知るべき災害時ドローン飛行の規制と手続き:矢野事務所

知るべき災害時ドローン飛行の規制と手続き

 

このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。


ドローンは、私たちの生活に様々な可能性をもたらしていますが、中でも災害時におけるその活用は、人命救助や被害状況の把握など、非常に重要な役割を担います。

しかし、災害時だからといって、日頃のルールが無くなるわけではありません。

むしろ、通常とは異なる特別なルールと、それを支える仕組みがあることを理解しておく必要があります。

平時との大きな違い

通常、ドローンの飛行には航空法をはじめとする様々な法規制が適用されます。

人口集中地区での飛行や夜間飛行、目視外飛行、そして第三者の上空での飛行などは、原則として国土交通大臣の許可や承認が必要です。

これらの規制は、安全を確保するために非常に重要です。

しかし、ひとたび災害が発生し、緊急の対応が必要となった場合、これらのルールがそのまま適用されると、迅速な活動が妨げられてしまう可能性があります。

そこで、航空法には緊急用務空域などの特例措置が設けられており、人命救助や災害応急対策のために必要な飛行は、通常では許されないような場所や方法であっても、例外的に認められる場合があります。

これが「平時には許されない」飛行が災害時に可能となる根拠の一つです。

特例の背景にある信頼

では、なぜそのような特例が認められるのでしょうか。

それは、災害時という極限状況下での飛行は、通常以上に高いリスクを伴うからです。

瓦礫が散乱し、不安定な構造物があり、緊急車両が行き交う中での飛行は、高度な判断力と操縦技術が求められます。

そのため、このようなリスクの高い飛行を任されるのは、その能力と安全管理体制について、関係機関から信頼を得ているオペレーターに限られます。

この信頼は、日頃からの安全飛行の実績、確立された運行管理体制、そして何よりも自治体との連携や協定締結などを通じて培われるものです。

単に技術があるだけでなく、緊急時における責任ある行動が期待されるからこそ、特例が適用されるのです。

この信頼関係こそが、災害時におけるドローン活用の基盤となります。

問われる操縦士の技量

災害現場は刻々と状況が変化します。

強い余震、突発的な風、通信状況の悪化など、予期せぬ事態に直面する可能性が高いです。

このような状況下で安全に飛行を遂行し、必要な情報を正確に持ち帰るためには、基礎的な操縦技術はもちろんのこと、応用的な判断力と危機管理能力が不可欠です。

周囲の状況を常に把握し、危険を回避するための適切な判断を瞬時に行えること。

期待される成果を上げつつも、二次災害を引き起こさないよう細心の注意を払えること。

これらは、通常の訓練だけでは培われにくい、災害現場での経験や、それを想定した実践的な訓練を通じて磨かれるスキルです。

まさに、安全と危険を熟知した「高技能者」にしか担えない役割と言えるでしょう。

準備しておくべきこと

災害時にドローンを有効かつ安全に活用するためには、事前の準備が何よりも重要です。

マニュアルの重要性

「災害時マニュアル」の策定は必須です。

このマニュアルには、通常の飛行マニュアルとは異なり、緊急時の連絡体制、離着陸場所の選定基準(被災状況を踏まえて)、収集した情報の共有方法、そして最も重要な、通常とは異なる飛行(例えば、人や建物に接近せざるを得ない場合など)を行う際の具体的な判断基準や安全確保措置などを盛り込む必要があります。

平時のルールが適用できない状況で、どのように安全を確保するか、その覚悟と手順を明確に定めておくことが、迅速かつ安全な活動を可能にします。

自治体との連携

そして、地域の自治体との連携は欠かせません。

災害時における協力に関する協定を事前に締結しておくことで、緊急時の連絡がスムーズになるだけでなく、飛行場所や活動内容について事前に調整を行い、許可・承認の手続きを迅速化することが期待できます。

自治体からの要請に基づいて出動することで、活動の正当性が担保され、他の救助活動との調整も円滑に進みます。

自治体の「後ろ盾」があるからこそ、自信を持って災害対応に臨むことができるのです。

災害時におけるドローン飛行は、通常の飛行とは異なる特別な責任が伴います。

法の特例は、信頼できるオペレーターと、それを支える事前の準備があって初めて活かされるものです。

ドローンによる災害対応に関心がある方は、ぜひこれらの点を踏まえて、日頃から準備を進めていただければと思います。

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