運航成立は「現地入り」で止まる|矢野事務所

運航成立は「現地入り」で止まる|矢野事務所

 

「北海道、知床での高高度ドローン撮影を申請したい」

今回いただいたのは、道東エリア5箇所での高高度飛行に関するご相談でした。

空域確認。

包括申請適否。

入林届。

現地管理者調整。

調査を進めた結果、5箇所のうち2箇所は包括申請で整理可能であり、現地許可も不要という整理になりました。

ここまでは順調でした。

しかし、計画は別の場所で止まります。

航空法でもありません。

条例でもありません。

現地入りです。

この場所で事故にならずに運航できるかは、条件によって変わります。

飛行条件を確認する

許可が出ても現場に行けなければ成立しない

ドローン運航では、「許可取得」が主役になりがちです。

しかし実際には、許可が出ても運航できない案件があります。

今回止まった理由は、知床・羅臼町の交通事情でした。

撮影機材を伴う現地移動のため、柔軟に動ける車両が必要でした。

ところが、現地確認を進める中で、移動手段そのものが成立しない状況が見えてきます。

  • 町内タクシー会社は1社のみ
  • 既に予約満杯
  • 全国系配車サービスは高額または対応外
  • 観光タクシーも距離的に手配困難

つまり、飛行計画以前に、現場へ到達できない可能性が出てきました。

どれだけ飛行設計が成立していても、現地入りできなければ運航は成立しません。

地方運航で本当に止まる場所

地方案件では、法律論より先に止まることがあります。

宿泊。

交通。

通信。

燃料。

気象。

人員。

つまり、現地耐性です。

特に知床のようなエリアでは、「有名観光地だから何とかなる」という感覚が危険です。

知名度とインフラ成立性は一致しません。

今回の案件でも、空域整理そのものは比較的早く終わりました。

しかし、その後のロジスティクスで停止しています。

これは、運航の本体が「飛ばすこと」だけではないことを示しています。

運航管理はロジスティクス込み

ドローン運航では、飛行計画だけを作っても成立しません。

誰が現場へ行くのか。

いつ到着できるのか。

機材をどう搬送するのか。

予備日をどう確保するのか。

撤収不能時にどうするのか。

こうしたロジスティクス設計まで含めて、初めて運航成立になります。

特に地方案件では、都市部感覚で運航設計すると危険です。

「現地へ行けば何とかなる」が成立しないことがあります。

今回のように、交通そのものが止まる場合もあります。

突破口になったのは現地情報

今回、最終的な突破口になったのは、現地行政・観光情報・フェリー連携情報でした。

役場への確認。

観光協会への確認。

商船三井フェリーへの確認。

こうした地道な情報収集の結果、クルーズ船連携バスという代替移動手段が見えてきます。

つまり今回の成立要因は、許可取得ではありません。

現地情報の収集力でした。

これは地方ドローン案件で非常に重要です。

現地を知らないまま机上で計画すると、運航は途中で止まります。

運航は「現地耐性」で決まる

今回の案件は、航空法違反で止まったわけではありません。

空域でもありません。

入林でもありません。

止まったのは、現地到達性です。

つまり、運航成立を左右するのは、法律だけではありません。

現地で本当に維持できるかです。

これは、地方ドローン案件全体に共通します。

山間部。

離島。

自然公園。

積雪地域。

こうした場所では、移動・通信・宿泊・撤収まで含めて設計しなければなりません。

つまり、地方運航では「現地耐性」がそのまま運航成立性になります。

許可取得は入口でしかない

今回の事例で改めて見えたのは、許可取得は入口に過ぎないということです。

本当に問われるのは、現地で維持できるか。

中止判断できるか。

撤収できるか。

到達できるか。

つまり、運航全体を維持できるかです。

ドローンは操縦でなく運航管理|矢野事務所でも整理しているように、現在の高難度案件では、飛行技術より運航全体の管理構造が重要になります。

知床案件で止まったのは、まさにそこでした。

◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆

許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません

ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。

  • 第三者管理は維持できますか?
  • 監視体制は機能しますか?
  • 中止判断は定義されていますか?
  • 関係者への説明は通りますか?

これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。

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