
ドローン事業成功の鍵はリカーリングモデル
このページはX(エックス)の投稿を深堀り解説したブログ記事です。
【反復モデル】リカーリングという収益モデルが事業の要諦と言われます。ある実現者の経験論『一顧客当り週一・月一・四半期・半年・往復→この反復稼働が見えて来るまでは→利益にこだわらず→実験感覚で→撤退基準超えまでは追加投資一切せず→ひたすら脇目も振らず「客数の積上げ」に命を燃やす』
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) January 23, 2025
このページで分かること
リカーリング収益とは
ドローンビジネスを安定的に成長させる上で、今最も注目すべきは「リカーリング収益モデル」です。
これは、単発の仕事で終わらず、顧客から継続的に収益を得る仕組みを指します。
Xに投稿した「リカーリングという収益モデルが事業の要諦」という意味はそういうことです。
多くのドローン事業者は、空撮や測量といった単発の依頼でスタートしがちです。
しかし、それでは常に新規顧客を獲得するための営業コストがかかり、収益も不安定になりがちです。
これに対し、リカーリングモデルを構築することで、安定した売上予測が可能になり、長期的な事業成長の基盤を築くことができます。
利益より「客数積上げ」が初期戦略
Xの投稿にある「一顧客当り週一・月一・四半期・半年・往復→この反復稼働が見えて来るまでは→利益にこだわらず→実験感覚で→撤退基準超えまでは追加投資一切せず→ひたすら脇目も振らず『客数の積上げ』に命を燃やす」という経験論は、ドローン事業の初期段階における極めて実践的な戦略を示唆しています。
これは、目の前の単発利益に固執するのではなく、まず「顧客との継続的な関係性」を構築することに全力を注ぐという考え方です。
初期の段階では、多少の利益度外視や試験的な取り組みであっても、顧客に継続利用してもらうための価値提供と実績作りを最優先します。
「実験感覚」と「撤退基準」
ドローンビジネスは、まだ新しい分野であり、市場や顧客ニーズが常に変化しています。
そのため、初期段階では様々なサービスを「実験感覚」で提供し、顧客の反応を見ながら、本当にニーズがあるサービスや収益性の高いモデルを探っていく柔軟な姿勢が重要です。
同時に、「撤退基準」を明確に設定することも不可欠です。
例えば、「半年間、反復稼働が見込めなければ撤退を検討する」「特定サービスで年間〇万円の赤字が続けば見直す」といった具体的な基準を設けることで、無駄な追加投資を避け、リスクを限定しながら事業を進めることができます。
ドローンのリカーリング事例
それでは、実際にどのようなドローン業務でリカーリングモデルが構築されているのでしょうか。
具体的な事例を見ていきましょう。
1. 太陽光発電所の定期点検
【具体的な業務】 太陽光パネルのホットスポット(異常発熱箇所)や破損の有無を、ドローンに搭載した赤外線カメラや可視光カメラで定期的に撮影・診断します。
【リカーリングのポイント】
- 契約周期
季節変化やパネルの経年劣化を考慮し、年2回~4回程度の定期点検契約を結びます。 - 提供価値
発電効率の維持・向上、早期異常発見による大規模修繕コストの削減、保険会社への報告資料提供。 - 顧客のメリット
人力点検に比べ、広範囲を短時間でカバーでき、高所作業のリスクも低減。データ蓄積により、パネルごとの劣化傾向分析や発電量予測にも貢献。
2. 大規模建設現場の進捗管理測量・定点撮影
【具体的な業務】 広大な建設現場(造成工事、ダム建設、大規模ビル建設など)の地形測量や、工事の進捗状況をドローンで定期的に撮影・計測します。
【リカーリングのポイント】
- 契約周期
工事のフェーズに合わせて、週1回~月2回程度の頻度で契約を結びます。特に土量計算などは月単位の継続が一般的です。 - 提供価値
進捗状況の可視化によるプロジェクト管理の効率化、施主や関係者への定期報告資料の提供、トラブル発生時の記録・証拠保全。 - 顧客のメリット
現場管理工数の削減、正確な進捗状況の把握による工期遅延リスクの低減、遠隔地からの確認を可能に。
3. 農地の生育状況モニタリング・散布代行
【具体的な業務】 農地全体の作物の生育ムラや病害虫の兆候をドローンで監視したり、精密な農薬・肥料散布を代行したりします。
【リカーリングのポイント】
- 契約周期
作物の生育期間に合わせて、月に複数回や特定の時期に集中して実施する年間契約を結びます。散布は季節ごとの定期的実施。 - 提供価値
収穫量の最大化、農薬・肥料の最適使用によるコスト削減、作業負担の軽減。 - 顧客のメリット
広大な農地の状況を効率的に把握、ピンポイント散布による環境負荷低減、高齢化・人手不足の解消。
4. 地域施設の警備・監視巡回
【具体的な業務】 大規模工場、倉庫、物流センター、イベント会場、あるいは特定の公共施設周辺などをドローンで定期的に巡回し、不審者の侵入や異常を監視します。
【リカーリングのポイント】
- 契約周期
毎日、週数回、あるいは夜間のみといった頻度で年間契約を結びます。 - 提供価値
広範囲の死角をカバー、人件費削減、24時間体制での監視、異常検知時の迅速な対応。 - 顧客のメリット
警備体制の強化、コスト効率の改善、セキュリティレベルの向上。
これらの事例は、ドローンが単なる「道具」ではなく、「継続的な課題解決のソリューション」として顧客に提供されることで、リカーリング収益を生み出すことを示しています。
リカーリングモデル成功のための重要ポイント
リカーリングモデルを成功させるためには、以下のポイントが鍵となります。
- 顧客の課題深掘り
顧客が本当に何を求めているのか、ドローンでどのような課題を解決できるのかを徹底的にヒアリングし、単なる飛行サービスではなく「ソリューション」を提供する意識が重要です。 - 付加価値の提供
飛行データを提供するだけでなく、解析レポート、異常箇所の特定、改善提案など、顧客がすぐに活用できる形で付加価値を提供しましょう。データ蓄積による経年変化の分析も重要な価値です。 - 長期的な許可・承認の取得
リカーリングモデルは継続的な飛行を前提とするため、包括申請など、長期的な飛行許可・承認を適切に取得することが不可欠です。これにより、毎回の手間を省き、スムーズな運用が可能になります。 - 顧客との信頼関係構築
継続契約には信頼関係が不可欠です。高品質なサービス提供はもちろん、密なコミュニケーション、迅速なトラブル対応など、きめ細やかな顧客対応を心がけましょう。 - サービス内容の進化
顧客ニーズは常に変化します。定期的にサービス内容を見直し、最新技術を取り入れるなどして、顧客にとっての価値を常に高めていく努力が必要です。
まとめ
ドローンビジネスの成長には、単発の受注に依存しない「リカーリング収益モデル」の構築が不可欠です。
初期段階では、目先の利益に囚われず、「客数の積上げ」に集中し、様々なサービスを「実験感覚」で提供しながら、顧客との継続的な関係性を築くことが重要です。
太陽光点検、建設測量、農業、警備など、ドローンの多様な業務には、リカーリングモデルを適用する大きな可能性があります。
それぞれの業務において、顧客の具体的な課題をドローンでどのように解決し、継続的な価値を提供できるかを見極めることが、成功への鍵となります。
ドローン事業者は、安定した収益基盤を築き、持続可能な成長を実現するために、リカーリングという視点を強く意識し、顧客との長期的なパートナーシップを築いていくことが求められています。
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