
Mini4Pro PG目視外不可の盲点|矢野事務所
DJI Mini 4 Proは、小型で高性能な機体として非常に人気があります。
そのため、「Mini 4 Proなら、包括申請でそのまま目視外飛行にも使えるだろう」と考えられやすい機体でもあります。
しかし、型式認証機として運用する場合、ここに実務上かなり大きな盲点があります。
プロペラガード(PG)装着時です。
Mini 4 Proの飛行規程を読むと、PG装着時は「目視外飛行不可・常に目視内で操作」と整理されています。
正直、最初にこれを読んだとき、筆者自身も「あれ、どう整理するんだ…?」となりました。
なぜなら、実務では「30m未満だからPGを付けたい」という場面がある一方で、PGを付けると今度は目視外飛行ができなくなるからです。
つまり、
「安全のためにPGを付けたい」
「でもPGを付けると目視外不可になる」
という、条件同士の衝突が起こります。
本記事では、この「Mini 4 Pro PG目視外不可」の論点を、単なる制度知識ではなく、型式認証機・飛行規程・包括申請・実運用の関係として整理します。
このページで分かること
Mini 4 Proは高性能なので、普通は目視外できそうに見える
Mini 4 Proは、障害物検知、安定性、映像性能などに優れた機体です。
小型で扱いやすく、包括申請でも使われやすいため、「目視外でも普通に使える機体」という感覚を持ちやすくなります。
実際、機体性能だけを見れば、目視外飛行そのものが不自然に見える機体ではありません。
そのため、多くの人が、
「Mini 4 Pro+包括申請=目視外可能」
というイメージを持ちやすいと思います。
しかし、型式認証機として運用する場合には、ここに「飛行規程」が入ってきます。
飛行規程を読むと、PG装着時は目視外不可になっている
Mini 4 Proの型式認証機では、DJIが定める飛行規程に従って運用する前提になります。
そして、この飛行規程には、PG装着時は目視外飛行不可と整理されています。
つまり、機体性能として飛べそうかどうかとは別に、認証機としての運用条件が存在しています。
ここが非常に重要です。
実務では、「飛べそう」と「認証機としてその条件で飛ばせる」は同じではありません。
型式認証機では、機体性能だけではなく、飛行規程そのものが運用条件になります。
さらに混乱するのが「30m未満ではPGを付けたい」という実務です
ここでさらに実務を難しくするのが、「30m未満飛行ではPGを付けたい」という場面です。
人や物件との距離が近い飛行では、接触リスク対策としてPGを付けたいと考えることがあります。
実際、30m未満飛行とPGは、現場感覚としてかなり結びつきやすいです。
しかし、PGを付けると、今度は飛行規程上、目視外飛行不可になります。
つまり、
「30m未満だからPGを付けたい」
↓
「PGを付けると目視外不可になる」
↓
「でもDIDや撮影では目視外したい場面がある」
という整理の衝突が起きます。
この論点は、制度を真面目に読んだ人ほど、一度混乱しやすい部分だと思います。
包括申請と型式認証機運用は、完全に同じではない
ここで重要なのが、「包括申請」と「型式認証機としての運用」は、完全に同じではないという点です。
包括申請は、航空法上の許可・承認制度です。
一方で、型式認証機には、型式認証機としての飛行規程があります。
つまり、包括申請上は目視外飛行の条件があっても、認証機の飛行規程側でPG装着時目視外不可となっていれば、その条件では一致しません。
ここを混同すると、
「包括があるから大丈夫だと思っていた」
「でも認証機運用では条件が合わない」
ということが起きます。
包括申請の限界については、包括申請でも成立しない飛行とは|矢野事務所でも整理しています。
飛行規程と飛行マニュアルも整理が必要です
さらに難しいのが、「飛行規程」と「飛行マニュアル」が別物だという点です。
飛行規程は、型式認証機としての運用条件を定めるものです。
一方、飛行マニュアルは、実際の運航方法や安全管理手順を整理するものです。
つまり、
飛行規程=機体側の運用限界
飛行マニュアル=運航側の安全管理
という違いがあります。
ただし、飛行マニュアルで自由に上書きできるわけではありません。
認証機としての飛行規程に反する内容は、そのままでは整理しづらくなります。
ここが、実務で非常に悩ましい部分です。
結局、「どの制度で飛ばすのか」を整理する必要がある
Mini 4 Pro運用で重要なのは、「飛べるか」だけではありません。
どの制度前提なのか。
型式認証機として飛ばすのか。
通常包括申請として整理するのか。
PGを付けるのか。
30m未満なのか。
目視外なのか。
ここを整理しないと、条件同士が衝突します。
つまり、Mini 4 Pro実務では、「高性能だから大丈夫」ではなく、「どの制度と条件で飛ばすのか」を整理する必要があります。
DIDや目視外での地上監視については、ドローンDID補助者なし・目視外は成立するのか:矢野事務所でも整理しています。
最後は「条件整理できているか」が問われる
Mini 4 Proは非常に優秀な機体です。
しかし、型式認証、PG、目視外、30m未満、包括申請が重なると、条件整理は一気に難しくなります。
しかも、この論点は「制度を知らない人が勘違いする」というより、「制度を真面目に読んだ人ほど悩みやすい」テーマです。
だからこそ重要なのは、
「飛べそう」
ではなく、
「どの条件で、どの制度前提で、その飛行を成立させるのか」
を整理することです。
ドローン実務では、最後は条件整理と運航管理が問われます。
この考え方については、ドローンは操縦でなく運航管理|矢野事務所でも整理しています。
◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆
許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません
ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。
※飛行許可申請「のみ」のご相談にも対応しています
