
ドローンJリーグ空撮、高難度飛行の裏側
このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。
【Jリーグの試合空撮】ではピッチの様子をスタジアムの外から狙う飛行でした。スタジアムの内側を見渡せる高度まで上昇するには広い立入禁止区画が必要でしたが、周辺を広大な練習場に恵まれ十分でした。手応えある映像に発注者はご満足のようです。 DID×夜間×目視外…という三階建の稀な申請でした。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) February 28, 2025
ドローンによる空撮は、スポーツ観戦の楽しみ方を大きく変えつつあります。
広大なスタジアムで繰り広げられるJリーグの試合を、空中から捉える映像は、これまでにない迫力と臨場感を提供します。
しかし、その華やかな映像の裏側には、航空法に基づく厳格な安全規制をクリアするための、綿密な計画と高度な技術が存在します。
先日、私自身もまさにその最前線とも言える「Jリーグの試合空撮」の申請を経験しました。
この飛行は「ピッチの様子をスタジアムの外から狙う」という特殊な撮影方法であり、その飛行計画は「DID(人口集中地区)×夜間×目視外…という三階建の稀な申請」を伴うものでした。
このページで分かること
Jリーグ空撮挑戦
Jリーグの試合空撮は、ドローンがスポーツエンターテイメントにもたらす価値を象徴するものです。
今回の撮影は、スタジアムの直上ではなく、「ピッチの様子をスタジアムの外から狙う」という工夫が凝らされていました。
これは、「催し場所上空」という特に厳しい規制を回避しつつ、目的の映像を得るためのアプローチです。
スタジアム外からピッチ全体を見渡せる画角を確保するためには、ある程度の高度までドローンを上昇させる必要があります。
しかし、その高度は、後述する高難度条件や安全確保の要件と密接に関わってきます。
「三階建」の高難度飛行
このJリーグ空撮の事例は、ドローンの特定飛行における、複数の条件が複合する「三階建」の申請という、極めて難易度の高いものでした。
- DID(人口集中地区)
飛行場所が人口集中地区に該当するため、万が一の事故の際の人や物件へのリスク管理が厳しく求められます。 - 夜間
試合終了後やナイターの演出を撮影するため、夜間飛行となる場合、視認性の低下や操縦の難易度が増します。 - 目視外
スタジアムの外からピッチを狙うため、操縦者から機体を直接目視できない状況での飛行が不可避となります。モニターからの情報のみで機体を制御し、周囲の状況を把握する能力が不可欠です。
これら3つの条件が複合することで、航空局の許可取得のハードルは飛躍的に高まります。個々の条件それぞれに対応する安全対策に加え、複合した際に生じる新たなリスクへの対策も求められます。
広大な立入管理区画の確保
この高難度飛行を安全に遂行するために不可欠だったのが、「広い立入禁止区画」の確保です。
飛行高度が高くなるほど、ドローンが万が一落下した場合の被害範囲が広がるため、航空法に基づく許可を得るためには、その飛行高度に応じた、より広い立入管理区画(安全確保範囲)を設ける必要があります。
今回の事例では、「スタジアムの内側を見渡せる高度まで上昇する」という撮影目標に対し、幸いにも「周辺を広大な練習場に恵まれ」、十分な立入管理区画を確保できたとのことです。
これは、複雑な空撮計画において、飛行場所の地理的条件が安全確保と許可取得に大きく影響する好例と言えるでしょう。
この広い区画内で、第三者の立ち入りを厳重に管理し、飛行中の安全を確保する体制が構築されます。
成功の鍵と腕の見せどころ
このような高難度飛行を成功させるための鍵は、綿密な飛行計画、万全の安全確保体制、高性能な機体、そして何よりも操縦者の高度な技能です。
「飛行範囲がかなりせばまる」状況下で、求められる画角や映像表現を確保しつつ、安全に飛行を遂行することは、まさに「操縦者の腕の見せどころ」となります。
限られた空間での精密な操縦能力、夜間・目視外での正確な機体制御、そして刻々と変化する状況への冷静な判断と対応能力が求められます。
また、事前の施設管理者や関係機関との綿密な調整も、円滑な飛行を実現するための重要な要素です。
ドローン中継の未来
今回のJリーグ空撮事例のように、「手応えある映像に発注者はご満足」という成果は、ドローンがスポーツ中継にもたらす大きな価値を示しています。
臨場感あふれる映像、これまでのカメラでは不可能だった革新的なアングルは、視聴者体験を格段に向上させます。
「これからドローン中継も増えて行きそう」という見通しは明るいですが、その実現には、常にこのような高難度飛行を安全かつ適法に遂行できるプロフェッショナルな操縦者、そしてそれを支える事業者側の組織的な安全管理体制が不可欠です。
まとめ
Jリーグの試合空撮事例を通して、DID×夜間×目視外という複合条件の高難度飛行を、立入管理区画の適切な確保によって成功させたプロセスを解説しました。
大球場という特殊な環境で安全な空撮を実現するには、緻密な飛行計画と、それを支える広大な安全確保範囲が不可欠です。
ドローンによるスポーツ中継の可能性は無限大ですが、それを支えるのは、安全運航へのゆるぎない取り組みと、プロフェッショナルな操縦者の技能に他なりません。
ドローンが社会に広く受け入れられ、その活躍の場をさらに広げるためにも、私たち一人ひとりの安全意識と法令遵守が問われています。
行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。
全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。
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