
小さな花火大会でのドローンイベント上空の壁
このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。
【小さな花火大会】空撮のご相談でした。DIDで敷地も狭く立入禁止区画の余地がなく厳しい計画です。窮余の一策として建屋の屋上高所から係留飛行する案が出ました。確かに係留すればDIDや夜間などは許可不要になるのですが「催し」は含まれていなく且つ立入禁止区画は必須です。悩ましい案件です。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) April 15, 2025
このページで分かること
小規模花火大会上空
先日、X(旧Twitter)に投稿した事例を解説します。
「小さな花火大会」でのドローン空撮に関するご相談で、特にその計画の難しさが焦点でした。
投稿では、「DID地区で敷地が狭く、立入禁止区画の余地がない」「建屋屋上からの係留飛行案が出たが、催しには許可不要の例外がなく、立入管理区画も必須」という状況をお伝えしました。
この「悩ましい案件」を通して、イベント上空でのドローン飛行許可の難しさをご説明します。
なぜ厳しいのか
航空法では、ドローンの飛行に様々な制限がありますが、中でも特に規制が厳しいのが「多数の者の集合する催し場所の上空」です。
「催し場所」の定義と規制理由
「催し場所」とは、お祭り、イベント、スポーツ大会、そして花火大会のように、特定の場所に一時的に多くの人が集まる場所を指します。
これらの場所でのドローン飛行が原則禁止されているのは、単純明快に地上の人々(観客など)の安全確保のためです。
万が一、機体トラブル等でドローンが落下すれば、多数の人がいる場所では重大な事故に直結するリスクが極めて高いため、航空法はこれを厳しく制限しています。
許可を得るには、この高リスクを徹底的に排除する対策が必須となります。
必須条件は立入禁止区画
催し場所上空でのドローン飛行許可を得るための、最も譲れない条件が「立入禁止区画」の設定です。
立入禁止区画と役割・必須性
立入禁止区画とは、ドローンの飛行範囲やその周囲に、ドローンが落下しても人がいない安全なエリアを物理的に確保することです。
単に「立ち入り禁止」の表示だけでなく、警備員の配置や物理的な囲い込みなど、人が容易に立ち入れない措置が求められます。
この区画は、ドローンの飛行空間と人のいる空間を完全に分離し、万が一の事故が発生しても第三者に危害が及ばないようにするための生命線です。
航空法が求める安全基準を満たす上で不可欠であり、これが十分に確保できない計画は、原則として許可されません。
今回の花火大会のように敷地が狭く、この区画を確保する物理的なスペースがないことが、許可取得の大きな壁となった理由です。
係留飛行とその落とし穴
ご相談の中で、リスクを減らす手段として、ドローンを紐で繋いで一定範囲内で飛行させる「係留飛行」が検討されました。
係留飛行は、特定の条件を満たせば、DID地区や夜間飛行などの一部規制が緩和される場合があります。
紐によってドローンが意図せず飛行範囲外に出るリスクが減るためです。
「催し」に適用されない理由
しかし、ここに重要な「落とし穴」があります。
係留飛行による規制緩和は、「多数の者の集合する催し場所の上空」には適用されないのです。
つまり、ドローンが係留されていても、それが催し場所の上空であれば、航空法上の許可・承認申請は通常通り必要です。
さらに、催し場所上空の飛行許可条件である立入禁止区画の設定は、係留飛行であっても必須となります。
今回の事例で、屋上からの係留飛行案が有効ではなかったのは、このためです。
係留しても「催し場所上空」の許可申請は必要であり、かつ、最も困難であった「立入禁止区画の確保」という必須条件は、係留によって免除されるわけではないからです。
技術的な手法で安全性を高めようとしても、イベント上空の根幹規制は回避できませんでした。
狭い敷地での現実的な課題
今回の小さな花火大会の事例は、特に小規模なイベントや、DID地区内の狭い敷地でドローンを飛ばす際の厳しい現実を示しています。
敷地が狭いことは、前述の立入禁止区画を物理的に確保することを極めて困難にします。
観客との間に十分な距離を取る、または飛行エリア自体を完全に隔離するスペースがない場合、法的な安全基準を満たすことが事実上不可能です。
行政書士としては、お客様のご要望を叶えたい気持ちはありますが、航空法の安全基準、特に催し場所上空の厳格なルールをクリアできない計画に対しては、「許可取得は難しい」とお伝えせざるを得ません。
今回の花火大会の件は、このように法規制の壁と現場の物理的制約が重なり合った、まさに「悩ましい」ケースだったのです。
まとめ
ドローンによるイベント空撮、特に「多数の者の集合する催し場所の上空」での飛行は、地上の安全確保のため、航空法により厳しく規制されています。
許可取得の鍵は、ドローンの飛行エリアと地上の人々を物理的に分離する「立入禁止区画」の設定であり、これができない場所での飛行許可は極めて困難です。
また、係留飛行という手法も、DID地区や夜間飛行などでは規制緩和に繋がることがありますが、「催し場所上空」の飛行においてはその例外は適用されず、立入禁止区画の設置も必須となります。
イベント上空でのドローン飛行を検討する際は、まずその場所が「催し場所」に該当するか、そして最も重要な「立入禁止区画」が確保できるかを必ず確認してください。
判断が難しい、あるいは複雑な案件の場合は、ぜひドローン専門の行政書士にご相談ください。
安全で適法なドローン飛行のため、正しい知識と専門家の活用をお勧めします。
行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。
全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。
【免責事項】
○当サイトのコンテンツや情報において可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、 誤情報が入り込んだり古くなったりすることもあり必ずしもその内容の正確性および完全性を保証するものではございません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害について、一切責任を負うものではございませんのであらかじめご了承ください。
○当サイトから移動された先のホームページは、当サイトが管理、運営するものではございません。移動先サイトで提供される情報の真偽、サービス等につきましても一切の責任も負いませんのでご了承ください。なお、予告なしに内容が変更または廃止される場合がございます。