
ドローン150m以上飛行|空域調整の仕組み
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【福岡・東京・神戸】管制部は空域調整の御三家ですが意外な事に北海道の一部を福岡が担当してたりします。昨日などは長野県の「松本情報圏」と呼ばれる空域の調整を新千歳空港事務所と行ない松本空港運用時間中の飛行条件が示されました.三管制部は元より交通管理センターや新千歳が登場人物です。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) August 28, 2025
このページで分かること
はじめに
ドローンを高度150m以上で飛行させる際には、国土交通大臣の許可と共に、必ず「空域調整」というプロセスが必要になります。
これは空全体の安全を守るための、極めて重要な手続きです。
しかし、その調整先が、時として直感に反する場所であることがあります。
例えば、長野県上空の飛行調整を、遠く北海道の「新千歳空港事務所」と行う、といったケースです。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。
その背景には、現在進行中の日本の航空管制システムの大規模な再編が深く関わっています。
この記事では、高度150m以上の飛行における空域調整の重要性と、現在の過渡期にある管制体制の仕組みを、公開されている情報に基づいて解説します。
なぜ150m以上で調整が必須か
高度150m以上は、旅客機やヘリコプターといった有人航空機が高速で行き交う「空の道」、すなわち航空路が設定されている領域です。
ドローンが調整なくこの空域に侵入することは、重大なニアミスや衝突事故に直結する、極めて危険な行為です。
そのため航空法では、空の安全を守る最後の砦として、高度150m以上の飛行には厳格な許可と、空の交通整理を行う管制機関との調整を義務付けています。
日本の空を司る管制体制(現在)
日本の航空管制体制は、現在、効率化と高度化を目指す大きな変革の途上にあります。
この事実を理解することが、現在の空域調整を正しく理解する鍵となります。
大きく変わる管制の仕組み
かつて日本の広域航空管制は、札幌・東京・神戸・福岡の4つの「航空交通管制部(ACC)」が担っていました。
組織再編計画が進められ、2025年3月に体制再構築は完了したのと事です。
ドローンの空域調整に関する実務上の窓口も、すでに新しい体制に移行しています。
具体的には、札幌航空交通管制部が担っていた調整業務は、先行して東京航空交通管制部に移管・一本化されました。
実務上の「調整窓口」
この再編により、ドローン操縦者がDIPS(ドローン情報基盤システム)を通じて許可申請を行う際、北海道や東北北部といったエリアであっても、調整先の連絡窓口として「札幌」の名は出てきません。
代わりに、国土交通省の公式な連絡先リストに基づき、東京航空交通管制部、あるいはその管轄下にある新千歳空港事務所などが、実際の調整窓口として機能しています。
これが現在の運用です。
事例解説:松本と新千歳の「必然」
この現在の管制体制を理解すると、「長野県松本と新千歳空港事務所」という一見不思議な組み合わせが、なぜ生まれるのかが見えてきます。
地理と空の管轄は違う
まず大前提として、航空管制における管轄エリアの境界線は、地上の都道府県の境界線とは全く異なります。
管制業務の効率性や航空路の設定に基づき、空は独自の「住所」で区切られています。
再編が生んだ現在のルート
この空の区画整理に加え、先述の組織再編が影響しています。
長野県松本市上空の特定の高度は、札幌管制部が担当していた広域な管轄セクターの一部でした。
そして、その札幌管制部のドローン調整機能が先行して東京管制部へ移管された結果、東京管制部が「取りまとめ役」となる関係にある新千歳空港事務所が、当該エリアの調整実務を担うことになったのです。
つまり、この組み合わせは偶然ではなく、空の管轄の特殊性と、現在の管制再編という二つの事実から導き出される、必然的なルートと言えます。
空域の分担
まず、基本構造として、日本の空域は大きく分けて以下の2種類で管理されています。
- 空港周辺の空域(管制圏・情報圏など):
- 原則として、その空港を管轄する各空港事務所や空港出張所が調整窓口となります。これは比較的わかりやすい構造です。
- 高度150m以上の空域(航空路など):
- 広域を飛行する航空機を管理する航空交通管制部(ACC)が調整の取りまとめ役となります。
