ドローンスクール 特定飛行訓練は許可必須
このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。
講習機関で受講者が特定飛行(人モノ30や限定解除等)を行なう場合、この為だけの飛行許可が必要です。講師がオーバーライドしても必須です。無許可飛行は監査で航空局報告となるのでご注意下さい。海事協会は国家試験の際にも受験者個々の飛行許可を申請しているとのことです。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) August 23, 2023
このページで分かること
なぜ許可が必要か
まずは、なぜ訓練飛行にも許可が必要になるのかを理解しましょう。
制限されている飛行法
航空法では、空港周辺や高高度といった空域に関わる制限の他に、飛行方法に関する制限も設けています。
これには、人または物件から30m未満の距離での飛行、夜間飛行、目視外飛行、危険物輸送、物件投下などが含まれます。
これらの飛行は、通常のリスクに加えて、第三者への危害や迷惑を及ぼす可能性が高いため、事前に国の許可や承認を得なければ行うことができません。
訓練も特定飛行
ここで重要なのは、それらの飛行の「訓練」も該当する、という点です。
例えば、人に見立てたコーンに30m未満で近づく訓練や、夜間を想定して暗い場所で行う訓練は、それぞれ「人・モノ30m接近」「夜間飛行」という規制のある「特定飛行」にあたります。
したがって、これらの訓練を法令に基づき適法に行うためには、他の特定飛行と同様に、事前の許可取得が必要となるのです。
訓練だからといって許可が不要になる、ということはありません。
どのような許可か
では、具体的にどのような許可を取得する必要があるのでしょうか。
国土交通大臣の許可
特定飛行を行うためには、航空法第132条の2に基づき、飛行する空域を管轄する国土交通大臣(または委任を受けた地方航空局長)からの許可または承認が必要です。
これは特定飛行の訓練を行う場合も同様です。
申請書には、いつ、どこで、どのような目的(特定飛行訓練であること)で飛行するのか、どのような機体を使用し、誰が操縦するのか、そして最も重要な安全対策はどのように行うのか、といった詳細な情報を記載する必要があります。
訓練目的の場合、訓練内容や受講者の安全確保策などを具体的に示すことが求められます。
包括申請と個別申請
反復して特定飛行訓練を行う場合、飛行期間をまとめて申請する「包括申請」が可能な場合があります。
これにより、訓練の都度申請する手間を省くことができます。
しかし、特定の訓練内容や飛行場所によっては、個別の申請が必要となるケースもありますので、事前に確認が必要です。
日本海事協会は国家試験の際にも受験者個々の飛行許可を申請しています。
訓練や試験といった場面でも、飛行に関わる者(この場合は受験者=操縦者)を特定し、厳格な許可手続きを踏んでいる現状を示唆しています。
講習機関の訓練においても、受講者を含めた形で申請を行うなど、実態に即した申請内容が求められる可能性があります。
講習機関・受講者の注意点
この特定飛行訓練に関する許可の必要性は、講習機関側と受講者側の双方に関わる重要な問題です。
講習機関側の責任
講習機関は、提供する訓練カリキュラムの中に特定飛行に該当する内容が含まれているかを正確に判断する責任があります。
もし該当する訓練が含まれているのであれば、その訓練を実施するために必要な国土交通大臣の許可を、法令に則って確実に取得しなければなりません。
また、受講者に対して、特定飛行には許可が必要であること、そして訓練もその対象となることなど、ドローンに関する正しい法規制知識を周知徹底する義務があります。
無許可での訓練が、どのようなリスクを伴うのかも明確に伝えるべきです。
講師がオーバーライドした場合であっても許可が必要である点は、講習機関が責任者として、訓練飛行全体に対する許可を取得する義務があることを示しています。
飛行行為そのものが特定飛行であり、誰が操縦桿を握っているかにかかわらず、管理された飛行に対する許可が必要なのです。
受講者側の注意点
ドローンスクールに通う受講者の方々も、自身がどのような訓練を受けているのかに関心を持つことが大切です。
特に、夜間飛行や目視外飛行、人・モノへの接近といった、いわゆる「限定解除」に関わる訓練をカリキュラムとして受講する際は、その訓練が適法に行われているかを確認する意識を持つべきでしょう。
講習機関が必要な飛行許可を取得しているかを確認することは、自身が安全な環境で適切な訓練を受ける権利を守ることに繋がります。
もし無許可の訓練に参加してしまった場合、意図せずとも法違反に関与してしまう可能性もゼロではありません。
無許可飛行のリスク
無許可での特定飛行訓練は、看過できないリスクを伴います。
法令違反の罰則
航空法に違反して無許可で特定飛行を行った場合、罰則が科せられる可能性があります。
これは講習機関だけでなく、飛行を行った操縦者にも及びうる問題です。
無許可飛行は監査の対象となり、航空局への報告事案となります。
講習機関への影響
無許可での特定飛行訓練が発覚した場合、講習機関は行政指導の対象となるだけでなく、社会的な信用を大きく失うことになります。
これは、今後の受講者数の減少や、事業継続そのものにも深刻な影響を及ぼす可能性があります。
場合によっては、登録講習機関としての登録抹消といった事態にも発展しかねません。
受講者への影響
もし受講した訓練が法令違反を伴う無許可の訓練だった場合、受講者自身もその訓練に関与したことによる不利益を被る可能性があります。
形式上、特定の飛行に関する修了証などが発行されたとしても、それが違法な訓練に基づいていた場合、その有効性や社会的な信頼性に疑問符がつくことになりかねません。
結論
ドローンスクールにおける特定飛行訓練は、安全確保と法令遵守の観点から、事前の国土交通大臣の許可取得が必須です。
これは訓練という目的であっても変わらず、講師によるオーバーライド時も同様に許可が必要となる点に、講習機関は特にご注意ください。
講習機関は責任を持って必要な許可申請を行い、適法かつ安全な環境で質の高い訓練を提供することが求められます。
また、受講者の皆様も、ご自身が受ける訓練が法令に則って適切に行われているかに関心を持ち、安心して学べる講習機関を選択いただくことが大切です。
日本海事協会の事例からも、特定飛行に関わる操縦者の特定と、それに対する許可取得の厳格さが求められている現状がうかがえます。
講習機関における特定飛行訓練においても、こうした厳格な対応が今後より一層求められるようになるでしょう。
改めて、特定飛行訓練における許可取得の重要性をご認識いただければ幸いです。
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