申請を通すドローン経路図の精度と工夫:矢野事務所

申請を通すドローン経路図の精度と工夫

 

このページはX(エックス)の投稿を深堀り解説したブログ記事です。

飛行経路図の精度が申請の成否を分ける

ドローンの飛行許可・承認申請において、飛行経路図は極めて重要な添付書類の一つです。

単に飛行ルートを示すだけでなく、その図の精度や表現方法が、申請の審査過程、ひいては許可の成否にまで影響を及ぼすことをご存じでしょうか。

私は行政書士として多くの申請に携わる中で良質な経路図が審査官に与える印象の大きさを痛感しています。

先日、「地理院地図で作成した経路図を取り込んだら、出力ラインが林の中に潜って」しまいました。

地理院地図ツールでKMLデータを作成し、高画質のGoogle Earthにインポートしたのですが、出力されたラインが林の中に埋もれてしまい、肝心の飛行ルートが判然としない状態でした。

これは、経路図作成における「あるある」とも言える課題です。

ツールの特性を理解し、適切な工夫を凝らさなければ、せっかく作成したデータも審査官の目に留まらない、あるいは誤解を招く結果になりかねません。

正確で視認性の高い経路図は、審査官に「この申請者は、飛行計画を綿密に練り、安全管理にも配慮している」という好印象を与える第一歩なのです。

地理院地図とGoogle Earth Proを使いこなす

飛行経路図の作成において、地理院地図Google Earth Proは非常に強力なツールです。

しかし、それぞれの特性を理解し、適切に連携させることで、その真価を発揮できます。

  • 地理院地図(地理院地図GSI Maps):
    • 国土地理院が提供する地図サービスで、詳細な地形図や空中写真、標高データなどが利用可能です。
    • KML/KMZデータ出力機能を備えており、飛行経路や飛行範囲を正確に指定し、そのデータをGoogle Earthなどに取り込むことができます。
    • 特定の地点の標高データなども確認できるため、対地高度の計算などにも役立ちます。
  • Google Earth Pro:
    • 高精細な衛星画像や3D地形データを無料で利用できるツールです。
    • 地理院地図で作成したKMLデータをインポートすることで、より立体的な視点で飛行経路を確認できます。
    • ルートやポリゴン(飛行範囲)の色や太さを詳細に設定できるため、視認性の高い経路図を作成する上で非常に有効です。

Xに投稿した事例のように、地理院地図で作成したKMLデータを通常のGoogle Earthに取り込むと、樹木や地形の凹凸によってラインが隠れてしまうことがあります。

しかし、Google EarthをProバージョンに切り替えると、より詳細なグラフィック設定や表示オプションが利用でき、ラインが地形に埋もれずに正確に表示されることが多々あります。

これは、Google Earth Proが提供する3D表示の最適化機能によるものだそうです。

一方で、Google Earth Proの難点として詳細な縮尺での目盛りが小さく見え難いという点が挙げられます。

これにより、正確な距離感を把握しにくく、細かな補正が必要になる場合があります。

審査官が求める「良質な経路図」とは

審査官が飛行経路図から読み取ろうとしているのは、単なるルート情報だけではありません。

  • 視認性
    飛行経路、離着陸地点、補助者の配置場所、監視範囲、周辺の障害物などが一目で明確に理解できるか。
  • 正確性
    記載された経路が実際の地理情報と正確に一致しているか。特に、空港周辺の制限表面やDID地区の境界線との位置関係が正確か。
  • 安全性への配慮
    飛行経路が第三者の上空を避けているか、危険な場所(高圧線、病院、学校など)から適切な距離を保っているか。
  • 計画性
    緊急着陸場所や代替ルートなどが考慮されているか。

これらの要素を完璧に満たす経路図を作成するには、単にツールを操作するだけでなく、航空法規の深い理解と、飛行現場の状況を正確に把握する能力が求められます。

例えば、目視外飛行の経路図であれば、補助者の配置位置から経路全体が視認できる範囲を明示するなど、安全管理体制と経路図が連携していることを示す必要があります。

経路図作成のさらなる工夫と今後の展望

私が申請書を作成する際には、以下のような工夫を凝らして経路図の質を高めています。

  • 複数レイヤーの活用
    飛行経路、離着陸点、監視範囲、障害物などを異なるレイヤーで作成し、必要に応じて表示・非表示を切り替えることで、情報を整理しやすくします。
  • 色と太さの使い分け
    飛行経路は赤色で太く、監視範囲は青色の半透明ポリゴンで示すなど、視覚的に区別しやすいように工夫します。
  • 注釈の追加
    図中に吹き出しやテキストボックスで、特記事項(例:緊急時着陸地点、特定の障害物の高さ)を明記し、審査官の疑問を未然に解消します。
  • 断面図の活用
    標高差が大きい場所では、経路の断面図を添付することで、対地高度や地形との関係をより分かりやすく示すことができます。

私は常に「良質な経路図で審査官の心を一発で捉えたい」という思いを抱いています。

現状では「まだまだ」と感じる部分もありますが、これはドローン技術の進化と規制の変遷に合わせて、私たち行政書士も常に知識と技術を更新し続ける必要があることを意味します。

これからも、最新のツールや技術を積極的に取り入れ、ドローン飛行許可申請の実務をより円滑かつ確実にするためのノウハウを提供し続けてまいります。

飛行経路図作成でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

行政書士矢野法務事務所は「高難度の申請を専門とする事務所」です。

全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。

 

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