ドローン国家資格、市場の標準へ:矢野事務所

ドローン国家資格、市場の標準へ

 

このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。

ドローン産業が発展を続ける中で、その運用には大きく分けて二つの「論理」が存在します。

一つは、実際にドローンを操縦し、サービスを提供する「飛ばす側の論理(事業者)」、そしてもう一つは、ドローンを使った業務を発注する「飛ばさせる側の論理(発注者)」です。

発注者側の論理として、「国家資格者への発注=コンプライアンス」という考え方が、昨今強く広がりを見せています。

この発注者側の論理が浸透していくことで、ドローンの国家資格の価値論争も「〇」で決着し、それが業界のスタンダードになっていくのかもしれません。

ドローン産業の二つの視点

ドローン産業における「飛ばす側」と「飛ばさせる側」は、それぞれ異なる優先順位と目的を持っています。

  • 飛ばす側の論理(事業者)
    安全確保、法令遵守、高度な操縦技術の習得、効率的な業務遂行、そして何よりも提供するサービスに見合った適正な報酬を得て、事業を継続的に発展させていくこと。
  • 飛ばさせる側の論理(発注者)
    期待する成果物(高精度なデータ、高品質な映像など)を納期通りに、かつコストを抑えて獲得すること。そして、最も重要視されるのが、ドローン運用に伴うリスク(事故、プライバシー侵害、法令違反など)を回避し、企業としての「コンプライアンス」を遵守することです。

この二つの論理は、時に報酬の多寡で対立することもありますが、安全確保と法令遵守という点においては、本来は共通の目標を持っています。

国家資格の持つ意味

2022年12月5日に施行された「無人航空機操縦者技能証明制度」は、ドローンの操縦に関する国家資格であり、その価値が今、市場で再認識されつつあります。

この制度には、「一等無人航空機操縦士」と「二等無人航空機操縦士」の二種類があり、それぞれの資格取得には学科試験、実地試験、そして身体検査が課されます。

国家資格は、操縦者が航空法をはじめとするドローンに関する法規、航空力学、気象、安全管理などの知識を持ち、かつ厳しい実地試験をクリアした、一定水準以上の操縦技能を有していることを、国が公的に証明するものです。

発注者側の「コンプラ」論理

なぜ、発注者側が「国家資格者への発注=コンプライアンス」と考えるようになったのでしょうか。

背景には、ドローンに関する法規制の厳格化と、万が一の事故やトラブルが発生した場合のリスクへの意識の高まりがあります。

発注者、特に大企業や公共事業の担当者は、以下の点を重視します。

  • 法令遵守の確実性
    国家資格者は、法規制に関する専門知識を持つため、違法な飛行を行うリスクが低いと判断されます。これは、発注者側が「法令遵守」を徹底していることを対外的に示す重要な要素となります。
  • 安全性の担保
    実地試験をクリアした操縦者の技能は、一定レベル以上の安全な飛行が期待できる根拠となります。事故やトラブルを未然に防ぐ上で、操縦者の技能は極めて重要な要素です。
  • 事故発生時のリスク軽減
    万が一、ドローンが関連する事故が発生した場合でも、国家資格を持つ操縦者に発注していたという事実は、発注者側の管理責任や過失を問われるリスクを軽減する要因となり得ます。
  • 対外的な信頼性
    国家資格者への発注は、企業としてドローンの安全運用とコンプライアンスに真摯に取り組んでいることを示すアピールポイントにもなります。

このような「コンプライアンス」重視の傾向は、特に大手企業や公共性の高いプロジェクトにおいて顕著です。

資格の価値とスタンダード化

この発注者側の「コンプライアンス」論理が広まることで、ドローン国家資格の価値は飛躍的に高まり、業界のスタンダードとなっていく可能性は十分にあります。

「国家資格の価値論争も『〇』で決着し、スタンダードになっていく」という見方は、まさにその未来を的確に捉えていると言えるでしょう。

資格を持つ操縦者は、国家が認めた技能と知識の証明を持つことで、市場において優位に立ちます。

これは、単なる価格競争から一歩抜け出し、提供するサービスの質と安全性で差別化を図ることを可能にします。

結果として、資格を持たない操縦者との間で、業務獲得の機会や報酬に明確な差が生じることも考えられます。

国家資格の普及は、ドローン産業全体の質の向上にも繋がります。

操縦者の技能水準が底上げされ、安全意識が高まることで、ドローンに対する社会の信頼も向上し、さらなる活用の場が生まれていくことが期待されます。

まとめ

ドローン産業は、「飛ばす側の論理」と「飛ばさせる側の論理」という二つの視点が存在します。

この交差点に位置するのが、ドローンの国家資格です。

特に、コンプライアンスとリスク回避を重視する発注者側のニーズに応える形で、「国家資格者への発注=コンプライアンス」という論理が広まっています。

この発注者側の論理が市場で強まることで、ドローンの国家資格は、操縦技能の証明だけでなく、安全と法令遵守の証として、業界の新たなスタンダードになっていくでしょう。

ドローン事業者としては、このような市場の変化をいち早く捉え、国家資格の取得を通じて自身の価値を高め、正当な報酬を得るための努力が求められます。

そして、発注者側も、ドローンの真の価値とリスクを理解し、国家資格を持つプロフェッショナルへ適正な対価を支払うことが、安全で健全なドローン産業の発展に貢献することになるでしょう。

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