ドローン国有林許可 スキー場の例:矢野事務所

ドローン国有林許可 スキー場の例

ドローンを飛行させる際、私たちはまず航空法に基づく許可・承認の要否を確認します。

しかし、飛行場所によっては、航空法とは別の「もう一つの許可」が必要となるケースが少なくありません。

国有林内にあるスキー場でのドローン飛行を検討された方から、まさにその重要性を物語る貴重な事例を伺いました。

その方は、国有林内にあるスキー場での飛行を計画し、まず森林管理署に確認したそうです。

すると、「一帯の管理はスキー場側に任せている」との回答でした。

そこで、スキー場側に入林届を提出したところ、「きちんと手続きを踏む人は珍しい」といたく感心されたそうで、結果としてスキー場側の協力を得ながら、非常に良い飛行がかなったとのことです。

この事例は、法令遵守だけでなく、現場のルールや関係者との連携がいかに重要かを示しています。

国有林での飛行

国有林は、その名の通り国が所有・管理する森林であり、その広大な面積は日本の国土の約2割を占めます。

国有林内でのドローン飛行は、自然環境の保護、入林者の安全確保、林業作業の妨げ防止など、様々な観点から特別な配慮が求められます。

森林管理署は、国有林の管理を行う機関であり、ドローンの飛行についても独自のルールや手続きを設けている場合があります。

そのため、国有林での飛行を計画する際は、まず管轄の森林管理署に問い合わせ、必要な手続きを確認することが第一歩となります。

「管理を任せる」という実態

今回の事例で興味深いのは、「森林管理署に確認したら一帯の管理はスキー場側に任せているとの事」という点です。

これは、国有林であっても、一部の区域や施設について、国が民間事業者や地方公共団体に管理を委託しているケースがあることを示しています。

このような場合、ドローンの飛行許可は、森林管理署ではなく、実際にその区域の管理を委託されている事業者(この事例ではスキー場側)から得ることになります。

複数の管理主体が存在する可能性があるため、どこに、どのような形で許可を得るべきか、事前に確認を徹底することが極めて重要です。

スキー場での運用

スキー場は、不特定多数の利用者が高速で移動する特殊な環境です。

そのため、ドローンの飛行は、利用者の安全確保やプライバシー保護の観点から、非常に厳しく制限されることが一般的です。

スキー場独自の運用ルールや、入山規制、飛行禁止区域などが細かく定められている場合が多いです。

今回の事例では、スキー場側へ「入林届」を提出したとのことですが、これはスキー場という施設が、国有林の一部を「入林」という形で利用していることに対する手続きであり、ドローンの飛行許可は、この入林許可の中に含まれる形、あるいは別途の合意として得られたものと推測されます。

丁寧な手続きの価値

この事例で最も印象的なのは、「きちんと手続きを踏む人は珍しい」と、スキー場側にいたく感心されたという点です。

これは、多くのドローンユーザーが、航空法上の許可を得ただけで満足し、現地の管理者への確認や、施設独自のルールへの配慮を怠りがちであることを示唆しています。

しかし、その「珍しい」行動こそが、円滑なドローン飛行を実現する鍵となります。

  • 信頼関係の構築
    事前確認と丁寧な手続きは、管理者側に「この操縦者は安全意識が高く、ルールを尊重する」という信頼感を与えます。
  • スムーズな協力
    信頼関係が築かれれば、飛行条件の調整や、現場での協力(安全確保、情報提供など)が得られやすくなります。
  • トラブルの未然防止
    地域のルールや管理者側の懸念を事前に把握することで、飛行中の思わぬトラブルや苦情を未然に防ぐことができます。

結果として「協力を得ながらの良い飛行がかなった」という言葉は、この丁寧なプロセスがいかに重要であるかを雄弁に物語っています。

法令以外の「許可」の重要性

ドローンの飛行には、航空法に基づく国土交通大臣の許可・承認がまず必要です。

しかし、今回の事例が示すように、それに加えて、飛行する土地や施設の管理者からの「許可」や「承諾」を得ることが不可欠な場合があります。

これは、法令遵守とは別の次元で、土地の所有権や管理権に基づく同意が必要となるためです。

国有林、私有地、公園、河川敷、神社仏閣、商業施設など、あらゆる場所には管理者が存在します。

これらの管理者への無許可飛行は、不法侵入、器物損壊、プライバシー侵害、あるいは施設利用規約違反など、様々な法的・実務的な問題を引き起こす可能性があります。

航空法の許可を得ていても、現地の管理者からの同意がなければ、その場所でドローンを飛ばすことはできないのです。

まとめ

国有林内にあるスキー場のような特殊な管理区域でのドローン飛行には、航空法に基づく許可だけでなく、その土地や施設の管理者からの許可・承諾が不可欠です。

今回の事例は、多くのユーザーが航空法以外の現地ルールへの確認を怠りがちである現状を示唆しつつも、事前の徹底した確認と、丁寧な手続き、そして関係者との信頼関係構築が、いかに安全かつ円滑なドローン飛行を実現する鍵となるかを教えてくれます。

ドローンを飛行させる際は、まず「誰の土地か、誰が管理しているか」を確認し、その管理者への連絡を怠らないようにしましょう。

法令遵守と、関係者との合意形成という「両輪」を常に意識することが、ドローンを巡る無用なトラブルを避け、安全で持続可能な運用を可能にするでしょう。

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