ドローン購入から飛行までの最短手順:矢野事務所

ドローン購入から飛行までの最短手順

ドローンを手に入れた高揚感と共に、多くの方が一枚の分厚い壁に直面します。

それは、あまりにも複雑で、多岐にわたる「ルール」の存在です。

「何から手をつければいいのか、全体の流れが全く見えない」

多くの方が、そうした不安を抱えます。

この国のドローンに関する制度は、ここ数年で目まぐるしく変化しており、専門家でなければ全体像を正確に把握するのは困難になってきました。

そこでこの記事では、あなたがドローンを購入してから、実際に飛行させるまでに必ず通る道のりを、時系列に沿った「ロードマップ」として解説します。

この記事の役割は、一つ一つの詳細を完璧に覚えることではなく、全体の流れと、各段階で何をすべきかを掴む「地図」を手に入れてもらうことです。

では、あなたのドローン飛行に向けた、最初の一歩から見ていきます。

ステップ1:機体登録という最初の義務

ドローンは、購入してすぐに飛ばせるわけではありません。

まず、あなたの機体が「どこの誰のものか」を国に登録する、法的な義務があります。

なぜ機体登録が必要なのか?

以前、所有者不明のドローンが重要施設に飛来・墜落する事件が相次ぎました。

あの時の反省から、一機ごとに機体を管理する「機体登録制度」が生まれました。

重量100g以上の機体は、この登録が義務付けられています。

リモートIDの搭載もセット

登録と同時に、機体の識別情報を電波で発信する「リモートID」の搭載も義務付けられました。

これは、ドローンにとっての「ナンバープレート」のようなものだと考えてください。

登録はDIPS2.0から

機体登録は、国土交通省のオンラインシステム「ドローン情報基盤システム2.0(DIPS2.0)」で行います。

まずはこのサイトで、あなた自身のアカウントを開設するところから全てが始まります。

ステップ2:特定飛行というルールを知る

機体登録が完了しても、まだ自由に飛ばすことはできません。

次に理解すべきは、航空法が定める「飛ばし方のルール」です。

その中心にあるのが「特定飛行」という概念です。

自由に飛ばせない飛行とは?

法律は、ドローンを自由に飛ばしてはいけない「空域」と「方法」を明確に定めており、これらを総称して「特定飛行」と呼びます。具体的には以下の10種類です。

  1. 飛行させる空域
    1. 空港等の周辺
    2. 150m以上の上空
    3. 緊急用務空域
    4. 人口集中地区(DID)の上空
  2. 飛行させる方法
    5. 夜間での飛行
    6. 目視外での飛行
    7. 人やモノとの距離が30m未満になる飛行
    8. イベント上空での飛行
    9. 危険物の輸送
    10. 物件の投下

許可が不要なケースもある

逆に言えば、この10種類の「特定飛行」のいずれにも該当しない飛行であれば、原則として国土交通省への許可・承認は不要です。

ドローンを飛ばす前には、自分の計画が特定飛行にあたるかどうかを確認する癖をつけましょう。

ステップ3:飛行許可・承認申請を行う

あなたの飛行計画が「特定飛行」に該当する場合、いよいよ国土交通省大臣の許可・承認を得るための申請手続きに進みます。

「包括申請」が基本となる

申請方法にはいくつか種類がありますが、ほとんどの事業者が利用するのが「包括申請」です。

これは、飛行日時や場所をその都度指定するのではなく、「1年間」「日本全国」といった広い範囲で、特定の飛行方法(主にDID、夜間、目視外、人モノ30m未満)の許可をまとめて取得する方法です。

いわば、ドローン飛行の「パスポート」のようなものです。

申請もDIPS2.0から

この包括申請も、ステップ1で使った「DIPS2.0」から行います。システム上で操縦者や機体の情報、飛行マニュアルなどを入力していくことで申請書が作成されます。

ステップ4:許可の絶対条件「飛行マニュアル」

無事に許可承認書が発行されても、まだ安心はできません。

その許可には、あなたが「あること」を遵守するという、重い「条件」が付いています。

許可が出れば終わりではない

その条件とは、申請時に提出した「飛行マニュアル」を遵守することです。国土交通大臣は、あなたがマニュアル通りに飛ばすことを前提として許可を出しています。

実践的になった標準マニュアル

多くの方が、申請時にDIPS2.0上で選択できる「航空局標準マニュアル」を利用します。

かつてこのマニュアルは、風速制限など一部の条件が厳しく、実務にそぐわない側面がありました。

しかし、本年3月の改定により、この標準マニュアルは大幅に実践的な内容へと進化しました。

機体の性能に応じて風速制限が緩和されるなど、現場の運用実態に即した内容が盛り込まれたのです。

これにより、多くの操縦者にとって、標準マニュアルを遵守することが、安全と実務を両立させるための現実的な選択肢となりました。

重要なのは、許可の条件であるマニュアルの内容を「正しく理解し、現場で確実に実行する」ことです。

無意識のうちに違反飛行をしてしまうことがないよう、一度はマニュアル「全文」に目を通しておく必要があります。

ステップ5:最後の関門「現地の許可取り」

国土交通省の許可は、あくまで「航空法」という法律上の規制をクリアした証に過ぎません。

それだけで、日本全国どこでも飛ばせるわけではないのです。

国交省の許可は万能ではない

ドローンを飛ばす土地や施設には、必ず所有者や管理者がいます。

そして、その管理者が「NO」と言えば、たとえ国交省の許可があっても飛ばすことはできません。

公園、河川、港湾、公道、私有地など、飛行前には必ずその場所の管理者を確認し、許可を得る「現地の許可取り」が不可欠です。

ステップ6:飛行ごとの義務を果たす

許可を取得し、現地の許可も得て、いよいよ飛行当日。

しかし、飛ばす直前と直後にも、法律で定められた重要な義務が待っています。

飛行計画の通報は必須

特定飛行を行う場合、飛行を開始する前に、日時や経路といった「飛行計画」をDIPS2.0を通じて国に通報する義務があります。

これを怠ると30万円以下の罰金が科される可能性がある、非常に重要な手続きです。

点検と日誌記録は忘れずに

さらに、飛行直前の「飛行前点検」と、飛行後に飛行記録をまとめる「飛行日誌」の作成・携帯も義務付けられています。

これらは安全運航の基本であり、万が一の事故の際には、あなたが義務を果たしていたかを示す重要な証拠となります。


以上が、ドローンを購入してから実際に飛行させるまでの、法的な義務を網羅したロードマップです。

登録、法規制の理解、許可申請、マニュアルの遵守、現地の許可、そして飛行ごとの義務。

一つ一つのステップは専門的ですが、この全体の流れを理解しておくことこそが、安全な飛行を実現し、ビジネスで信頼される操縦者となるための、最も確実な近道なのです。

 

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