
ドローン目視外飛行の真髄:3.5から4への展望
このページはX(エックス)の投稿を深堀り解説したブログ記事です。
目視外はドローンの真骨頂です。3.5を通じて一段高いリスクを背負い補助者や安全管理の手間・費用を解消しドローン本来の価値を顕在化させて行く。危険と利点とのバランスで3.5を成功させ、第三者が存在する可能性が低い場所「以外」にも期待したいものです。そこは「4」の出番となるのでしょうか…。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) January 5, 2024
このページで分かること
ドローン飛行の「真骨頂」とは何か
ドローンが持つ無限の可能性を最大限に引き出す領域、それが目視外飛行です。
操縦者が機体を直接見ることなく、モニターやFPV(一人称視点)映像を通じて遠隔で操作するこの飛行方法は、広大なエリアの測量、長距離のインフラ点検、災害現場での状況把握、さらには都市部での物流といった、これまでの常識を覆すような活用を可能にします。
Xに投稿したように、「目視外はドローンの真骨頂」なのです。
しかし、この目視外飛行は、第三者との接触リスクや予期せぬトラブルの可能性も高まるため、極めて厳格なルールのもとで運用されてきました。
特に、人がいる場所での目視外飛行は、長らく大きなハードルとなっていました。
レベル3.5飛行が切り拓いた道
2023年3月に導入されたレベル3.5飛行は、まさにこの目視外飛行における大きなブレークスルーとなりました。
これは、それまでのレベル3飛行(無人地帯における目視外飛行)をさらに進め、「立入管理措置を講ずることなく、補助者なしに特定区域の上空を飛行する」ことを可能にしたものです。
国土交通省が公表している「空の産業革命に向けたロードマップ2024」においても、レベル3.5飛行は、点検・測量分野における更なる効率化、遠隔操作による業務の省力化・省人化を促進する重要なステップとして位置づけられています。
手間と費用の解消
レベル3.5飛行が可能になったことで、特に以下の「手間・費用」が大幅に解消されることが期待されます。
- 補助者配置の緩和
これまで必須だった補助者の配置が不要になるケースが増え、人件費の削減に繋がります。 - 簡易な立入管理措置
飛行ルート全域での厳重な立入管理が不要になるため、看板設置やバリケード設置の手間、それに伴う資材費用が軽減されます。
これにより、ドローン運用のハードルが下がり、特にインフラ点検や大規模施設の管理において、ドローン本来の価値をより広範囲で顕在化させることが可能になりました。
危険と利点、コストとリターンのバランスを最適化する上で、レベル3.5は非常に重要な役割を担っています。
「第三者が存在する可能性が低い場所」における厳格な定義
レベル3.5飛行は、「第三者が存在する可能性が低い場所」での飛行を前提としています。
国交省のガイドライン等によれば、具体的には山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地、ゴルフ場などがこれに該当します。
これらの人口密度が低い地域が主な対象となります。
そして、「第三者が存在する可能性が低い場所」にある線路、幹線道路といった区域において、移動車両等の上空を一時的に横断することが限定的に認められています。
ただ、注意が必要なのは、「移動車両等の上空横断」は認められるものの、歩行者など「第三者」の上空飛行は依然として禁止されているという点です。
人や車両が一時的に横断する道路の上空を、ドローンが素早く通過するイメージであり、決してその上空に長時間滞空したり、人が密集する場所を自由に飛行したりすることは許されていません。
この厳格な線引きを理解することが、レベル3.5飛行を安全かつ合法的に行う上で不可欠です。
レベル4飛行への期待と課題
レベル3.5飛行は、ドローンの社会実装を加速させる重要な一歩ですが、Xでも投稿したように、「第三者が存在する可能性が低い場所『以外』にも期待したい」という声は少なくありません。
そこはまさに「レベル4飛行」の出番となる領域です。
レベル4飛行とは、「有人地帯(第三者の上空)における目視外飛行」を指します。
これは、都市部でのドローン配送や、大規模イベントでの警備、救助活動など、ドローンが社会のあらゆる場面で活躍するための最終目標とも言える領域です。
レベル4実現に向けた課題
国土交通省の「空の産業革命に向けた・・・」でも、レベル4実現に向けた様々な課題と取り組みが明記されています。
- 安全性確保の高度化
機体の堅牢性、衝突回避技術、GPS喪失時の対応など、より高いレベルの安全性が求められます。 - 運航管理システムの確立
多数のドローンが安全かつ効率的に飛行するための交通整理システム(UTM: Unmanned aircraft system Traffic Management)の構築が必要です。 - 社会受容性の向上
住民のプライバシー保護、騒音問題、テロ対策など、社会的な理解と受容を高めるための啓発活動やルールの整備が不可欠です。 - 認証制度の整備
機体認証、操縦者技能証明、運航管理体制の認証など、信頼性を担保する制度の確立が求められます。
レベル4の実現は、単に技術的な問題だけでなく、社会的な合意形成や法制度の整備といった多角的なアプローチが必要です。
まとめ
ドローンの目視外飛行は、その真価を発揮する上で不可欠な領域です。
レベル3.5飛行の導入は、「第三者が存在する可能性が低い場所」での特定の条件下における目視外飛行において、手間と費用を大幅に解消し、ドローンの産業利用を大きく前進させました。
しかし、それは「第三者がいる場所での立入管理が不要になった」ことを意味するものではなく、「移動車両等の一時的な横断」に限定されるという厳格な条件を伴います。
そして、その先にあるレベル4飛行は、ドローンが都市の空を自由に飛び交い私たちの生活に深く根差す未来を示しています。
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