ドローン高高度(150m以上)は完全目視が鍵:矢野事務所

ドローン高高度(150m以上)は完全目視が鍵

 

このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。


ドローン高高度飛行

ドローンが活躍する場所は様々ですが、中には地上からかなり離れた高高度での飛行が必要となるケースもあります。

高度150メートル以上の空域(高高度空域)は、航空法上の特定飛行に該当し、事前に国土交通大臣の許可・承認が必要です。

この高度は、ヘリコプターなどの有人航空機が飛行する可能性が高く、ドローンの飛行が有人機の安全運航に影響を与えるリスクがあるためです。

このような空域でドローンを飛行させる場合、許可申請と併せて、航空管制機関との間で飛行日時や経路などについて調整を行う「空域調整」が必要となることがあります。

この空域調整のプロセスにおいて、管制機関はドローンの飛行計画のどのような点を特に重視するのでしょうか。

今回は、高高度飛行のルールが主眼とすること、そして管制機関が空域調整で重要視する「地上監視員による目視」に焦点を当てて解説します。

高高度ルールの要点

衝突回避が最優先

高高度におけるドローンの飛行ルールが最も主眼としているのは、言うまでもなく「他の航空機との衝突回避」です。

高度150メートル以上の空域は、有人航空機にとって重要な飛行空域であり、高速で飛行する航空機とドローンの衝突は、人命に関わる重大な事故に直結します。

そのため、ドローンの高高度飛行においては、有人機の安全を最優先に考え、衝突リスクを限りなくゼロに近づけるための厳しいルールが設けられています。

管制機関の役割

高高度空域の安全は、航空管制機関(航空交通管理センター、空港の管制塔など)によって管理されています。

管制機関は、広大な空域を管理し、多数の有人航空機が安全かつ円滑に飛行できるよう指示や情報提供を行っています。

その役割の中で、ドローンの飛行計画が提出された場合、管制機関は、その飛行が他の航空機の運航に影響を与える可能性がないか、特に衝突リスクなどを評価します。

そして、リスクがあると判断した場合には、飛行日時や経路、高度の変更などを申請者に求め、調整を行うことで空域全体の安全を確保しています。

空域調整の重点

地上監視員の役割

高高度飛行の空域調整において、管制機関が特に重きを置く点の一つが、「地上の監視員(補助者)がドローン機体を肉眼で目視できるか否か」です。

これはX投稿でも言及した重要なポイントです。

高高度でのドローン飛行は、万が一の機体トラブルや、予期せぬ有人航空機の接近といった事態が発生した場合に、地上からの情報把握が非常に重要となるため、地上の監視員の役割が極めて重要視されます。

機体目視の重要性

地上の監視員によるドローンの機体目視が、なぜ高高度飛行の安全確保の「鍵」となるのでしょうか。

高高度での飛行中は、操縦者がドローンを直接目で確認することが困難な場合が多いです。

しかし、地上の監視員が可能な限り機体を視認することで、ドローンの異常な動きや、他の航空機の接近などを早期に発見し、操縦者に正確な情報を伝えることができます。

これにより、危険な状況への対応を迅速に行うことが可能となります。

目視が必要な理由

地上からの目視が重要視される理由としては、主に以下の点が挙げられます。

  • 他の航空機の早期発見と回避判断の支援
  • ドローン自体の異常(煙、部品脱落など)の早期発見
  • 緊急時におけるドローンの位置把握と対応判断
  • 管制機関からの指示があった場合の機体確認

目視困難な影響

許可条件への影響

地上の監視員がドローン機体を肉眼で目視することが難しいと判断された場合、管制機関は飛行のリスクが高いとみなし、許可条件を厳格にする可能性があります。

これは、地上からの監視が十分にできない状況での飛行は、安全確保が困難になると考えられるためです。

日数・時間制限も

投稿にもありましたが、地上からの目視が困難な場合は、許可される飛行日数や、1日あたりの飛行時間が制限されることがあります。

これは、リスクを限定的な時間内に抑えるための措置であり、長時間の飛行や連続した飛行は安全確保の観点から認められにくい傾向にあります。

1000M申請の具体例

X投稿で触れられていた「先日の1000M申請では『3日間・2時間まで』という条件が示されました」という事例は、まさに高高度飛行における現実的な許可条件の厳しさを示しています。

申請した日数や時間での飛行が、地上からの目視可能性などの安全性の観点から難しいと判断され、厳しい制限が付された例と言えるでしょう。

このように、特に高高度になるほど、安全確保のための条件は厳しくなります。

高高度申請準備

監視体制の計画

高高度飛行の許可申請、特に空域調整を行うにあたっては、地上の監視員(補助者)による確実な監視体制を計画し、申請時に具体的に示すことが非常に重要です。

監視員の人数、配置場所、監視範囲、操縦者との連絡方法などを綿密に計画し、どのような状況でも安全な監視が可能であることを説明する必要があります。

申請で考慮すべき点

高高度での目視は困難を伴うため、補助者の視力や経験、使用する機材(双眼鏡など、ただし主要な監視手段とはしません)なども考慮に入れる必要があります。

また、飛行高度、飛行経路、飛行時間帯(昼間か夜間か)、天候などが地上からの目視にどう影響するかを事前に十分に検討し、現実的で安全な飛行計画を提示することが、管制機関との円滑な調整、そして何よりも安全な飛行のために不可欠ですし、それは許可取得の可能性を高める要素となります。

有人機優先の原則を常に意識し、他の航空機の運航を妨げない計画とすることが求められます。

結びにかえて

ドローンの高高度飛行では、他の航空機との衝突回避が最も重要な主眼となります。

そのために、航空管制機関は空域調整において、地上監視員によるドローン機体の肉眼での目視が可能か否かを非常に重視します。

地上からの目視が困難な場合は、飛行日数や時間などが制限されるなど、厳しい条件が付される可能性があります。

高高度の空域は、有人機が優先される厳格な世界であることを常に意識し、確実な監視体制の構築と、管制機関との丁寧な調整を行い、安全第一で高高度飛行に臨んでください。

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