ドローン自衛隊基地周辺、同意書取得の壁:矢野事務所

ドローン自衛隊基地周辺、同意書取得の壁

 

このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。


ドローンの飛行において、最も厳格な規制が適用される空域の一つが、自衛隊基地の周辺です。

国の安全保障に直結する重要な施設であるため、その周辺でのドローン飛行には、航空法上の許可だけでなく、基地独自の厳しい手続きと、警察への事前提出義務が課せられます。

自衛隊基地周辺でのドローン飛行のご依頼がありました。

この飛行を実現する為には、まず10日前に基地へ「同意申請書」を提出し基地から同意書を発行してもらう必要があります。

しかし、この同意書が「なかなか出難い」のが実情です。

さらに、取得した同意書は、飛行の48時間前までに最寄りの警察署に、通報書とともに提出しなければなりません。

この一連のプロセスは、時間管理が非常に重要となります。

自衛隊基地周辺の規制

自衛隊基地の周辺空域は、航空法上の飛行禁止区域に指定されている場合が多く、加えて「小型無人機等飛行禁止法」の対象施設にも指定されています。

これにより、基地の敷地およびその周辺おおむね300mの上空でのドローン飛行は、原則として禁止されています。

これは、ドローンが基地の運用に影響を与えたり、安全保障上のリスクとなったりする可能性を排除するためです。

そのため、業務などでやむを得ず基地周辺でドローンを飛行させる場合は、極めて厳格な手続きが求められます。

同意書取得のプロセス

自衛隊基地周辺でドローンを飛行させる場合、まず、飛行を計画している10日以上前に、管轄の自衛隊基地に対し「同意申請書」を提出する必要があります。

この同意申請書には、飛行の目的、日時、場所、経路、使用機体、操縦者、安全確保体制などを詳細に記載します。

この同意書は、基地側が、ドローンの飛行が自衛隊の運用や安全保障に支障をきたさないか、慎重に審査し、問題がないと判断した場合に発行されるものです。

「なかなか出難い」というのは、基地側はその運用上の厳しさから、ドローン飛行に対して非常に慎重な姿勢を示しているからです。

この同意書は、基地の運用上の安全を確保するための、非常に重要な文書であり、飛行の許可を得るための前提となります。

警察署への事前提出義務

自衛隊基地周辺でのドローン飛行が特に複雑なのは、基地からの同意書取得だけでなく、小型無人機等飛行禁止法」に基づく警察署への事前提出義務があるためです。

この法律により、自衛隊施設周辺でドローンを飛行させる場合、飛行を開始する48時間前までに、飛行を行う場所を管轄する最寄りの警察署長に対し、飛行内容を記載した通報書と、基地から発行された同意書を提出しなければなりません。

この「48時間前まで」という時間的制約は非常に厳しく、少しの遅れも許されません。

提出書類は、「同意書」と、飛行計画を詳細に記載した「通報書」の二点です。

これらを所定の期日までに警察署に提出することで、警察は飛行の事実を把握し、必要な安全確認を行うことができます。

時間管理の落とし穴

この一連の手続きを滞りなく進める上で、最も注意が必要なのが「時間管理」です。

Xに投稿した「同意書は自衛隊の規定によりメールでなく郵送されて来ます。48h前に遅れないよう要注意です」という点は、実務上の大きな落とし穴となり得ます。

  • 基地からの同意書発行期間
    同意書の発行には、基地での審査に時間を要するため「なかなか出難い」という実情を考慮し、余裕を持ったスケジュールで申請を開始する必要があります。
  • 郵送期間の考慮
    基地から同意書が郵送で送られてくる場合、その郵送にかかる日数を見込む必要があります。土日祝日を挟むとさらに日数がかかるため、細心の注意が必要です。

これらを逆算し、飛行希望日から数週間、場合によっては1ヶ月以上の余裕を持って、基地への同意申請から開始することが、成功への鍵となります。

わずかな遅れが、飛行計画のキャンセルや、大きな損害につながるリスクがあるため、「要注意」という言葉はまさにその通りです。

まとめ

自衛隊基地周辺でのドローン飛行は、航空法上の規制に加え、基地からの「同意書」の取得、そして警察署への事前提出という、非常に複雑かつ時間管理がシビアな手続きを伴います。

同意書取得の難しさや、同意書が郵送で交付される特性を考慮し、飛行48時間前までの警察署への提出期限を厳守するためには、極めて早期からの計画開始と、関係機関との綿密な連携、そして完璧な時間管理が不可欠です。

ドローンを安全かつ適法に運用するためには、このような特殊な空域でのルールを正確に理解し、余裕を持った準備を進めることが何よりも重要です。

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