
ドローンの安全は「違反より危険」を気にする
このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。
【ビギナーの方の意識】が余りにも低過ぎて、たまらず送ったメール。「違反になるかどうか…ばかり気になさらず、危険かどうかを気にして下さい。法で禁止されてるのは危険だからです。飛行許可は単に一時的に禁止が解かれてるだけのことで、危険が消滅した訳ではありません」…連絡が途絶えました💦
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) February 9, 2025
ドローンの普及が進む一方で、その安全運航における操縦者の意識レベルには、依然として課題が残されています。
特に、ドローンを始めたばかりのビギナーの方々の中には、航空法上の「違反になるかどうか」ばかりを気にかけ、本当に重要な「危険かどうか」という視点がおろそかになりがちな傾向が見られます。
先日、あまりにも意識が低すぎると感じた方へ、たまらずメールを送りました。
「違反になるかどうか…ばかり気になさらず、危険かどうかを気にして下さい。法で禁止されてるのは危険だからです。飛行許可は単に一時的に禁止が解かれてるだけのことで、危険が消滅した訳ではありません」
残念ながら、その方からの連絡は途絶えてしまいましたが、このメールに込めた思いは、ドローンを飛ばす全ての皆様に伝えたい、安全運航の本質です。
このページで分かること
「違反」と「危険」の混同
ドローンを飛行させる上で、航空法をはじめとする法令を遵守することは当然の義務であり、極めて重要です。
しかし、法令はあくまで安全を確保するための「最低限の基準」であり、それさえ守れば全てが安全であるというわけではありません。
多くの操縦者は、「これは航空法違反になるのか?」という視点で、飛行の可否を判断しがちです。
しかし、法令が特定の飛行方法や空域を禁止しているのは、そもそもその行為が「危険」だからです。
この本質的な「危険」への意識が希薄なまま「違反」か否かだけに終始してしまうと、思わぬ事故につながる可能性があります。
許可取得後の「誤解」
飛行許可や承認を取得したからといって、その飛行が完全に安全になった、あるいは危険がなくなったと誤解している方もいらっしゃいます。これは、大きな間違いです。
飛行許可は単に一時的に禁止が解かれてるだけのことで、危険が消滅した訳ではありません。
許可は、特定の条件下で発生しうるリスクを行政が確認し、申請された安全対策を講じることを前提に、例外的に飛行を認めるものです。
例えば、DID地区での飛行許可を得たとしても、その地域での飛行が持つ潜在的な危険(人や物件への影響)がゼロになるわけではありません。
許可を得た後も、操縦者はその危険性を常に意識し、最大限の注意を払う義務があります。
「危険予知脳」の育成
ドローンの安全運航において真に求められるのは、この「危険予知能力」です。
これは、マニュアルに書かれていることだけでなく、刻々と変化する飛行環境の中で、潜在的な危険を自ら察知し、評価し、対策を講じる能力を指します。
- 飛行前の危険予知
天候の変化、予期せぬ障害物、第三者の行動、機体の微細な異変など、飛行を開始する前に想定しうるあらゆるリスクを洗い出します。 - 飛行中の危険察知
飛行中に変化する状況(風の強まり、鳥の接近、バッテリー残量、通信状況など)に常に注意を払い、危険の兆候を早期に察知します。 - 判断と対応
危険を察知した場合、飛行を中止する、経路を変更する、安全な場所に不時着するなど、瞬時に適切な判断を下し、行動に移します。
この「危険予知脳」は、経験の積み重ねだけでなく、体系的な学習や訓練(K Y T訓練など)を通じて、意識的に育成していく必要があります。
意識改革の難しさ
「危険かどうかを気にして下さい」という、安全の本質を突く言葉を伝えても、残念ながら「連絡が途絶えた」という事実は、この意識改革の難しさを物語っています。
表面的なルール遵守から、内面的な安全意識への転換を促すことは、時に受け入れがたい現実として捉えられてしまうことがあります。
しかし、ドローン産業が社会に広く受け入れられ、健全に発展していくためには、操縦者一人ひとりの意識改革が不可欠です。
法令を遵守することに加え、自らの操縦がもたらす可能性のある危険を深く認識し、そのリスクを管理する責任を負うという自覚が求められます。
まとめ
ドローンの安全運航には、航空法といった「法令遵守」はもちろんのこと、潜在的な危険を察知し、未然に防ぐ「危険予知能力」が不可欠です。
飛行許可は、あくまでリスクを管理することを前提に、一時的に禁止が解除されるだけであり、危険が消滅するわけではありません。
すべてのドローンユーザーは、「違反かどうか」という形式的な視点だけでなく、「危険かどうか」という本質的な安全への問いを常に自らに課し、自らの安全意識を高める努力を怠らないことが求められます。
この意識改革こそが、事故を防ぎ、ドローンが社会に広く受け入れられる未来を築くための鍵となるでしょう。
法令遵守と危険予知能力、この二つの車輪が揃って初めて、ドローンは真に安全な翼となります。
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