
ドローン立入管理の「区画」と「措置」の違い
このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。
立入管理…というワードも、後に続く語句で意味の広がりが変わってきます。立入管理区画は文字通り囲う等の策を指しますが、立入管理「措置」となると補助者から機上カメラの監視まで…と意味が全方位に広がります。法令は定義にうるさいので勝手な解釈も要注意ですが、かく云う私もよく間違います💦
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) August 24, 2024
「立入管理」という共通のワードが付いていても、その後に続く言葉によって、意味する範囲や具体的な内容が結構違ってきます。
特に法律や許可申請の手続きでは、こうした言葉の定義が非常に重要になってきます。
この「立入管理区画」と「立入管理措置」の違いについて混乱しないように経験も踏まえて解説します。
このページで分かること
なぜ立ち入りを管理する?
まず、「立入管理」という言葉の基本的な考え方から。
これはシンプルに言うと
「ドローンの飛行経路や、万が一ドローンが落下した場合に影響が及ぶ可能性のある範囲に、関係者以外の第三者が立ち入らないように管理すること」
・・・です。
なぜこんな管理が必要なのでしょうか?
それは、ドローンが墜落したり制御不能になったりした場合に、地上の第三者や物件に危害を与えないようにするためです。
ドローンを安全に飛行させる上で、最も基本的な安全対策の一つと言えます。
この「立入管理」を実現するための具体的な手段や方法がいくつかあり、その表現によって意味合いが変わってくる、ということです。
区画なのか、措置なのか?
それでは、「立入管理区画」と「立入管理措置」、この二つの言葉のニュアンスの違いについて掘り下げていきます。
立入管理区画:文字通りの範囲
「立入管理区画」という言葉は、文字通り「物理的に囲ったり、区画を明示したりすることで、第三者の立ち入りを制限するエリア」を指すことが多いです。
- 具体的なイメージ:
- フェンスや塀で囲まれた敷地。
- ロープやバー、コーン、そして分かりやすい看板などを設置して、「ここから先はドローンの飛行エリアだから立ち入らないでくださいね!」と明確に示す範囲。
この「立入管理区画」を設定することで、そのエリアへの第三者の立ち入りを物理的、あるいは視覚的に制限しようという意図があります。
特に、「第三者の立入りを確実に制限できることを前提に」という条件付きで、補助者の配置に代わる立入管理の方法として認められることがあります。
立入管理措置:あらゆる手段
一方、「立入管理措置」という言葉は「第三者の立入りを制限し安全を確保するための、より広範な手段や取り組み全般」を指します。
こちらは、物理的な区画の設定だけでなく、様々な方法を含んでいます。
具体的なイメージ
- 補助者の配置
飛行エリア周辺に補助員を配置し、目視で第三者の立ち入りを監視し、注意喚起や飛行中止の指示を行う。
これは立入管理措置の最も基本的な方法の一つです。
- 補助者の配置
- 機上カメラや地上設置カメラによる監視
機体に搭載されたカメラや、地上に設置したカメラの映像をモニターで監視し、第三者の立ち入りがないかを確認する方法。
レベル3飛行など、補助者の目視が困難な場合に必要な措置として位置づけられています。 - 関係者への周知
事前に飛行計画を周辺住民や施設の管理者に知らせ、飛行時間中の立ち入りを控えてもらうようお願いする。 - 一時的な通行制限
道路や通路を横断する場合に、一時的に通行を止めて第三者がいない状況を作る。(これは高度な措置であり、関係機関との調整が必要です) - 物理的な区画設定
上記の「立入管理区画」を設定することも、「立入管理措置」の一つに含まれます。
- 機上カメラや地上設置カメラによる監視
このように、「立入管理措置」は、「立入管理区画」を含む、第三者の立ち入りによるリスクを低減するための、あらゆる安全対策の総称、といったイメージです。
補助者の目視、技術的な監視(カメラ)、物理的な区画設定、そして事前の周知や調整など、様々な手段を組み合わせた「安全管理の取り組み全体」のことを「立入管理措置」という・・・と考えると分かりやすいかもしれません。
法令上の定義がなぜ重要?
なぜ、この「区画」と「措置」の言葉の使い分けが重要なのでしょうか?
それは、航空法や関連する許可・承認の審査要領といった法令では、これらの言葉が明確に定義され、それぞれに求められる安全対策のレベルや、それによって可能となる飛行の範囲が定められているからです。
申請時の正確性
飛行許可申請書や飛行マニュアルを作成する際には、これらの用語を正しく理解し、自分がどのような「立入管理措置」として、具体的にどのような「立入管理区画」を設定・管理するのかを正確に記述する必要があります。
用語の解釈を間違えると、申請内容が審査基準を満たさないと判断されたり、意図しない許可内容になったりする可能性があります。
安全対策の確実性
どちらの言葉を使うかだけでなく、その言葉が意味する内容をどこまで確実に実行できるのかが問われます。
「看板を立てます」と書くだけで「確実に制限できる」とは認められないように、言葉の裏付けとなる具体的な体制や方法を準備することが求められます。
法令用語の難しさ
ドローン法務に日々向き合っていても、新しい制度や運用が出てくるたびに「あれ?この言葉、ここではこの意味合いか!」と再確認することがありますし、つい混同しそうになることも…(Xの投稿は正直なことです)。
法令の用語は、私たちが日常で使う言葉とは少し違った、厳密な定義を持っていることが多いので、一つ一つ確認していく姿勢が大切だと感じています。
「立入管理」という大きな概念の中に、「立入管理措置」という安全対策の具体的な手段全般があり、その「立入管理措置」の一つの方法として「立入管理区画」の設定がある、と捉えると、整理しやすいかもしれません。
正しい理解が安全な飛行
「立入管理区画」と「立入管理措置」。
似ている言葉ですが、意味する範囲には違いがあります。
この違いを正しく理解することは、適切な飛行計画を立て、必要な安全対策を講じ、そして飛行許可申請をスムーズに進めるために非常に重要です。
もし、ご自身の飛行がどのような立入管理に該当するのか、どのような措置が必要なのか判断に迷う場合は、ドローン専門の行政書士にご相談ください。
皆さんの飛行を安全かつ適法に行えるよう、正確な知識と経験に基づきサポートさせていただきます。
言葉の定義というものは奥深いですが、安全なドローン飛行のためにはこうした基本用語もしっかり理解しておく必要があります。
行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。 全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。 【免責事項】
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