ドローン訓練の許可未取得スクールの実態:矢野事務所

ドローン訓練の許可未取得スクールの実態

 

このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。


ドローン産業が健全に発展していくためには、操縦者の技能だけでなく、法令遵守の意識が不可欠です。

しかし、その基礎を築くはずの訓練の現場で、看過できない問題が起きているという情報が耳に入りました。

それは、「訓練用の飛行許可の未取得問題」です。

驚くべきことに、いまだに訓練用の飛行許可を取得しないまま、訓練や受検を行わせている講習機関があると聞き、暗澹たる気持ちになりました。

当局からも「不適切事項」として指摘されているにもかかわらず、こうした実態が残っているのです。

中には、「NK(無人航空機)試験官の口頭試問には正答できた受検者が、実は許可書が何のことか理解していなかった」という有り様まであると聞き、現状への強い危機感を覚えています。

「訓練許可」の基本

ドローンスクールや講習機関で行われる訓練飛行も、航空法上の規制の対象となります。

特に、以下のいずれかの条件に該当する場合は、「特定飛行」とみなされ、国土交通大臣の飛行許可・承認が必須となります。

  • 人口集中地区(DID地区)での飛行
  • 150m以上の上空での飛行
  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 人または物件から30m未満の距離での飛行
  • イベント上空での飛行

これらの条件下で訓練を行う場合、講習機関は、受講生が安全に訓練できるよう、適切な飛行許可を事前に取得する責任があります。

訓練用であっても、安全確保と法令遵守の義務は、実際の業務飛行と何ら変わりません。

驚くべき「未取得」の実態

「訓練用の飛行許可を取得しないまま、訓練や受検を行わせている講習機関が今だにある」という事実は、ドローン産業の根深い課題を浮き彫りにしています。

このような行為は、明らかに航空法違反であり、訓練を受けている受講生を危険に晒すだけでなく、知らず知らずのうちに受講生を法令違反に巻き込む可能性すらあります。

なぜこのような問題が起こるのかというと、以下のような背景が考えられます。

  • 知識不足や誤解
    ドローンの法令が複雑であり、訓練飛行にも許可が必要であるという認識が不足している。
  • コストや手間の回避
    許可申請にかかる時間や費用を避けようとする。
  • 安全意識の欠如
    法令遵守よりも、目先の利益や効率を優先してしまう。

このような不適切行為は、ドローン産業全体の信頼性を著しく損なうものです。

国家資格と知識のギャップ

「NK試験官の口頭試問に正答した受検者が、実は許可書が何のことか理解してなかった」という事例は、さらに深刻です。

これは、国家資格の取得に向けた学習が、形式的な知識の習得に留まり、それが実際の安全運航や法令遵守という「実務」に結びついていない可能性を示唆しています。

国家資格は、ドローン操縦者の技能と知識を国が証明する重要な制度です。

しかし、その資格を持つ者が、飛行許可制度の基本的な意義を理解していないとすれば、それは資格制度の信頼性にも関わる問題です。

講習機関は、単に試験に合格させるための知識だけでなく、ドローンを社会の中で安全かつ適法に運用するための真の安全意識と、法令遵守の実践を教える責任があるのです。

知識と実務の乖離は、事故や違反につながる大きなリスクとなります。

監査と業界の健全化

このような不適切行為を根絶し、ドローン業界が健全に発展していく為には、厳正な監査と全ての関係者の協力が不可欠です。

「監査団体には鬼と化して頂きたい」という気持ちは、業界の健全化を強く願うからです。

国土交通省の登録講習機関に対する監査や指導が、今後さらに厳格に行われる必要があります。

不適切行為を行う講習機関は速やかに排除され、高い安全意識と法令遵守を徹底する機関が評価されるべきです。

ドローン産業の信頼は、個々の操縦者や事業者、そして講習機関の行動の積み重ねによって築かれます。

厳正な監査は、その信頼を守り、高めるための重要な手段ではないでしょうか。

まとめ

ドローンの訓練飛行における許可の未取得問題は、業界の健全性を揺るがす深刻な課題です。

「未取得のまま訓練や受検させている講習機関が今だにある」という現状や、国家資格と実務知識のギャップは、最終的にドローンの安全運航を脅かし、社会からの信頼を損なうものです。

この問題を解決し、ドローンが社会に広く受け入れられるためには、講習機関の徹底した法令遵守と高いモラルが不可欠です。

そして、監査団体には厳正なチェック体制を敷き、不適切な行為を容認しない「鬼」のような姿勢で臨んでいただきたいと強く願います。

すべてのドローンユーザーも、信頼できる講習機関を選び、法令を正しく理解し、安全意識を高く保つことが、健全なドローン社会を築くための重要な一歩となります。

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