
DID夜間170m飛行は空域調整で決まる|矢野事務所
【ついにDIDで150M以上】しかも夜間の許可を取られました。果敢にチャレンジされた賜物です。4/25申請に航空局5/2。空港事務所が5/15と実に11開庁日でした。補正が出た訳でないのでそれだけ慎重だったという事でしょう。こちらの申請者は次に一年間の許可に挑戦されます。リカーリングへの挑戦です。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) May 15, 2025
金沢駅前で、DID・夜間・目視外・150m以上という複合条件のドローン飛行許可が下りました。
今回の飛行は、石川県金沢市の複合商業施設建設予定地において、60m、130m、150m、170mの各高度から360度展望を撮影する計画でした。
特に重要だったのは、単に170mまで上げることではありません。
150m以上飛行に伴う空域調整と、DID・夜間・目視外という現場管理を、別論点として整理したことです。
150m以上の飛行では、有人航空機との関係を前提にした空域調整が主眼になります。
一方で、DID・夜間・目視外では、第三者管理、監視体制、補助者配置、中止判断といった現場管理が重要になります。
つまり今回の案件は、「高く飛ばす許可」の話ではありません。
空域調整と現場管理を分離し、最後に一つの運航として成立させる設計が問われた案件です。
このページで分かること
DID・夜間・目視外に150m以上が重なった案件
今回の金沢駅前案件では、複数の特定飛行が同時に重なっていました。
- DIDでの飛行
金沢駅前の市街地であり、飛行場所は人口集中地区に該当します。 - 150m以上の飛行
最高高度170mまで上昇するため、高高度飛行として許可申請が必要になります。 - 夜間飛行
飛行時間帯に夜間が含まれるため、視認性低下を前提とした安全体制が必要になります。 - 目視外飛行
操縦者が常時直接機体を目視できない可能性を前提に、補助者・監視・通信体制を整理する必要があります。
このような案件は、単に包括申請の延長で処理できるものではありません。
DID・夜間・目視外は運航管理の問題です。一方で、150m以上の飛行は空域調整の問題です。
両者を混同すると、申請の主眼を誤ります。
DIDの基本的な考え方については、ドローンDIDとは?許可確認|矢野事務所でも整理しています。
170m飛行では空域調整が主眼になる
今回の飛行は、最高高度170mで実施する計画でした。
150m以上の高さになると、ドローンだけの問題ではなく、有人航空機の安全運航との関係が出てきます。
そのため、高高度飛行の許可申請では、飛行場所・飛行高度・飛行日時・飛行範囲・監視体制などを具体的に示し、関係機関との空域調整を行う必要があります。
今回の案件でも、小松基地との調整、神戸航空交通管制部との調整を行ったうえで申請を進めています。
ここで重要なのは、これを「空港関連空域の問題」として捉えないことです。
本件の中心は、170mという150m以上の高高度飛行に伴う空域調整です。
空港関連の調整ではなく、高高度飛行として、有人航空機との関係を整理する必要があったということです。
150m以上の飛行と空域調整については、ドローン高度150m以上の飛行許可:高難度申請の矢野事務所およびドローン150m以上飛行|空域調整の仕組み:矢野事務所で詳しく整理しています。
高高度の夜間目視外では、現場の監視体制が問われる
高高度飛行では空域調整が主眼になりますが、それだけで現場が成立するわけではありません。
今回の飛行は、夜間かつ目視外を含む計画です。
そのため、機体の位置、周辺状況、第三者進入、航空機接近、気象変化をどのように確認するかが重要になります。
飛行計画では、補助者を全体を見渡せる位置に配置し、立入監視や注意喚起を建築作業者と連携して行う体制を設定しています。
また、補助者は、飛行範囲に航空機が接近した場合、飛行経路下に第三者の進入を認めた場合、その他飛行に支障があると判断した場合には、飛行を中止するよう操縦者に助言する体制としています。
夜間・目視外飛行の考え方については、ドローン夜間目視外飛行、許可取得の鍵|矢野事務所も参照してください。
DIDでは第三者管理を具体化する必要がある
今回の飛行場所は、金沢駅前の複合商業施設建設予定地です。
DIDでの飛行では、「人がいないはず」という見込みでは足りません。第三者が飛行経路下に入らない状態を、現場でどう維持するのかを具体化する必要があります。
今回の計画では、周囲を防護壁に囲まれた立入禁止区画の下で、第三者が存在しない状況でのみ飛行することとしました。
さらに、入口および全体を見通せる敷地隅に補助者を配置し、第三者進入等を監視する体制を設定しています。
DIDの飛行で重要なのは、許可があることではなく、許可条件を現場で維持できることです。
風速対応も高高度前提で設計する
今回の計画では、高高度の夜間目視外飛行であることを踏まえ、強風時の対応も明確にしました。
具体的には、風速と速度の和が7m/sを超えた場合は、直ちに飛行を中止する設計です。
さらに、この判断の見落としに備え、送信機に強風警告が表示される機体を使用することも明記しています。
170mまで上昇する飛行では、地上付近の感覚だけで判断してはいけません。
高高度では、風の影響、機体挙動、復帰判断、着陸までの余裕を含めて、停止基準を先に決めておく必要があります。
補正なしでも11開庁日を要した意味
今回の申請は、4月25日に申請し、航空局が5月2日、空域調整側の確認が5月15日という流れでした。
補正が出たわけではありません。
それでも時間を要したのは、DID・150m以上・夜間・目視外という複合条件について、審査側が慎重に確認したためと考えられます。
高難度申請では、補正がないことと、審査が軽いことは同じではありません。
むしろ、補正を受けないように事前に飛行計画、空域調整、安全体制、独自マニュアルを整えておくことが重要です。
この案件の実務上の意味
今回の金沢駅前案件は、「DIDで150m以上、しかも夜間」という非常に難度の高い申請でした。
さらに、目視外飛行を含むため、単に高度の問題だけでなく、機体監視、第三者管理、補助者配置、風速対応、緊急時対応まで一体で整理する必要がありました。
150m以上の高高度飛行は、空域調整が主眼です。
一方で、DID・夜間・目視外は、現場で安全管理が成立するかが主眼です。
この二つを分けて整理し、最後に一つの飛行計画として成立させることが、高難度申請では不可欠です。
まとめ
金沢駅前での170m飛行は、DID・夜間・目視外に加え、150m以上の高高度飛行を含む案件でした。
この案件で最も重要だったのは、170mという飛行高度に伴う空域調整です。
そのうえで、DIDにおける第三者管理、夜間・目視外における監視体制、風速対応、補助者配置、独自マニュアルを具体化することで、実際の運航として成立する形に整えました。
高難度飛行では、「許可を取る」だけでは足りません。
どの論点が空域調整なのか、どの論点が現場管理なのかを分けて整理し、後から説明できる飛行計画にしておく必要があります。
◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆
法人案件では「飛ばせるか」だけでは進まないことがあります
ドローン運航は、許可が取れるかだけでなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 発注者・関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まる方向に傾きます。
※飛行許可申請のみのご相談にも対応しています
