
高高度3.5は成立するのか|500m申請NG事例|矢野事務所
【高度500M】のLv3.5は機上カメラから第三者確認ができないという理由でNGでした。視認技術や安全面はさておき「低空域を経済圏化したい」本義からすれば高空域への踏込みはまだまだ後回しとなるのでしょう。低空経済と言えば深圳ではミルクティーの出前が始まってるとか。不要不急の分野にもついに。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) March 27, 2025
高度500mでのレベル3.5飛行は、機上カメラから第三者確認ができないという理由でNGとなりました。
この事例は、単に「高く飛ばせなかった」という話ではありません。
レベル3.5が何を前提にしている制度なのか。
補助者なし目視外飛行で、第三者の存在をどのように確認するのか。
高高度になると、その確認構造がどこで崩れるのか。
そこを考えるうえで、非常に重要な事例です。
目視外飛行の基本的な成立条件については、まず目視外飛行の成立条件と判断整理で確認しておく必要があります。
本記事では、そのうえで高高度3.5がなぜ難しいのかを整理します。
このページで分かること
高度500mのレベル3.5がNGとなった理由
今回のポイントは、高度500mという数字そのものではありません。
問題は、機上カメラから第三者確認ができないと判断された点です。
レベル3.5では、補助者を配置しない目視外飛行を前提にする場面があります。
その場合、地上に第三者がいないこと、または第三者上空にならないことを、別の方法で確認できなければなりません。
ところが、高度500mまで上がると、機上カメラから地上の第三者を確認することは極めて難しくなります。
人なのか、車両なのか、構造物なのか。
動いているのか、停止しているのか。
飛行経路下に入る可能性があるのか。
これらをリアルタイムで確認できないのであれば、補助者なしの安全確認としては弱くなります。
レベル3.5は低空域の制度として見るべき
レベル3.5は、ドローンの低空域活用を進めるための制度です。
物資輸送、インフラ点検、巡視、農地・森林・河川・山間部での活用など、社会実装の中心は地上に近い空域にあります。
つまり、制度の本義は「高空域へ踏み込むこと」ではなく、低空域を安全に経済圏化していくことにあります。
そのため、高度500mのような高高度飛行をレベル3.5の枠で成立させるには、通常よりも強い説明が必要になります。
高く飛ばせる機体があるかどうかではありません。
その高度で、第三者確認、空域安全、通信、異常時判断をどう成立させるのかが問われます。
補助者なし目視外で問われるのは地上確認
レベル3.5の難しさは、補助者なし目視外にあります。
補助者を置かないのであれば、補助者が担っていた安全確認を別の方法で代替しなければなりません。
その中心にあるのが、第三者確認です。
地上に第三者がいないこと。
第三者が飛行経路下に入らないこと。
第三者が接近した場合に、運航を中止できること。
これらを説明できなければ、補助者なしの目視外飛行は成立しません。
補助者なし目視外飛行の考え方については、補助者なし目視外飛行の考え方でも整理しています。
高度500mの事例では、この地上確認を機上カメラで行うことが困難と判断された点が本質です。
高高度ではカメラ確認の説明力が落ちる
機上カメラは、低高度であれば有効な確認手段になり得ます。
飛行経路下や周辺状況を映像で確認し、第三者の有無を把握できる可能性があるからです。
しかし、高度が上がるほど、映像による地上確認の精度は落ちます。
高度500mでは、地上の人や車両を明確に識別できるか。
夜間や薄暮、逆光、影、建物、樹木などがある場合にどう見えるか。
映像遅延や通信不良が起きた場合に、即時判断できるか。
これらを説明できなければ、カメラ確認は補助者代替として機能しません。
つまり、高高度3.5では、機上カメラを搭載していることではなく、そのカメラで何をどの精度で確認できるのかが問われます。
低空経済と深圳のドローン配送
一方で、低空域のドローン活用は世界的に進んでいます。
中国・深圳では、ミルクティーのドローン出前のように、日常消費に近い分野でもドローン活用が進んでいます。
これは、緊急物資輸送や災害対応だけでなく、不要不急に見える生活サービスにもドローンが入り始めていることを示しています。
ここで重要なのは、活用されているのが「生活圏に近い低空域」である点です。
ドローンの社会実装は、高空域へ一気に広げるよりも、まず低空域で物流・配送・点検・巡視を成立させる方向へ進んでいます。
高度500mの高高度3.5が難しい一方で、低空域では経済圏化が現実に進みつつあります。
高高度3.5はレベル4の代替ではない
高高度3.5を考えるとき、注意すべきなのは、レベル3.5を拡大解釈しないことです。
レベル3.5は、第三者が存在する可能性が低い場所を前提に、補助者なし目視外飛行の負担を軽減する制度です。
それを、高高度で広範囲に飛ばす制度として使おうとすると、第三者確認や空域安全の説明が追いつかなくなります。
また、第三者上空や第三者の存在可能性が高い場所を含むのであれば、それはレベル3.5ではなく、レベル4の問題として整理すべき場面も出てきます。
高高度だから安全というわけではありません。
高高度だからこそ、落下範囲、第三者確認、空域調整、通信、緊急時対応の説明は重くなります。
運航管理体制として説明できるか
高高度3.5では、機体性能だけでは足りません。
また、カメラ性能だけでも足りません。
必要なのは、運航管理体制として説明できることです。
誰が第三者確認を行うのか。
どの映像・情報を使って判断するのか。
確認できない場合は、いつ中止するのか。
通信不良や映像不良が起きたとき、どの基準で帰還・着陸するのか。
高度が上がることで落下分散距離やリスク範囲がどう変わるのか。
これらを一体で整理して初めて、高高度の運航として説明できます。
高難度運航では、飛行ごとの判断を場当たりにせず、ドローン運航管理体制として説明できる状態にする必要があります。
矢野事務所での実務上の整理
矢野事務所では、高高度3.5のような相談について、最初から「高度が高いから無理」「機体性能があるから可能」とは判断しません。
まず整理するのは、次の点です。
- その飛行はレベル3.5の制度趣旨に合うのか
- 第三者が存在する可能性が低い場所といえるのか
- 機上カメラで第三者確認ができるのか
- 確認できない場合の中止基準があるのか
- 高高度による落下リスクをどう説明するのか
- レベル4や別の申請構造として整理すべきではないか
この整理をせずに「高く飛ばせるか」だけで考えると、申請段階で止まります。
今回の高度500m事例は、まさにそのことを示しています。
まとめ
高度500mでのレベル3.5飛行がNGとなった理由は、機上カメラから第三者確認ができないという点にありました。
これは、高高度飛行そのものを否定する話ではありません。
しかし、レベル3.5として成立させるには、第三者確認、補助者代替、遠隔監視、異常時判断を説明できる必要があります。
高度が上がるほど、機上カメラによる地上確認の説明力は落ちます。
その結果、レベル3.5の枠では整理しきれない場面が出てきます。
低空域経済圏が進む一方で、高高度のドローン運航には、まだ別の説明構造が求められます。
高高度3.5は、「高く飛べるか」ではなく、「その高度で第三者安全を説明できるか」から判断する必要があります。
◆ドローン運航は「事後説明」を前提に設計する◆
許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません
ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。
※飛行許可申請「のみ」のご相談にも対応しています
