
MINI4PROに見る認証機と自己責任の原則
このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。
【MINI4PRO型式認証】は多くの方が一機種の出来事に留まらない意味を感じていると思います。認証機と運航者の高品位をよすがに包括や組合せ飛行を許容→不可欠な立入管理措置等の安全体制も無審査…。この自己責任思想です。審査チェックのない「飛行マ運用義務」が象徴的です。無審査の自己責任です。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) May 28, 2025
このページで分かること
認証が示すドローン社会
DJI Mini 4 Proの型式認証取得は、ドローン産業の未来が、機体の安全性と操縦者の技能を国が保証する「認証と資格の組み合わせ」によって形成されることを強く示唆しています。
この「認証機と運航者の高品位」が、ドローン運用の信頼性を高め、これまで厳しく制限されてきた複雑な飛行形態(包括申請対象の飛行や、特定の組み合わせ飛行)が、より許容されやすくなる道を開きました。
これは、ドローンが単なるホビーや特殊な機材ではなく、社会インフラの一部として、より広範な領域で活用されるための重要なステップです。
規制緩和と「無審査」
型式認証機と国家資格者の組み合わせによる最大のメリットは、特定の特定飛行について、個別の許可・承認申請が不要となる点にあります。
この「許可不要」という状態は、裏を返せば、行政による「事前の審査チェックがない」ことを意味します。
これまで、飛行計画や安全確保体制(飛行マニュアルの内容、立入管理措置、補助者の配置など)は、個別の許可申請の際に航空局が詳細に審査し、問題があれば補正指示が出されていました。
しかし、許可不要となる飛行においては、これらの「不可欠な立入管理措置等の安全体制」が、申請段階では行政による事前の「無審査」となるのです。
「自己責任思想」の核心
この「無審査」の背後にあるのが、ドローン規制の「自己責任思想」です。
国は、型式認証によって機体の安全性を、国家資格によって操縦者の知識・技能を公的に担保します。
これにより、ドローン飛行に伴う個別のリスク管理や安全確保は、最終的に事業者(運航者)自身の責任に委ねられる、という考え方です。
許可申請手続きが簡素化されることは、ドローン運用者にとっては大きなメリットですが、それは行政が「高品位な機体と運航者であれば、個別の審査をせずとも、自らの責任で安全を確保できるはずだ」という信頼を置いている証でもあります。
つまり、利便性と引き換えに、現場での安全確保への責任がより重くなることを意味しているのです。
飛行マニュアル運用義務の重み
この「自己責任思想」を最も象徴するのが、「飛行マニュアル運用義務」です。
特定の飛行で個別の許可・承認が不要になったとしても、ドローンの安全確保のための措置、特に「飛行マニュアルの作成と、それに従った安全運航の義務」は、航空法上、依然として厳然と存在します。
飛行マニュアルは、自己責任において安全を確保するための行動規範であり、これを遵守して飛行させることは、万が一の事故が発生した際に、事業者側の安全管理体制が適切であったことを示す唯一の根拠となります。
マニュアルなしで飛行させたりマニュアルに反した飛行を行ったりすれば、それは航空法違反に問われることになります。
これは法律の問題であると同時に、安全に対する「モラルの問題」でもあります。
「無審査の自己責任」だからこそ、事業者自身が作成した飛行マニュアルの質と、それを確実に運用する責任が、これまで以上に重い意味を持つことになります。
事業者に求められる新たな覚悟
ドローン運用における「自己責任」の時代は、事業者に対し、単なる形式的な法令遵守を超えた、より高いレベルでの安全管理能力と覚悟を求めています。
- 実質的な安全管理能力の向上
マニュアルを作成するだけでなく、その内容をスタッフ全員が理解し、日々の運航で徹底する実効性が求められます。 - 組織的な安全体制の構築
運航計画管理責任者の設置や、社内でのリスクアセスメント体制、緊急時対応計画の策定など、組織全体で安全を担保する仕組みの重要性が増します。 - 最新情報の継続的な学習
規制や技術の進化に常にアンテナを張り、自身の運用をアップデートしていく姿勢が不可欠です。
提供するサービスの価値を理解してもらうために、無理解な依頼は断るという「プロの矜持」もまた、この自己責任思想の表れであり、自らの安全基準と責任を明確にする上で重要な行動と言えるでしょう。
まとめ
DJI Mini 4 Proの型式認証取得と、それに伴う特定飛行の許可免除の拡大は、ドローン産業の大きな前進です。
しかし、その根底には、運航者の「自己責任」という大きな原則が横たわっています。
許可申請の簡素化は、行政による「事前の審査チェック」がなくなることを意味し、その分、現場での安全確保や、飛行マニュアルの作成・運用義務が、これまで以上に重要になります。
これは、ドローン事業者に対し、許可不要の便利さと引き換えに、より高いレベルでの安全管理と運用義務が求められる時代が到来したことを示しています。
プロとしての覚悟と責任を持ち、法令遵守とマニュアルの確実な運用を通じて、安全で健全なドローン産業の発展に貢献していきましょう。
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