
Mini 4 Pro型式認証申請不要となる利便性
このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。
【MINI4PRO型式認証】がもたらす申請不要等一連の利便性は「高品位な運航者と機体がセットであれば個別の審査をせずとも自らの責任で安全確保できるはず」との信頼を置いている証でもあります。逆に運航者にとっては利便性と引き換えに現場での安全確保への責任がより重くなることを意味しています。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) May 29, 2025
ドローンの法規制は、安全確保と産業発展の両立を目指し、常に進化しています。
その中でも、特定の機体が国の定める安全基準を満たしていることを証明する「型式認証」制度は、ドローン運用、特に飛行許可・承認のプロセスに大きな影響を与えるものです。
先日、「DJI Mini 4 Pro」が、この第二種型式認証を取得したという重要なニュースがありました。
この型式認証の取得は、国家資格を持つ操縦者がDJI Mini 4 Proを運用する際に、航空法上の許可・承認手続きが大幅に簡素化されます。
今回は、Mini 4 Proの型式認証がドローン運用にどのようなメリットをもたらすのか、そして依然として個別の許可が必要な飛行条件は何かを詳しく解説します。
このページで分かること
型式認証の意義
型式認証制度は、無人航空機の設計および製造過程が、国の定める安全基準に適合していることを国が証明するものです。
これにより、個々の機体の安全性確認が簡素化され、より迅速な運用が可能になります。
型式認証には、「第一種」と「第二種」があり、DJI Mini 4 Proが取得したのは第二種型式認証です。
第二種型式認証は、主にカテゴリーII飛行(特定飛行のうち立入管理措置を行う飛行)に用いられる機体を対象としています。
型式認証を取得した機体は、その型式が国によって安全性が確認されているため、個別の機体認証審査が大幅に簡略化されるメリットがあります。
Mini 4 Proと機体認証
DJI Mini 4 Proが第二種型式認証を取得したことで、この機体を使うドローンユーザーは大きな恩恵を受けます。
しかし、型式認証を取得しているからといって、購入した機体をすぐに飛ばせるわけではありません。
型式認証済みの機体であっても、個々の機体に対して「機体認証」を受ける必要があります。
これは、実際に購入した機体がその型式認証を受けた機体として適切に製造され、安全な状態であることを国が確認するための手続きです。
型式認証を受けているため、機体認証の審査は簡略化されます。機体認証取得後には、登録記号が付与され、これを機体に掲示する義務も生じます。
許可不要となる特定飛行
DJI Mini 4 Proの第二種型式認証取得がもたらすメリットは、国家資格(二等無人航空機操縦士以上の資格を持つ操縦者が、機体認証を受けたMini 4 Proを使用して行う場合、特定の特定飛行について個別の許可・承認が不要となる点です。
具体的には、これまで包括申請が必要であったり、個別の許可が必要であった以下の飛行が、原則として申請不要となります。
- 飛行の場所に関するもの
- 人または家屋の密集している地域(DID地区)上空での飛行
- 飛行の方法に関するもの
- 夜間飛行
- 目視外飛行
- 人または物件から30m未満の距離での飛行
これらの飛行を行う場合でも、飛行計画の通報は引き続き必要です。
しかし、個別の許可申請の手間が大幅に削減されるため、ドローン運用の柔軟性と効率性が飛躍的に向上するでしょう。
組み合わせ飛行も許可不要に
上記の基本的な特定飛行の免除に加え、DJI Mini 4 Proの第二種型式認証と国家資格の組み合わせは、複数の条件が複合する、より難易度の高い飛行においても、個別の許可・承認が不要となるメリットをもたらします。
具体的には、以下の組み合わせ飛行が、原則として申請不要となります。
- DID地区での夜間飛行
- 夜間の目視外飛行
- DID地区での夜間の目視外飛行
これにより、これまで時間と労力を要した複雑な申請手続きが大幅に簡素化され、より迅速な業務遂行や、ドローンの活躍の場の拡大が期待されます。
許可不要でも義務は不変
許可・承認申請が不要になったとしても、ドローンの安全運航に関する義務がなくなるわけではありません。
飛行形態(組み合わせ条件)に関わらず、立入管理措置を講じた上で、飛行マニュアルの作成等、無人航空機の飛行の安全を確保するために必要な措置を講じる義務があります。
特に重要なのは、飛行マニュアルの作成が必須である点です。
許可・承認申請が不要になったからといって、飛行マニュアルなしで飛行させれば、それは明確な航空法違反となります。
これは法律の遵守以前に、安全を軽視する「モラルの問題」として、ドローン運航者としての責任が問われることになります。
このように許可・承認が不要になることで、個別の審査プロセスが簡素化される一方で、各事業者が自律的に飛行計画の管理や安全対策を徹底する責任がより一層求められるようになります。
そのため、今後は、各事業者において「運航計画管理責任者」のような、飛行全体の安全とコンプライアンスを統括する役割がますます重要となるかもしれません。
依然として必要な個別申請
型式認証機体を使用し、機体認証を受け、国家資格者が操縦する場合であっても、引き続き個別の許可・承認申請が必須となる特定飛行条件が存在します。
これらは、よりリスクが高いと判断されるため、厳格な審査が求められます。
- 空港周辺での飛行
- 150m以上の上空における飛行
- 危険物輸送
- 物件投下
- 催し場所上空での飛行
これらの飛行は、第二種型式認証を受けた機体であっても、安全確保の観点から個別の審査が必要です。
特に、空港周辺空域や、催し場所上空での飛行は、不特定多数の人が集まる場所でのリスクが高い、または有人航空機との衝突リスクがあるため、引き続き厳格な審査が求められます。
まとめ
Mini 4 Proの第二種型式認証取得は、国家資格を持つ操縦者が当該機体を使用し機体認証を取得することで、DID地区上空、夜間、目視外、人・物件30m未満といった特定の飛行に加え、それらが複合する困難な飛行においても、個別申請が不要となる画期的なメリットをもたらします。
これにより、ドローン運用の柔軟性と効率性が飛躍的に向上するでしょう。
しかし、空港周辺、150m以上の上空、危険物輸送、物件投下、催し場所上空での飛行については、引き続き個別申請が必須です。
また、第二種型式認証機体は第三者上空飛行には使用できません。
許可・承認が不要になっても、飛行マニュアルの作成や立入管理措置を含む安全確保義務は変わらず存在し、これを怠れば航空法違反となります。
この変化は、ドローン事業者に自律的な安全管理と、運航計画管理責任者といった新たな役割の重要性を促すものです。
国家資格と認証機体の組み合わせが、これからのドローン運用のスタンダードとなり、より安全で効率的なドローン活用を促進することは間違いありません。
常に最新の情報を把握し、法令を遵守しながら、ドローンが社会に貢献する道を共に切り拓いていきましょう。
関連記事:DJI Mini4 Pro型式認証の正しい理解と注意点
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