ドローンロケは「関係者調整」で成立する|矢野事務所

ドローンロケは「関係者調整」で成立する|矢野事務所

 
 

ドローンロケは、航空法の許可だけで成立するものではありません。

特に、鉄道、田畑、河川、道路、自治体、地域関係者が絡む現場では、飛行許可よりも関係者調整の方が重くなることがあります。

田園地帯を走る列車の横を、ドローンで並行して撮影する。

映像としては魅力的でも、実務では簡単ではありません。

鉄道会社、田畑所有者、河川管理者、自治体、地域住民など、関係者が多岐にわたるためです。

このような案件では、「許可があるか」よりも、「関係者が説明できる状態になっているか」が重要になります。

この場所で事故にならずに運航できるかは、条件によって変わります。

飛行条件を確認する

航空法だけではロケ飛行は成立しない

ドローン飛行では、まず航空法上の許可・承認が問題になります。

DID、夜間、目視外、30m未満飛行など、該当する飛行方法や空域があれば、必要な手続きを確認する必要があります。

しかし、航空法をクリアしただけで、どこでも飛ばせるわけではありません。

ロケ飛行では、飛行場所そのものに多くの管理者や関係者が存在します。

鉄道敷地。

農地。

河川区域。

道路。

自治体管理地。

民有地。

それぞれに管理者があり、それぞれの安全上の懸念があります。

つまり、ロケ飛行は航空法だけでなく、現場関係者との調整で成立します。

鉄道会社が見るのは列車運行の安全

列車の横を並行して飛ばす場合、鉄道会社との調整は避けられません。

鉄道会社が最も重視するのは、映像の迫力ではありません。

列車運行の安全です。

ドローンが線路側へ逸脱しないか。

列車運行に支障を与えないか。

乗務員や乗客に不安を与えないか。

緊急時に即時中止できるか。

これらを説明できなければ、協力は得にくくなります。

鉄道会社に対しては、単に「撮影したい」と伝えるのではなく、安全確保の構造を示す必要があります。

田畑所有者との調整は軽く見られない

田園地帯での飛行では、田畑の所有者や耕作者との調整も重要です。

上空を通過するだけだとしても、離着陸場所、補助者配置、立入管理、車両の駐車、農作業への影響などが問題になります。

農地には農作物があります。

作業中の人がいます。

用水路や農道があります。

地域の慣習もあります。

そのため、地図上で飛行経路を引くだけでは足りません。

誰の土地で、誰に説明し、どの範囲を使い、どの時間帯に飛ぶのかまで整理する必要があります。

河川管理者との調整も必要になる

飛行経路や撮影地点に河川が関係する場合、河川管理者との調整が必要になることがあります。

河川敷を離着陸場所にする場合や、補助者を配置する場合、車両を進入させる場合などは特に注意が必要です。

河川は公共性の高い場所です。

防災、管理、占用、利用者の安全など、河川管理者側の視点があります。

そのため、ロケ飛行では「空を飛ぶ」ことだけでなく、「地上をどう使うか」も調整対象になります。

共通ルールがないから千差万別になる

このようなロケ案件で難しいのは、共通ルールがないことです。

鉄道会社ごとに対応は違います。

自治体ごとに考え方も違います。

土地所有者や地域関係者の受け止め方も違います。

つまり、「前回できたから今回もできる」とは限りません。

地域、管理者、撮影内容、飛行高度、飛行距離、列車との位置関係によって、必要な調整は変わります。

だからこそ、ロケ飛行では、最初から個別案件として設計する必要があります。

真正面から協力依頼する方が早い

複雑な関係者調整では、裏から回るより、真正面から協力依頼する方が結果的に早いことがあります。

鉄道会社や自治体が、地域の関係者との調整を支援してくれる場合もあります。

もちろん、必ず協力してもらえるとは限りません。

しかし、最初から目的、安全対策、飛行範囲、関係者への影響を整理して相談することで、相手も判断しやすくなります。

「飛ばしてよいですか」ではなく、

どの範囲を飛ぶのか。

どの時間帯に飛ぶのか。

列車との関係はどうなるのか。

田畑や河川への影響はどう避けるのか。

第三者管理はどうするのか。

異常時は誰が止めるのか。

ここまで整理して協力依頼することが重要です。

調整は口頭ではなく文書で残す

関係者調整は、口頭だけでは弱くなります。

誰に説明したのか。

何を説明したのか。

どの条件で了承されたのか。

どの範囲が対象なのか。

どの時間帯ならよいのか。

これらを記録しておかなければ、後から説明できません。

ロケ飛行では、関係者が多いほど情報がずれやすくなります。

だからこそ、飛行計画、調整記録、役割分担、安全対策を文書化しておく必要があります。

この点は、ドローン運航は「文書化」で成立する|矢野事務所でも整理しています。

ロケ飛行は説明責任で止まる

ロケ飛行で問題になるのは、許可があるかどうかだけではありません。

関係者に対して、なぜこの飛行が成立すると説明できるかです。

鉄道会社に説明できるか。

田畑所有者に説明できるか。

河川管理者に説明できるか。

自治体に説明できるか。

地域住民に説明できるか。

説明できない飛行は、どこかで止まります。

この点は、ドローン運航は「説明責任」で成立する|矢野事務所でも整理している通り、現在のドローン運航では「許可があるか」より「なぜ成立すると説明できるか」が重要になります。

操縦ではなく運航管理で見る

列車と並行して飛ばすロケでは、操縦技術だけを見ても足りません。

むしろ重要なのは、運航全体をどう管理するかです。

誰が列車側を見るのか。

誰が田畑側を見るのか。

誰が河川側を見るのか。

誰が第三者の接近を見るのか。

誰が中止判断をするのか。

誰が関係者へ連絡するのか。

こうした役割が曖昧なままでは、ロケ飛行は成立しません。

この点は、ドローンは操縦でなく運航管理|矢野事務所の考え方と直結します。

まとめ

ドローンロケは、航空法の許可だけで成立するものではありません。

鉄道会社、田畑所有者、河川管理者、自治体、地域関係者など、複数の関係者との調整が必要になります。

このような案件では、共通ルールはありません。

地域ごと、管理者ごと、撮影内容ごとに判断が変わります。

だからこそ、最初から真正面に協力依頼し、飛行目的、安全対策、役割分担、中止条件を説明できる状態にしておくことが重要です。

ドローンロケは、飛ばせるかではなく、関係者が説明できる状態で成立するかで決まります。

◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆

許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません

ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。

  • 第三者管理は維持できますか?
  • 監視体制は機能しますか?
  • 中止判断は定義されていますか?
  • 関係者への説明は通りますか?

これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。

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