- 少しわかりにくいのですが、下が福岡・神戸・東京各管制部の管制エリアマップです。

参考:取りまとめ役と実務担当
長野県の例で示した、注意すべきパターンを「取りまとめ役」となる機関ごとに紹介します。
2025年8月31日時点の国土交通省の公式な案内に基づき、「取りまとめ役と実務担当が連携・分担される空域調整のパターン」について、全国の状況を整理したのが以下です。
1. 東京航空交通管制部が「取りまとめ役」となるエリア
現在、最も注意が必要なのが、実務上の調整窓口が先行して移管された旧・札幌航空交通管制部の担当エリアです。
対象エリア: 北海道、東北地方(青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島)、新潟県、長野県などの上空150m以上
調整の仕組み:この広大なエリアの高度150m以上の飛行に関する調整は、すべて東京航空交通管制部が「取りまとめ役」として統括しています。
申請を受け付けた東京管制部は、飛行内容に応じて、具体的なエリアを管轄する現地の空港事務所などに実務調整を指示・依頼します。
具体例:
●長野県松本市上空(高度150m以上):
取りまとめ役:東京航空交通管制部
実務担当:新千歳空港事務所
●青森県上空(高度150m以上):
取りまとめ役:東京航空交通管制部
実務担当:仙台空港事務所 など、飛行エリアに応じて東京管制部が指定する機関
(補足)新千歳空港のすぐ近くを飛行する場合:
これは「空港周辺の飛行」にあたるため、新千歳空港事務所が直接の調整窓口となります。
2. 福岡航空交通管制部が「取りまとめ役」となるエリア
九州・沖縄地方では、特に沖縄周辺の空域が日米の管制機関によって複雑に管理されているため、注意が必要です。
対象エリア: 沖縄県および周辺空域
調整の仕組み:日本の機関としての「取りまとめ役」は福岡航空交通管制部です。
しかし、この空域の大部分は米軍の管理下にあるため、福岡管制部への調整と並行して、あるいは福岡管制部の指示に基づき、必ず米軍の担当機関との調整が必要になります。
具体例:
●沖縄本島上空(嘉手納ラプコン管内):
取りまとめ役(日本側):福岡航空交通管制部
実務担当(必須):米空軍 嘉手納進入管制所(Kadena Approach Control)
●沖縄本島周辺の洋上など:
飛行エリアにより、福岡管制部と、米軍の**那覇防空管制部(Naha Air Defense Control)**などとの調整が求められます。
3. その他の特殊な調整が必要なエリア
関東地方(横田空域):
東京都西部から埼玉、群馬、栃木、神奈川、山梨、静岡、長野、新潟の各県にまたがる広大な「横田進入管制区(横田ラプコン)」は、米軍が管制業務を行っています。
このエリアで飛行(特に高度150m以上)を行う場合は、日本の管制機関(東京管制部など)への調整に加え、必ず米空軍 横田進入管制所(Yokota Approach Control)との調整が必要です。
●自衛隊の訓練空域など:
日本各地には、自衛隊が訓練などを行うための特別な空域が設定されています。
これらの空域と飛行が重複する場合、各航空交通管制部(東京・神戸・福岡)が取りまとめ役となり、管轄の自衛隊の基地や部隊との実務調整を指示・依頼することがあります。
【重要】確認にあたって
この情報は2025年8月31日時点の公式情報に基づくものですが、運用は変更される可能性があります。実際の飛行計画にあたっては、必ずDIPSでの申請プロセスや、国土交通省の公式サイトで最新の調整先リストを直接ご確認いただくよう、強くお願いいたします。
参照元:国土交通省「無人航空機の飛行許可承認手続における関係機関との調整について」
(※実際の運用では、このページに最新の連絡先一覧が掲載されています)
まとめ
ドローンの高度150m以上の飛行許可は、単に申請書を提出すれば得られるものではありません。
そこには、有人航空機の安全を最優先とする、日本の空の交通システム全体との緻密な調整が存在します。
そして、その調整の裏には、一見すると分かりにくいかもしれませんが、効率と安全を追求した合理的な管制機関の役割分担があります。
こうした空の秩序を正しく理解し、尊重することこそ、高度な飛行に挑戦するすべてのドローン操縦者に求められる最も重要な資質と言えるでしょう。
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