高校生ドローン訓練飛行が許可された:矢野事務所

高校生ドローン訓練飛行が許可された

 

このページはX(エックス)の投稿を深堀り解説したブログ記事です。

この投稿と記事は「学校敷地内ドローン飛行を1年間個別申請したの続編です。

高校の校庭でドローン訓練?その実現性

ドローンが教育現場に導入され、プログラミング学習や測量実習に活用されるケースは増えています。

しかし、実際に高校生が校庭を使ってドローンを訓練飛行し、その許可を得るというのは、多くの人にとって驚きかもしれません。

Xに投稿した事例は、ドローンの教育活用における一つの理想的なモデルケースを示しています。

学校という公共性の高い場所で、しかも未成年者である高校生がドローンを操縦するとなると、航空法はもちろん、周囲の安全確保に対する懸念は一層高まります。

しかし、適切な安全対策と周到な準備があれば、このような先進的な教育プログラムも実現可能であることを、この事例は証明しているような気がします。

体育館から校庭へ:段階的な訓練の重要性

この訓練飛行が許可された背景には、「体育館で一定の基礎固め期間を経てからの屋外デビュー」という、段階的な訓練プロセスがありました。

これは、ドローン操縦技能を習得する上で、非常に合理的かつ安全なアプローチです。

屋内訓練の役割

体育館のような屋内空間は、風の影響がなく、周囲へのリスクも限定的です。ここで、以下のような基礎的な操縦技能を習得します。

  • 基本的な操縦スティック操作
    離陸、着陸、ホバリング、前後左右への移動など。
  • 機体の挙動理解
    各種モードの切り替え、姿勢制御など。
  • 緊急時の対応練習
    モーター停止、不時着、手動操作への切り替えなど。
  • 安全意識の醸成
    屋内であっても、周囲の人や物への配慮、安全距離の確保を徹底します。

このような基礎固めを行うことで、屋外での予測不能な環境変化にも対応できる、確かな操縦スキルと安全意識が養われます。

許可の鍵は「盤石な安全体制の詳細図示」

この高校生の訓練飛行が許可された最大の要因は、国土交通省への許可申請において、「広い敷地に管理区画と四隅のパイロン、補助者及びジオフェンスを設定しその上で一等資格者隣接による操縦指導監督体制」という、盤石かつ具体的な安全体制を詳細に図示したことにあると思っています。

国土交通省の「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」では、ドローンの飛行許可にあたり、操縦者の能力だけでなく、周辺環境への影響を最小限に抑えるための「安全確保対策」が厳しく審査されます。

特に、未成年者の操縦や教育目的という特殊性を考慮し、万全の体制が求められたと推測されます。

安全体制の具体的な内容

申請書に詳細図示された安全体制は、以下の要素で構成されていたと考えられます。

  1. 物理的な管理区画と表示

    • 広い敷地の確保
      周囲の建物や通行人から十分な距離を確保できる、広大な校庭を選定。
    • 四隅のパイロンと明確な区画表示
      飛行範囲を物理的に限定し、第三者の侵入を防ぐための境界線を明確に設定。必要に応じてロープやバリケードも併用。
    • 訓練中の表示
      訓練中であることを示す看板や旗を設置し、視覚的に注意喚起。
  2. 技術的な安全装置の活用「ジオフェンス」

    • ジオフェンスの設定
      ドローン本体のソフトウェア(フライトコントローラーアプリなど)で、飛行できる範囲を事前にプログラミングにより制限。設定されたエリア外には物理的に飛行できないようにすることで、万が一の操縦ミスでも危険区域への逸脱を防ぎます。これは、安全性担保の強力な手段となります。
  3. 人的な安全管理体制「補助者と一等資格者」

    • 補助者の配置
      飛行範囲周辺に補助者を複数名配置し、第三者の侵入監視、ドローンの目視補助、緊急時の連絡・対応を担当。
    • 一等資格者隣接による操縦指導監督体制:
      • 「一等資格者」の配置
        ドローンに関する国家資格である「一等無人航空機操縦士」の資格を持つ、高度な知識と技能、経験を有する者が、訓練に立ち会います。
      • 「隣接による操縦指導監督」
        単に立ち会うだけでなく、操縦者のすぐそばで、リアルタイムで指導・助言を行い、危険を察知した際には即座に介入できる体制。これは、未熟な操縦者のリスクを最小限に抑える上で最も重要な要素です。
      • 責任体制の明確化
        指導監督者の責任範囲と、緊急時の対応義務を明確にすることで、万が一の事態にも対応できる体制を確立します。

経路図による詳細図示の重要性

これらの安全体制が、単なる箇条書きではなく、「経路図で詳細図示」されたことが許可取得の大きな要因となりました。

飛行範囲、補助者の配置位置、ジオフェンスの設定範囲、緊急着陸地点などを視覚的に明確にすることで、審査官は申請内容を容易に理解し、その安全性を迅速に評価できたと考えられます。

具体的な図面は、安全への真摯な姿勢と、練り上げられた計画を伝える強力なツールとなります。

まとめ

校庭を使ったドローン訓練飛行の許可事例は、教育現場でのドローン活用に大きな可能性を示すものです。

その成功の鍵は、体育館での段階的な基礎固め、そしてジオフェンス、補助者、そして一等資格者による指導監督体制といった、盤石な安全対策を詳細な経路図で示したことにありました。

この事例は、ドローンを安全かつ合法的に運用するために、航空法遵守はもちろんのこと、場所の特性に応じた綿密な安全計画の策定、技術的・人的な安全装置の組み合わせ、そしてそれを視覚的に分かりやすく示すことの重要性を教えてくれます。

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