ドローン個別申請、見積もりの賢い工夫:矢野事務所

。ドローン個別申請、見積もりの賢い工夫

 

 

このページはX(エックス)の投稿を深堀り解説したブログ記事です。


ドローンを使った業務を依頼する際、多くの発注者は、ドローン本体の費用や操縦時間にかかる費用は理解しやすいものの、その裏側で発生する「飛行許可申請」に関する費用については、その内訳が見えにくいと感じがちです。

特に、行政書士などの専門家に依頼しない、事業者自身で行う個別申請の場合、この「見えないコスト」の扱い方は、多くのドローン事業者にとって悩みの種となります。

私自身の経験としてXの投稿でも触れましたが、「個別申請が必要でも行政書士を使うまでもない場合も多い」という現実があります。

そのような時でも、見積書には「飛行許可申請関連業務」と一行記載し、交通費同様の「実費」として示しておくことをお勧めしています。なぜこの戦略が有効なのか、その背景と具体的なメリットを解説します。

「見えないコスト」の正体

ドローンの飛行許可申請は、単に書類を作成して提出するだけでなく、航空法や関連法令の調査、飛行計画の策定、安全対策の検討、必要に応じた関係機関との事前調整など、多岐にわたる専門的な業務を伴います。

これらの業務は目に見える「ドローンを飛ばす」という行為とは別に発生し、膨大な時間と労力を要します。

これこそが、ドローン業務における「見えないコスト」の正体です。

この「見えないコスト」を、発注者は十分に認識していない場合が多いため、適正な報酬を得るためには、このコストを適切に可視化し、説明する必要があります。

見積書への「一行記載」戦略

この「見えないコスト」を依頼者に見積もりの段階で提示するための有効な戦略が、私が推奨する「一行記載」です。

具体的には、見積書に「飛行許可申請関連業務」といった項目を設け、その費用を、交通費や消耗品費と同様の「実費」として記載します。

この「一行記載」には、いくつかの重要なメリットがあります。

  • 透明性の確保
    依頼者に対し、ドローンを飛行させるために、操縦や機材費以外にも申請業務にコストがかかることを明確に提示できます。これにより、業務内容の透明性が向上し、依頼者からの信頼を得やすくなります。
  • 交渉の余地と柔軟な対応
    依頼者のドローン業務への理解度は様々です。この項目を設けておくことで、依頼者が費用を渋る場合でも、最終的な請求時に、この項目を調整したり請求しなかったりという柔軟な対応が可能になります。
  • 後のトラブル回避
    事前に費用項目として提示しておくことで、後から「これは何の費用だ?」といった追加請求に関する疑問やトラブルを防ぐことができます。

「請求の事後判断」の妙

「発注者の理解は様々なので請求するか否かは事後の判断になります」という点は、ドローン事業における顧客対応の妙味です。

  • 顧客理解度の把握
    依頼者がドローン業務の全体像や、許可申請の手間をどれほど理解しているかは、案件によって異なります。見積もり段階で全ての費用を明確に提示しつつ、最終的な請求は、実際の業務の進行具合や、顧客の反応、案件全体の難易度、そして顧客との長期的な関係性などを考慮して判断するという柔軟な姿勢が、ビジネスを円滑に進める上で重要になります。
  • 信頼関係の構築
    事前に見積もりに記載しておくことで、たとえ最終的に請求しなかったとしても、「これだけの費用がかかる業務だが、今回はサービスします」という形で、顧客への誠意やプロとしての配慮を示すことができます。これは、単なる取引を超えた信頼関係の構築に繋がります。

不測の出費への備え

「不慮の出費の財源にも有用」という視点は、ドローン事業におけるリスク管理の側面を示しています。

ドローン業務では、天候による飛行延期、急な現場変更による飛行計画の修正申請、当局からの予期せぬ追加確認(補正)対応など、不測の事態が発生し、追加の作業や費用が発生することがあります。

このような「不慮の出費」に対応するための予備費的な意味合いで、この「飛行許可申請関連業務」の項目を設けておくことは、事業リスクを適切に管理し、安定した経営を維持するための一つの工夫となります。

プロフェッショナルの価値提示

飛行許可申請業務もまた、ドローン事業者が提供する価値の一部です。

単にドローンを操縦するだけでなく、航空法をはじめとする法規制への深い理解と、それに基づいた適切な申請手続きを遂行する能力をプロの証として示すべきと考えます。

これらの「見えない業務」を適切に見積もりに記載し、その価値を可視化することで、ドローン事業全体の信頼性と価値を高めることができます。

まとめ

ドローンの個別申請における「飛行許可申請関連業務」は、その見えにくさから過小評価されがちですが、見積書に「実費」として一行記載する戦略は、業務の透明性を確保し、柔軟な顧客対応を可能にする有効な手段です。

これは、不測の出費への備えにも繋がり、ドローン事業者がプロとしての価値を適切に提示し、安定した経営を築くための重要な戦略です。

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全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。

 

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