空港周辺ドローン飛行の許可条件と注意点
このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。
空港事務所との調整を開始しました。。飛行経路が水平表面内なので条件は厳格です。①飛行30分以下②高度149M未満③設定経路逸脱不可④管制官中止指示⑤開始と終了と最中の管制官連携⑥飛行日時を前日AMに管制官連絡⑦航空機接近時の措置。これらが無理な場合は空港運営時間(7〜22)外に飛行すること。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) April 4, 2024
空港周辺でドローンを飛行させる際の許可条件と、安全を確保するための重要なポイントについて、より詳しく解説していきます。
先日、空港事務所との調整を開始した案件があるのですが、飛行経路が空港の水平表面というエリアに含まれるため、非常に厳しい条件が提示されています。
この案件を例に、空港周辺でのドローン飛行がいかに厳しく制限されるのか、そして、安全に飛行させるためにどのような対策が必要なのかをご理解頂ければ。
このページで分かること
なぜこれほど厳しい規制か
空港周辺、特に水平表面、進入表面、転移表面といった空域は、航空機の離着陸に不可欠な空間です。
これらの空域でドローンを飛行させることは、航空機との衝突や、航空機の航行を妨げる可能性があり、重大な事故につながる恐れがあります。
そのため、航空法では、空港周辺でのドローンの飛行を原則として禁止し、例外的に許可する場合でも、非常に厳しい条件を課しています。
- 水平表面とは
水平表面とは、空港を中心とした一定の範囲に設定される仮想的な平面のことで、航空機が安全に離着陸するための空間を確保するために設けられています。
この表面の上空では、航空機の飛行に影響を与える可能性があるため、ドローンの飛行が厳しく制限されます。
- 進入表面、転移表面とは
進入表面は、航空機が着陸のために降下する際に通過する仮想的な平面、転移表面は、進入表面と水平表面をつなぐ仮想的な平面のことです。これらの表面の上空も、航空機の安全な航行に不可欠であり、ドローンの飛行は厳しく制限されます。
許可条件:具体的な内容と背景
今回、私が調整している案件では、以下の非常に厳しい条件が提示されています。
これらの条件は、航空機の運航に支障をきたすことなく、安全にドローンを飛行させるために、航空管制官と空港管理者が協議して決定したものです。
- 飛行時間:30分以内
航空機の離着陸の合間を縫って、短時間での飛行を求められています。これにより、万が一ドローンにトラブルが発生した場合でも、航空機の運航への影響を最小限に抑えることができます。
- 飛行高度:149m未満
航空機の飛行高度との干渉を避けるため、ドローンの飛行高度が厳しく制限されています。149mという高度制限は、航空機の安全な航行を確保するために、綿密な計算に基づいて設定されています。
- 飛行経路:設定された経路からの逸脱は一切不可
ドローンが設定された経路から外れると、航空機との衝突の危険性が高まるため、厳格な経路管理が求められています。飛行前には、飛行経路を詳細に確認し、飛行中も常に正確な位置情報を把握する必要があります。
- 飛行中止:管制官からの指示があれば、直ちに飛行を中止
航空機の運航状況は常に変化するため、管制官がドローンの飛行を中止させる必要がある場合があります。この条件は、管制官の指示に即座に従い、航空機の安全を最優先に確保するためのものです。
- 管制官との連携:飛行開始前、終了後、飛行中も常に管制官と密に連携
ドローンの飛行状況や、航空機の運航状況を共有し、安全な飛行を確保するために、管制官との密な連携が不可欠です。飛行前には飛行計画を詳細に伝え、飛行中も常に連絡を取り合い、指示に従う必要があります。
- 飛行日時の事前連絡:飛行前日の午前中までに、管制官に飛行日時を連絡
航空機の運航計画との調整を円滑に行うために、飛行日時を事前に連絡する必要があります。これにより、航空機の運航に支障がないかを確認し、安全な飛行計画を立てることができます。
- 航空機接近時の措置:航空機が接近した場合は、直ちに安全な場所へ退避させるなどの措置を講じる
航空機がドローンの飛行場所に接近した場合に、衝突を避けるための具体的な措置を定めています。これには、ドローンを速やかに降下させ、安全な場所へ移動させることなどが含まれます。
クリアできない場合は?
上記の条件をすべてクリアすることが難しい場合は、空港の運営時間外(一般的に7時~22時以外)に飛行を行うことも検討する必要があります。
空港の運営時間外であれば、航空機の運航が少なくなるため、比較的飛行許可が下りやすい場合があります。
ただし、この場合でも、関係機関との調整は不可欠です。
注意点
空港周辺でドローンを飛行させる際には、以下の点に特に注意し、航空機の安全を最優先に考慮する必要があります。
- 飛行許可の取得:国土交通省への申請
空港周辺の飛行禁止空域や制限空域でドローンを飛行させる場合は、航空法に基づき、国土交通省の許可・承認を得る必要があります。
申請には、飛行目的、飛行日時、飛行場所、飛行経路、使用する機体の情報、操縦者の技能など、詳細な情報を提供する必要があります。
許可が下りるまでには時間がかかる場合があるため、余裕を持って申請を行うことが重要です。
- 飛行ルールの遵守:許可された場合でもルールを厳守
許可を取得した場合でも、航空法や許可条件で定められた飛行高度、飛行範囲、飛行時間などのルールを遵守し、安全な飛行を心がける必要があります。
これらのルールは、航空機の安全な航行を確保するために設けられたものであり、違反した場合は、罰則が科せられる可能性もあります。
- 関係機関との密な連携:空港事務所、管制官との連携
空港周辺でのドローン飛行は、空港事務所や管制官など、関係機関との密な連携が不可欠です。
飛行計画を事前に共有し、指示に従い、飛行中も常に連絡を取り合うことで、航空機の運航状況を把握し、安全な飛行を確保することができます。
- 飛行前の安全確保:機体点検、飛行場所の安全確認
飛行前には、機体の点検を徹底的に行い、バッテリー残量、プロペラの状態、通信状況などを確認します。
また、飛行場所の安全を確認し、障害物や人、車両などがいないことを確認します。
飛行経路とその周辺の状況を把握し、緊急時の着陸場所も確保しておきましょう。
- 飛行中の安全管理:常に周囲の状況を把握
飛行中は、常にドローンの位置、高度、速度などを把握し、設定された経路を正確に飛行するように注意します。
また、周囲の状況を常に監視し、航空機や他の障害物が接近していないかを確認します。
必要に応じて、飛行を一時停止したり、経路を変更したりする判断も求められます。
まとめ
空港周辺でのドローン飛行は、航空機の安全な運航を最優先に考え、関係機関と密に連携しながら、慎重に行う必要があります。
今回のような厳しい条件をクリアするためには、高い操縦技術だけでなく、関係機関との調整能力、詳細な飛行計画の作成、安全管理体制の構築など、総合的な能力が求められます。
ドローンを飛行させる際には、常に安全を最優先に考え、航空法をはじめとする関係法令やルールを遵守するようにしましょう。
そして、関係機関と協力し、航空機の運航に影響を与えないように最大限の注意を払うことが、ドローンを社会に受け入れてもらうために不可欠です。
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