後のドローン事業からの撤退を余儀なくされる可能性もあります。

特に、昨今では企業のコンプライアンス意識が非常に高まっており、取引先がドローン事業者の法規制遵守状況を厳しくチェックする傾向にあります。

一度失った信頼を取り戻すことは容易ではありません。

5.納得解を得るためのステップ

迷いを断ち切り、安全かつ確実にドローンを飛行させるためには、以下のステップを踏むことが重要です。

飛行計画の整理

まずは、計画している飛行を詳細に整理しましょう。

  1. どこで(空域)
    空港周辺、人口集中地区、イベント会場、重要施設周辺など、規制の厳しい場所ではないか。
  2. いつ(時間帯)
    夜間飛行ではないか。
  3. どうやって(飛行方法)
    目視外飛行ではないか、人や物件から30m未満の飛行ではないか、危険物の輸送や物件投下はないか。
  4. 誰が(操縦者)
    操縦者の経験、技能、資格は十分か。
  5. 何のため(目的)
     業務目的か、趣味目的か。

これらの要素を明確にすることで、包括許可の範囲内か個別申請が必要かを判断するための情報が揃います。

専門家活用のメリット

ご自身で判断することに不安がある場合や、複雑な飛行計画の場合は、ドローンに詳しい行政書士へ相談することをお勧めします。

  • 正確な法規制の解釈
    最新の法令や審査要領に基づき、飛行計画に対する的確なアドバイスを提供します。
  • 適切な申請方法提案
     包括申請で可能なのか、個別申請が必要なのか、あるいは独自マニュアルが必要なのか、最も適切な申請方法を判断し、提案します。
  • 申請書類の作成支援
     複雑な申請書類の作成や、必要な添付書類の準備をサポートします。
  • リスクの最小化
    潜在的なリスクを洗い出し、安全対策を徹底することで、無許可飛行や違反のリスクを未然に防ぎます。

ドローン飛行の判断は、事業の成否、そして社会からの信頼に直結します。

曖昧なまま見切り発車をするのではなく、納得解を得て、安全で確実なドローン運用を心がけましょう。

行政書士矢野法務事務所は「高難度の申請を専門とする事務所」です。

全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。

 

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