
ドローン1Km離れても「催し上空」適用の例
このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。
ある方が国交省から「会場から1km離れていてもそれが花火大会を写す飛行ならイベント申請が必要」と言われ困惑しているとの話を耳にしました。腑に落ちませんが確かに経験豊富な他の先生からも花火大会での飛行は催し上空になるか否かを国交省に確認せずに飛ばすと違法になる危険があると聞きました。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) July 1, 2024
ドローンによる花火大会の空撮は、多くの操縦者にとって魅力的な被写体です。
しかし、その飛行許可を巡っては、思わぬ「落とし穴」が存在することをご存存知でしょうか。
先日、ある方が国交省から「会場から1km離れていても、それが花火大会を写す飛行ならイベント申請が必要」と言われ、困惑しているという話を耳にしました。
一見すると「腑に落ちない」この発言ですが、経験豊富な他の先生方も「花火大会での飛行は、催し上空になるか否かを国交省に確認せずに飛ばすと違法になる危険がある」と警鐘を鳴らしています。
これは、「催し場所上空」という概念が、物理的な距離だけでなく、その飛行の目的や、催しへの影響範囲によって広がる可能性があることを示唆しています。
このページで分かること
「催し上空」とは
航空法における「催し場所上空」とは、「多数の者の集合する場所での催しの上空」を指します。
具体的には、お祭り、展示会、スポーツイベント、コンサート、そして花火大会など、不特定多数の人が集まる場所がこれに該当します。
このような場所でのドローン飛行は、万が一の墜落事故が発生した場合に甚大な被害につながる可能性があるため、極めて厳しく規制されており、原則として国土交通大臣の個別許可・承認が必要です。
「上空」という言葉は、単に真上を意味するだけでなく、その催しの安全が確保されるべき範囲全体を指すと解釈されます。
1km離れても?
「会場から1km離れていても花火大会を写す飛行ならイベント申請が必要」という国交省の発言は、多くの操縦者を困惑させるかもしれません。
通常、「30m規制」のように物理的な距離で判断することが多いからです。
しかし、この発言は、花火大会のような大規模な「催し」の場合、「催し場所上空」の概念が、物理的な会場の直上だけでなく、その催し全体に影響を与える範囲、またはその催しの映像を撮影するという「飛行目的」によって広がる可能性があることを示唆しています。
- 影響範囲
花火大会は、広範囲から多くの観客が密集して観覧します。1km離れていても、その場所が観客のいるエリアの一部である場合や、花火の打ち上げ範囲とドローンの飛行空域が重複する可能性が考慮されることがあります。 - 飛行目的
「花火大会を写す飛行」という目的自体が、その飛行を催しと関連付け、安全確保の対象と見なされる要因となる可能性があります。
これは、ドローンの落下距離を考慮すると、直接の真上ではなくても落下によって被害が及ぶ可能性がある範囲も「上空」に含まれるという考え方にも通じます。
確認が不可欠な理由
「国交省に確認せずに飛ばすと違法になる危険がある」という言葉の重みは、ここにあります。
「催し場所上空」の定義や範囲は、会場の規模、観客の密度、花火の打ち上げ方法、周辺の地理的条件など、個別の状況によって判断が異なる場合があります。
そのため、一律の基準で自己判断することが非常に難しいのです。
安易な自己判断で飛行し、後から「催し場所上空」と見なされれば、それは無許可飛行となり、航空法違反(50万円以下の罰金など)に問われるだけでなく、社会的信用を失うリスクもあります。
ドローンの安全運用は、何よりも事故やトラブルを未然に防ぐことが重要であり、グレーゾーンでの自己判断は避けるべきです。
個別申請の実際
DJI Mini 4 Proのような第二種型式認証機体と国家資格者の組み合わせであっても、「催し場所上空での飛行」は依然として個別の許可・承認申請が必須です。
個別申請では、以下の点が特に厳しく審査されます。
- 詳細な安全確保体制
飛行計画、機体性能、操縦者の技能、補助者の配置、立入管理措置、緊急時対応など、具体的な安全対策を綿密に提示する必要があります。 - 関係機関との連携
花火大会のような大規模イベントの場合、管轄の地方公共団体、警察、消防、イベント主催者など、複数の関係機関との事前調整や連携が求められることが一般的です。
これらのプロセスは時間と労力を要しますが、安全な飛行を実現し、法令を遵守するためには不可欠なステップです。
まとめ
花火大会のような「催し場所上空」でのドローン飛行規制は、物理的な距離だけで判断できるものではなく、その催しの「影響範囲」や「飛行目的」によって解釈が広がる可能性があります。
特に「会場から1km離れていても花火大会を写す飛行ならイベント申請が必要」という国交省の発言は、その複雑さを物語っています。
安易な自己判断は、無許可飛行という重大な法令違反につながる危険性があるため、絶対に避けるべきです。
花火大会やその他のイベント会場周辺でドローンを飛行させる場合は、必ず事前に管轄の航空局や空港事務所に確認し、必要な個別申請を確実に行いましょう。
行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。
全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。
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