ドローン高高度許可、管制機関の厳しい目:矢野事務所

ドローン高高度飛行許可、管制機関の厳しい目

 

このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。

ドローンが活躍する空域は、想像以上に複雑なルールとそれを厳格に管理する人々の努力によって成り立っています。

特に、高度が高くなればなるほど、その管理の厳しさは増していきます。

これまで高高度でのドローン飛行の申請では「管制機関がどれだけナーバスか」を何度も痛感してきました。

それは、まるで空の交通整理を行う管制機関が、ドローンのわずかな飛行に対しても、まるで我が子を守る親のように厳しく、そして細心の注意を払っているかのような印象でした。

民間機の訓練空域の管制からは飛行時間帯の逆提案を受けたり、自衛隊基地からは「水平距離○○Mだけ管制空域から抜けてほしい」と嘆願されたりすることもあったほどです。

高高度飛行のリスク

ドローンが地表または水面から150m以上の高高度を飛行する際、その安全性はより厳しく問われます。

主なリスクは以下の通りです。

  • 有人航空機との衝突リスク
    ヘリコプターや軽飛行機、さらには航空路を飛行する航空機との空域が重なる可能性が高まります。
  • 気象条件の急変
    高度が高くなるほど風速が増加したり、局地的な気流の変化が発生したりと、地上とは異なる気象条件に遭遇しやすくなります。
  • 通信の不安定化
    長距離になるほど電波が不安定になり、機体の制御を失うリスクが高まります。

これらのリスクが高まるほど、空の安全を担う管制機関の「ナーバスさ」は増し、より厳格なチェックが行われることになります。

管制機関の対応

管制機関がドローンの高高度飛行に対して示す「ナーバスさ」は、空の安全を最優先するという彼らの使命から来ています。

  • 飛行時間帯の逆提案
    例えば、民間機の訓練飛行が予定されている時間帯にドローンの飛行希望が出された場合、管制側は衝突リスクを避けるため、ドローン側に飛行時間帯の変更を提案することがあります。これは、ドローンのスケジュールよりも、有人機の安全な訓練を優先するという明確な意思表示です。
  • 管制圏内の外への水平移動
    管制空域や特定の飛行制限区域の境界ぎりぎりでドローンの飛行が計画された際、自衛隊基地から数メートルでも管制空域から外れるよう、強い要望が出されたこともあります。これは、厳密なルールに加え、万が一の際の不測の事態に備えるための、現場の切実な声と言えるでしょう。

空港事務所の厳格な審査

ドローンの高高度飛行に関する許可申請では、最終的に国土交通大臣の許可が必要となりますが、そのプロセスにおいて、管轄の空港事務所(東京空港事務所、関西空港事務所が果たす役割は非常に重要です。

空港事務所は、管制機関(航空交通管制部、基地など)と申請者(ドローン操縦者や事業者)の間で形成された「合意認識」が、安全確保のために完全に一致していることを極めて重視します。

飛行高度、経路、日時など、わずかなズレや曖昧さも許容されません。

「管制機関と当方の合意認識が完全一致するまでは微細なズレにも何度も補正を出してくる」のは、空港事務所が、万が一の事故を未然に防ぐための最後の砦として、一切の妥協を許さない姿勢の表れです。

この厳格な審査こそが、空の安全を担保する重要な仕組みです。

円滑な許可取得の鍵

このような厳しい審査を円滑に乗り越え、高高度飛行の許可を取得するためには、以下の点が鍵となります。

  • 徹底した事前準備
    精緻な飛行計画、詳細なリスクアセスメント、万全な安全確保体制を構築します。
  • 早期の相談と申請
    時間的余裕を持ち、飛行計画が固まり次第、速やかに管制機関や空港事務所に相談し、申請手続きを開始します。
  • 明確な情報提供
    飛行高度、緯度経度、日時、飛行経路など、必要な情報を正確に、そして曖昧さなく提示します。
  • 真摯な調整姿勢
    管制機関や空港事務所からの条件や要求に対し、真摯に対応し、安全確保のための代替案を提示するなどして、合意形成に努めます。
  • 専門家(行政書士等)の活用
    複雑な空域調整や補正対応は専門知識を要します。ドローンの飛行許可申請に詳しい専門家へ相談・依頼することも有効な選択肢です。

まとめ

ドローンの高高度飛行許可申請は、管制機関が持つ「ナーバスさ」の背景にある、有人航空機の安全確保という極めて重要な使命と真正面から向き合うプロセスです。

民間機訓練の管制からの逆提案、基地からの水平距離に関する嘆願、そして空港事務所からの度重なる補正は、全て空の安全を担保するための厳格なチェックであり、決して疎かにできません。

こうしたプロセスを乗り越え、高高度飛行を安全かつ適法に実現するためには、綿密な準備と、関係機関との真摯な対話、そして微細なズレも許さない正確性が不可欠です。

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