
ドローン空域調整 目視外でも肉眼確認可能か?
このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。
【高高度の空域調整】で管制機関から確認されるのは目視外飛行を行うか否かです。行う場合は機体を肉眼で確認できるかどうか問われこれにより許可の条件が変わります。この点は厳しくて「極端に視野が狭くなる双眼鏡やモニター使用」は肉眼として認められません。有人機接近時の回避力の確認です。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) May 5, 2025
このページで分かること
ドロー 高高度飛行
ドローンの飛行は、航空法によって安全が確保されるように様々なルールが設けられています。
特に、高度150メートル以上での飛行や、航空路が設定されている空域、空港周辺といった空域での飛行は、許可・承認が必要な「特定飛行」に該当します。
これらの空域は、他の航空機が飛行している可能性が高く、ドローンの飛行が有人機の安全運航に影響を与えるリスクがあるためです。
このような空域でドローンを飛行させる場合、許可申請と併せて、航空管制機関との間で飛行日時や経路などについて調整を行う「空域調整」が必要となることがあります。
この空域調整のプロセスにおいて、管制機関はドローンの飛行計画のどのような点を気にするのでしょうか。
今回は、高高度空域での飛行に関わる空域調整、特に目視外飛行に関する管制機関の視点に焦点を当てて解説します。
空域調整解説
必要な場合
空域調整が必要となるのは、主に航空機の航行に影響を与える可能性のある空域でドローンを飛行させる場合です。
具体的には、以下のような空域での特定飛行が対象となり得ます。
- 地上または水上から150メートル以上の空域
- 管制圏、管制区、情報圏といった空域
- 航空路が設定されている空域
これらの空域でドローンを飛行させる許可申請を行う際には、飛行計画が他の航空機の運航に支障をきたさないか、安全に飛行できるかといった点を、航空管制機関が確認し、必要に応じて調整が行われます。
申請者は、飛行日時、経路、高度、使用機体、操縦者情報などを記載した書類を提出し、審査を受けることになります。
管制の役割
航空管制機関(空港の管制塔や航空交通管理センターなど)は、広大な空域を管理し、多数の有人航空機が安全かつ円滑に飛行できるよう指示や情報提供を行っています。
その役割の中で、ドローンの飛行計画が提出された場合、その飛行が他の航空機の運航に影響を与える可能性がないか、特に衝突リスクなどを評価します。
そして、リスクがあると判断した場合には、飛行日時や経路、高度の変更などを申請者に求め、調整を行うことで空域全体の安全を確保しています。
管制の視点
目視外に注目
空域調整において、管制機関がドローンの飛行計画を審査する際に特に気にする点の一つが、「目視外飛行を行うか否か」です。
目視外飛行は、操縦者がドローンを直接目で見ていないため、特に高高度の空域で他の航空機との距離感や動きを把握することが難しく、偶発的な接近や衝突のリスクが高まります。
管制機関は、この目視外飛行に伴うリスクを非常に重要視し、慎重な姿勢で審査を行います。
肉眼の重要性
目視外飛行を行う計画の場合、管制機関は「機体を肉眼で確認できるか否か」を問うてきます。
これは、緊急時や異常発生時など、管制機関からの指示があった場合や、他の航空機が接近した場合などに、操縦者や補助者がドローンを直接目で確認し、安全な状態(回避行動や緊急着陸など)に移行できる体制があるかを確認するためです。
高高度での目視外飛行では、機体を見失うリスクが高まるため、この肉眼での確認能力が重要な判断要素となります。
双眼鏡は不可
そして、この機体の肉眼での確認に関しては、X投稿にもあったように、「極端に視野が狭くなる双眼鏡やモニター使用は不可」とされる場合があります。
双眼鏡やモニターは、ドローンの一点に焦点を当てるものであり、周辺の広い空域を同時に監視することは困難です。
高高度の空域では、他の航空機が様々な方向から接近する可能性があるため、広い視野で周囲を継続的に監視できる肉眼での確認能力が求められます。
これが、空域調整の前提条件として示されることもあります。
有人機優先
空の原則
空域の利用においては、「有人機優先」という基本的な原則があります。
これは、人命を乗せている有人航空機の安全が何よりも優先されるという考え方です。
有人機はドローンに比べて飛行速度が速く、小回りが利かないため、ドローン側が有人機の運航を妨げないように回避行動をとる必要があります。
調整への影響
有人機優先の原則は、ドローンの高高度空域での空域調整に大きく影響します。
管制機関は、ドローンの飛行計画が有人機の安全運航に支障をきたすと判断した場合、許可を出さない、あるいは飛行日時、経路、高度に厳しい制限を設けるといった調整を行います。
ドローンは、有人機が安全に飛行できる範囲内で運用されるという位置づけになります。
この点は、高高度飛行を目指すドローンユーザーが痛感する、空の世界の厳しさと言えるでしょう。
申請の準備
事前確認
高高度飛行や管制空域での飛行許可申請および空域調整を行うにあたっては、事前の準備が非常に重要です。
飛行を予定している空域がどのような種類の空域なのか(管制圏、管制区、情報圏など)、その空域では通常どのような航空機がどのくらいの頻度で飛行しているのかといった情報を事前に収集し、空域調整が必要か否かを確認する必要があります。
関係する航空管制機関への事前の相談も有効です。
安全対策
空域調整の前提として、目視外飛行における補助者の配置や、機体の安全機能(GPSの安定性、自動帰還機能など)、通信の信頼性といった安全対策が厳しく確認されます。
特に、肉眼での機体確認が困難な高高度での目視外飛行では、補助者の配置に加え、他の航空機を検知するセンサーの搭載や、空域を常時監視する体制の構築など、より高度な安全対策が求められる場合もあります。
管制機関との調整を円滑に進めるためにも、実現可能で確実な安全対策を計画し、具体的に示すことが重要ですし、それは何よりも安全な飛行のために不可欠です。
結びに
ドローンの高高度空域での飛行には、航空管制機関との空域調整が不可欠です。
管制機関は、安全確保の観点から目視外飛行や機体の視認性を厳しく確認し、有人機優先の原則に基づいて飛行の可否や条件を判断します。
今回の解説で、高高度空域の特性や、管制機関が重視するポイント、そして有人機優先という空の世界の原則についてご理解いただけたかと存じます。
安全かつ適法な高高度飛行を実現するためには、事前の綿密な準備と、管制機関との連携、そして何よりも徹底した安全対策が必要不可欠です。
行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。
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