ドローン運航の判断設計・体制構築

ドローン購入後は初飛行前に確認|矢野事務所

「念願のドローンを買った。まず飛ばしてみたい」

そう考える方は多いです。

ただ、現在の日本では、100g以上のドローンは「買ったらすぐ屋外で飛ばせる」というものではありません。

機体登録、リモートID、飛行場所、飛行方法、飛行計画通報など、初飛行前に整理すべき事項があります。

しかも実務では、「許可が必要かどうか」だけで止まるわけではありません。

屋根点検、イベント撮影、空港周辺、第三者がいる環境などでは、「現場で本当に成立するか」が別問題として残ります。

この記事では、ドローン購入後に初飛行前までで確認すべき流れを、できるだけ分かりやすく整理します。

この場所で事故にならずに運航できるかは、条件によって変わります。

飛行条件を確認する

最初に確認するのは100g以上かどうか

まず重要なのは、機体重量です。

100g以上のドローンを屋外で飛ばす場合、原則として機体登録が必要になります。

つまり、「買っただけ」では飛ばせません。

登録されていない100g以上の機体を屋外で飛ばすことはできません。

特に初心者の方は、まず次を確認する必要があります。

  • 機体重量
  • 機体登録対象か
  • リモートID対応機か

ここを飛ばしてしまうと、後で運用が止まりやすくなります。

DIPSで機体登録を行う

100g以上の機体では、国土交通省のDIPSで機体登録を行います。

登録では、製造者、型式、製造番号などを入力します。

登録後は、登録記号を機体へ表示する必要があります。

さらに、機種によってはリモートID機能との連携確認も必要になります。

ここで大事なのは、「登録したから終わり」ではないことです。

実際には、登録情報と実機運用が一致している状態を維持する必要があります。

リモートIDは「貼るだけ」の話ではない

現在の制度では、登録された無人航空機には、原則としてリモートIDが求められます。

ただ、初心者の方は「登録記号を貼れば終わり」と思いがちです。

実際には、機体側で識別情報を適切に発信できる状態が必要になります。

特に中古購入や海外版機体では、思わぬところで止まることがあります。

つまり、機体登録は「紙の手続き」ではなく、実機運用と結びついた制度です。

どこで飛ばすかで話が変わる

次に確認するのは、「どこで、どう飛ばすか」です。

ドローンでは、飛行場所や飛行方法によって、飛行許可・承認が必要になる場合があります。

代表例は次のようなものです。

  • DID(人口集中地区)
  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 人や物件から30m未満
  • 空港周辺
  • 150m以上の高さ

例えば、都市部の空撮、屋根点検、イベント撮影などでは、この段階で一気に話が重くなることがあります。

つまり、「ドローンを持っているか」ではなく、「どこで何をするか」で必要な整理が変わります。

許可があっても現場で止まることはある

ここで重要なのは、許可の有無と、現場で成立することは別だという点です。

例えば、屋根点検では、許可があっても第三者管理が成立しなければ止まります。

イベント撮影では、人流や立入管理が崩れれば止まります。

空港周辺では、位置関係や調整条件で結論が変わります。

つまり実務では、「許可があるか」だけではなく、事故にならずに運航できる状態かが重要になります。

運航成立については、ドローンは操縦でなく運航管理|矢野事務所でも整理しています。

DIPS申請はフォーム入力だけではない

飛行許可・承認申請を行う場合、現在はDIPS2.0を使います。

ただ、初心者の方が勘違いしやすいのは、「画面に入力すれば終わり」と思ってしまうことです。

実際には、

  • 機体情報
  • 操縦者情報
  • 飛行内容
  • 安全対策

を整理して初めて申請になります。

つまりDIPSは、単なる入力画面ではありません。

飛行条件を整理するための入口です。

飛行経験は「10時間だけ」で考えない

ドローンでは「10時間」という言葉をよく見ます。

ただ、実務では単に時間だけで判断するわけではありません。

重要なのは、どのような飛行を経験しているかです。

夜間、目視外、第三者環境、人の近くなど、飛行条件によって必要な経験は変わります。

初心者の方は、まず次のような環境から始めるべきです。

  • 屋内
  • 管理された場所
  • 許可不要の安全な環境

特に、離着陸、ホバリング、停止感覚を崩さないことが重要です。

補助者は「いるかどうか」だけではない

ドローン飛行では、補助者という考え方があります。

ただ、補助者がいるだけでは安全体制とは言えません。

重要なのは、

  • 誰が
  • どこを見て
  • 何が起きたら
  • どう止めるのか

まで整理されていることです。

逆に、一人で飛ばす場合でも、立入管理や事前周知など、代わりに何で安全を担保するのかを整理する必要があります。

第三者管理については、第三者と関係者の整理で止まる理由:矢野事務所でも整理しています。

飛行計画通報も必要になる

飛行許可・承認を受けた飛行では、飛行計画通報が必要になる場面があります。

つまり、「許可を取ったから終わり」ではありません。

飛行前には、他の飛行予定との確認や、自分の飛行予定の入力が必要になります。

ドローン実務では、飛行前準備まで含めて運航です。

まとめ

  • 100g以上の機体は登録が必要
  • リモートID対応も確認する必要がある
  • 飛行場所や飛行方法によって許可・承認が必要になる
  • DIPSは単なる入力画面ではない
  • 飛行経験は時間だけでなく内容が重要
  • 補助者や立入管理を含めた安全体制が必要
  • 許可があっても現場で成立しない場合がある

ドローンは、買った瞬間から自由に飛ばせる機械ではありません。

機体登録、飛行場所、安全体制、第三者管理などを整理して、初めて安全に運航できます。

特に業務利用では、「許可があるか」だけではなく、「現場で成立するか」まで考える必要があります。

◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆

許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません

ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。

  • 第三者管理は維持できますか?
  • 監視体制は機能しますか?
  • 中止判断は定義されていますか?
  • 関係者への説明は通りますか?

これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。

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